『入学編1』出発です
お久しぶりです。
なかなか時間が取れず、大分間が開いてしまいました。
ちなみに後半はリムニル以外の視点で話が進みます。初登場キャラですよ!
それではお楽しみください。
「リ゛ム゛~」
「気を付けていくのよ~」
「達者でなー」
「リ゛ィ~ム゛~」
「――ははっ、愉快なご家族ですね」
「……言わないでくださいよ」
やあ! 久しぶりだね。
早いもので僕ももう7歳。つまり、王立学院へ入学する年になったよ!
今はこうして王都からのお迎えの人と一緒に馬車に揺られているところさ。まあ、お迎えの人と言ってもよく知るコイーンさんなんだけどね!
そんなことよりもリスティ姉さんの泣き声が……。本当に出発するまで大変だったよ。
「さて、それでは王都へ行きますが、途中に君と同じように辺境から入学する子たちを乗せていっても構いませんかね?」
「それは構いませんけど……」
「おや? どうかされましたか?」
僕の疑問に気付いたコイーンさんが尋ねて来た。
だけど、思うんだ。コイーンさんは絶対僕が何に対して疑問を抱いたかを気付いてる。それでも自分から言うんじゃなくて僕に言わせようとしているんだって。
「……はぁ」
「おやおやいけませんね。ため息ばかりついているとこれからの前途が不安になって来てしまいますよ?」
「それは……いえ、なんでもないです。……コイーンさんは王都に一緒に行っても大丈夫なんですか? それともこの馬車は途中までしか行かないんですか?」
「まさか! この馬車はちゃんと王都まで行きますよ!」
大袈裟というか大仰というか、普段接しているコイーンさんとはまるで別人のようにオーバーリアクションな彼は満面の笑みを浮かべて続きを告げる。
「安心してください。私はこの度、王都に配属になったんですよ! ですから、一緒に行っても何の問題もありません!!」
……やっぱり。それが言いたかったんですね。
というか子どもに自慢しないでほしいな。
「それもこれもリムニル君のおかげですよ。君というギフト保持者に出会え、有用性を証明することが出来たおかげでこんなにも早く王都へ戻ることが出来たのですからっ!」
「そうですか」
うわ~、初めて馬車に乗ったけど、景色はキレイだなぁ~。
「もしも、王都で困ったことがあったらいつでもどんな内容でも力になりますからね!」
「……絶対ですよ?」
現実逃避していたけど、利になることは放っておけないな。
やっぱり、僕も商売人の子どもってことだな~。
念押しをしてついでに証文も書かせたりしたことで満足し、僕は馬車の旅を楽しむことにしたのだった。
◇◆◇◆◇
「――そろそろですね」
「……? 何がですか?」
「おはようございます。そろそろ君と一緒に学ぶ子どもと合流する場所なんですよ」
どうやら少し寝ている間にそんなところまで来ていたらしい。
「…………なんか、凄い場所ですね」
キョロキョロと辺りを見渡してみると、僕がいた村が都会に思えるぐらい、緑が生い茂っているというかぶっちゃけジャングルのような場所だった。
近くしか知らない僕だけど、こんな場所があったなんて……。
「この辺りは自然が豊かというかなんというか……。どうにも300年ほど前にいた人物の影響が濃く残っている場所で。もうちょっと先に行った村の周囲はまだ人が住んでいる文明的な場所なんですがねぇ……」
その人物って絶対にギフト持ってましたよね?
本当に人が住んでいる場所があるのかどうか凄く疑問なんですけど……。
「この辺りで合流ってことですけど、大丈夫なんですか?」
「…………どうでしょう?」
「えっ!?」
「担当者からは大丈夫だと聞いているんですけど、私も来るのは今日が初めてですし……。それに君と同い年の子どもですからねぇ~」
「7歳児が自力で来るのは難しそうですけど」
僕だったら、誰かと一緒でも辿り着けないかもしれない。
「ですが、馬車はこれ以上進めそうにないですし……。待つしかないですね」
「えぇっ!?」
再びビックリだよ!
「ここで待つんですかっ!?」
「そうですよ。安心してください。もしも獣が出てきても護衛の人たちが守ってくれますって! (駄目だったらエサでしょうけどね)」
最後ボソッと不吉なことを言いましたねっ!
「いやいや、もう少し離れた場所に――」
避難しましょうと訴えていた直後、メキメキっという轟音と共にジャングル方角から何かが倒れるような音が聞こえてきた。
「……近付いて来てますね」
コイーンさんの呟きに反応するように、護衛の人たちが馬車を守るように移動し始める。
「馬が暴れるかもしれませんので座席にしっかりと掴まっててください!」
御者さんからの言葉を半泣きになりながら聞くしかない。
というか馬さん逃げてください!
「うおおおおおりゃああああああああああっ!!!!!」
そんな僕の願いも虚しく、何かの雄叫びが聞こえ――幸か不幸かでは絶対に不幸なのだが、宙に舞った大木を見てしまった。
「うぉぉっとと!」
振動と馬が逃げ出そうとする揺れに耐えるコイーンさんの声がやけに大きく聞こえてきたがする。
「――いやあ、待たせちまったか! わりいわりい。ガッハッハッハ!!」
そして、何もなかったかのようにジャングルの奥から姿を現した少年。
それまで閉ざされていた入り口の奥には住んでいた村に似た文明的な光景が広がっていた。
こうして僕は初めての学友とかなり衝撃的な出会いをすることになったのだった。
◇◆◇◆◇
「殿下、到着いたしました」
「馬鹿者っ!」
オレはすぐさま侍従の頭を叩く。
「学院では身分は関係ない! それなのに、オレを殿下と呼ぶとはどういう了見だ!」
「も、申し訳ございませんっ!!」
「……まったく。よく覚えておけよ! 王立学院にいる間、オレはガリレオ・ガウマンディではなくただのガリレオなのだ! 上に立つ者として見本を見せねばならん!」
本当は侍従を連れてくるのだって気が引けるというのに、こいつはまったく!
「お言葉ですが、殿――ガリレオ様がいくら平等を謳おうとも世間では地位や権威を捨てた生活というのはまかり通らぬもの。生まれながらの王族であらせられるガリレオ様の王子という身分は偽っても、例え隠したとしてもわかるものにはわかるのです」
「そんなことは言われんでもわかっておる! 父上や兄上たちも通ってきた道だ」
そして、誰も変えられなかった茨の道でもある。
「だから、別に王子であることを隠そうなどとは思わんが、それを利用しようとも思わん。オレはここで王子としてでは見れないものを見たいのだ! でなければ、王家専属の家庭教師から教育を受けて別段学院に通う意味のないオレが入学する理由にはなるまい?」
「……はぁ。意思は硬そうですな」
「当たり前だ。そのためにはまず、お前から変わらねばならんぞ? お前が王子としてオレに接すれば周りも王子として接するのだ。学院にいる間はその考えは捨てよ」
「ですが、王子でなくなったらお仕えする理由がないのですが?」
グサッと来たっ!
「お前はオレが王子だから仕えているというのかっ!」
「もちろんです。そもそも、わたくしは王子だから仕えているというよりも、王子であるガリレオ様にお仕えるするように命を受けているのです。王子でないと仰るのならばガリレオ様の従者として学院でお世話をする理由もございません!」
「えぇ~!?」
「ということで娘が待っているので帰っても構いませんか?」
「いやいやいやっ! お前がいなくなったらオレはどうやって生活すればいいのだ! 学院内はともかく寮に世話役を連れていくのは構わんのだぞ?」
「……そこはご自分のお力で何とかすべきなのでは?」
うわっ、こいつ呆れたような目を主に向けおって……!
学院を卒業して職があると思うなよっ!
「……仕方ないですね。では、まだしばらくはこちらにいましょう。ですが、あまりわたくしが世話を焼くのはガリレオ様の教育上よろしくありませんので厳しめにいきますよ?」
「ふんっ! どんと来い!」
どんな困難もオレ様の未来を阻めるものではないわ!
「ではとりあえず、荷物は自分で持ってくださいね?」
こいつっ! ほんっとに覚えとけよ!!
久しぶりのぶたさん貯金箱はいかがでしたか?
と言っても、今回はあまり活躍してませんがね。とりあえず、学校に入るまで(もしくは到着まで)を入学編とさせていただきます。
できたら年内に5話ほど挙げれたらと思っていますので応援してください! ブヒッ!




