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金命の豚  作者: あなぐらグラム
【貯金~使う編】
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『豚の頭取②』 拾え!拾え!どんな金でも金は金!

 なんとか投稿しました。

「ちょっ、何それ!?」

「……色々あってな」

「おかしいでしょ! たしか王太子殿下は今、他国との外交に出ているのではありませんでしたか!?」

「その通りだ。そして、その先で失踪した」

「なんでっ!?」

「……お前たちには隠さず伝えるが、どうやら駆け落ちらしい」


「「「駆け落ち!?」」」


「そんな……! あの真面目だけが取り柄のような王太子様が……」

「ああ、信じられねえぜ。ガリレオならともかく!」

「そうだよ! 淡々と王位を継ぐと思っていたのに!」

「やっぱりあの御方も殿下の御兄弟でしたわ!!」

「ちょっ、皆言い過ぎ!」


「……なあ、泣いても良いだろうか?」

「殿下……そのような暇はございませんのでやるのでしたら、夜。睡眠時間を削ってからにしてください」

「ただでさえ、これから多忙なのにそんなことで削ってられるか!!」

「わかっておられるのでしたら、結構です」


「相変わらず辛辣。だけど、おかげで冷静になれた」

「ああ、どうやら本当のことらしいな」

「信じたくはないけど……」

「貴族としては嘘であるほうがありがたい話ですわ」

「大変なことになったね」

 本当に大変だ。

 特にこれといって目立った功績があるわけでもなく、かと言って悪い部分があるあけでもなかった王太子がここにきて突然の失踪……こうなると?


「あれ? もしかして、ガリレオに王位が来るの?」

「「「!?」」」


「いや、そういう簡単な話ではない。ただ、無い話でもない」

「皆様もご存じの通り、ガリレオ様は第三王子であります。よって本来ならば王位は兄上が継ぐのが妥当でしょう」

「……父上も最近は仕事を徐々にレオナルド兄上に譲っていたのだが、しばらくは頑張ってもらわねばならん」

「御労しいことです。ただでさえ、後継者争いに頭を悩ませておられたと言うのに……」

「だからと言って、兄上にお任せしても良いのかというのが正直なところだ」


「あまり話を聞いてこなかったけど、ガリレオの二番目の兄貴ってどんな人なんだ?」

「ミッケル兄上は一言で言えば、やる気のないタイプだ。王族よりはのんびりと田舎で畑でも耕している方が向いているタイプだな」

「……殿下、今の発言は聞く人が聞けば問題になります」

「大丈夫ですよ。僕らも面倒事に巻き込まれるつもりはありませんから。内緒にします」

「ありがとうございます」


「――ですが、そのミッケル殿下を担ぐ連中が現れたというところでしょうか?」


「やはりこういう話題に敏感だなロール嬢」

「……いい加減、その呼び方はどうかと思いますけど」

「まあまあ」


「ロールの言う通り、ミッケル兄上を担ぎ出したい連中がいるのは確かだ。弟のオレが言うのもなんだが、ミッケル兄上は面倒臭いことは全部下に丸投げだろうからな……傀儡政治が横行するのが目に浮かぶ」

 よくそれで王族が務まるなぁ。


「そうなるとオレが出張るしかないというところになってくる」

「「「…………」」」

 深刻そうにしているところ悪いけど、それはそれでどうなんだろうというのが僕らの皆の共通認識ではないだろうか。

 学院時代から知っているけど、ガリレオが上に立つのも碌なことにならない気がする。



◇◆◇◆◇



「さあ、それでは作戦会議を始める!」

「いきなり仕切るなぁ」


「まず、第一の問題点! ミッケル兄上を担ごうとしている派閥だ!」

「で、どこなんですか?」

「おい、無視するな!」

「今のところ接触を図っているのは王権派ですね」

「ドルーマン! お前まで!!」

 王権派か……、あれ? だったら、今までと大して変わらないんじゃない?


「問題はないように思うけど? 今も一番力があるのは王権派でしょ?」

 そもそも派閥争いについてはあまり激しいものじゃない。

 学院での小競り合いの延長線上みたいなのが僕の印象なんだけど。


「いや、レオナルド兄上の失踪で王権派は一気に勢力を落とすことになる」

「……?」

「いいか? 現陛下の下で力があるのが王権派ということは、レオナルド兄上の支持層もまた王権派だったのだ。当然、随行する者たちも王権派が数を占めていたはずだ」

「ああ、そういうこと。つまりは、簡単に逃げられたのも王権派ってことか」

「そうだ。それなのに、奴らはその失敗を全く意に介さず、ミッケル兄上ならばなんとかなるだろうと考えている」

「当然、その状況で王位を継いでも碌なことにないだろうね」

 何か問題が起きれば王権派は力を失い、後ろ盾のない王様が出来上がってしまう。よしんば力を失わなくても、王を支える勢力が一番でなければ他の勢力に好き勝手にされてしまうし、他の勢力が一気に力を付ければその分国内が荒れることになる。


「第二の問題点はそもそもがミッケル兄上にやる気のないことだ」

「それは言わなくてもわかる」

 家臣に丸投げの王では対応に困るはずだよ。

「そうなのだ。王が頼りない国では国が成り立たん」


「そして、第三の問題としては後継者問題だ」

「後継者問題?」

「だから今そのことを話し合ってるんだろう?」

「そういうことではなく、次世代……つまりは我々の子ども世代の話だ」

「これは陛下も頭を悩ませておられた問題なのですが、なかなか後継者を決められなかった関係で時期王となる者に婚約者がいませんでした」

「まったく。困ったものだ。おかげで下のオレにも相手が見つからない」

「それはガリレオにも問題があったんじゃない?」

「どういう意味だ!?」

「そういう意味かと」

「おいっ!?」


 さて、漫才はともかくとして後継者がいないのは問題だなぁ。

 次の候補者がいないのはいいけど、相手がいないのは問題だよ。王族の婚約者なんて簡単に決められるものでもないのに。


「……何よりも早急に対応すべきなのは、今回の外交はレオナルド兄上の婚約者候補に会いに行くことだったのだ。それが、婚約者意外と駆け落ち」

「うわっ、完璧な外交問題じゃん……!」

「そうなのだ! こうなれば、縁を結ぶためにもそして関係を修繕するためにも早々に王を決めねばならん! 王太子などという候補を決める段階ではもうないのだ!!」



◇◆◇◆◇



「……んで? オレ様たちにどうしろってんだ?」

「まず、進行中の計画を一気に進める!」

「それがどう繋がるの?」


「今はまず、金を世に出回りやすくすること。金自体の価値を下げることだ!」

 金の価値を下げる?

 それは反対だ!

「今のように金貨では本当に通貨価値に対して、それを象徴する物品の価値が高すぎるのだ」

 まあ、金貨とかはそうかもね。


「だからこそ、お前の提案していた計画、紙媒体通貨の流通を進める!! そして、その持ち運びしやすくなった金をばら撒き、オレを王にするようにする!! 金の力で王になるんだ!!」


 ……うん。

 どっちみち、ダメな王様が誕生するような気がする。

 一気に金をばら撒いて王にしちゃうよ? そうなるとどんな終わりになるのかな? 何はともあれ、章タイトルにあるように【貯金~使う編】はガンガンお金を使っていく章ですよ。ブヒッ!

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