百十三日目
今日は朝から晴れていた。しかしまだ川どめは続いている。
とりあえず外には出やすくなったので、町に出てみた。
草鞋をかなり消耗したのでできれば買い足したいし、手ぬぐいの予備もほしい。月光糖もなかなかすくってられないので、あるとうれしい。
草履はすぐに見つかった。まとめて買うと安いので十足買う。
月光糖もあった。神威よりちょっと高いけど仕方ない。
手ぬぐいはなかなか気にいるのがなかった。間に合わせだと思って適当に買うと、気に入らないままで案外長く使う羽目になったりするので、できるだけ好みに合うのを探したい。
結局、どれも白地に藍色で、青海波と麻の葉と松葉を一枚ずつ買った。これ以上に気にいるのがなかったからだ。
小麦の揚げ菓子は胡麻が入っているのが美味しい。
そのお菓子の店の前で、珍しく若い娘の旅行者を見かけた。
麻の単を頭から被り、乳母と侍女、さらには屈強な若い衆三人に付き添われて、市をそぞろ歩いている。
そこだけ色彩が華やかで、あたりの注目を集めていた。
夕食は豆乳に出汁で味をつけたスープと焼きおむすびを食べた。
昨日熱のあった人も熱が下がってきたそうで、雑炊を食べていた。
明日は川を渡れるといいなあ