第4話 高速の剣(ハイスピードソード)
アビリティを手に入れたアルはバトルフィールドに出て高速を試しに行くが…プレイヤーが多数に襲われていたため見過ごせざるおえなかった。そこであるプレイヤーを守るため。アルの剣が覚醒する。
歓声を浴びる。その中で一輪の花黒い花がいつものように微笑んでいた。
「剣士アル!レベル2へ昇格ううう!これにより!剣士アルのアビリティが公開されまぁぁす!」
「アビリティ…?」
なんだこの感じ…何か…新しい何かを感じる…。手が光り出した。
「おおっと…これはアル選手高速のアビリティを手に入れたぁ!!高速は未だかつて2人しか持つプレイヤーはいません!!!」
高速…?スピードか?何の役に立つというんだ…まあいいか…とりあえず、ミハさんの元に戻るとするか…。
「おい…速いの…」
「…?レイス?」
レイスが悔しそうな表情で話しかけてきた。
「俺もすぐに追いついてやる。だからそれまで生きていろ。それだけだ。」
「わかった…俺もその時にはアビリティを使いこなせるようになっておく!!」
それを言うとレイスは嬉しそうな顔で何も言わず去っていった。
「高速のアビリティ。最強のアビリティ。」
「ミハさん!あ、あの…なんかありがとうございました。」
ミハさんは疑問そうな顔をしたがすぐに返答した。
「私はなにもしていない。私は君の…助けになりたいだけだから。」
なんて良いお姉様なのだ…。この方は素晴らしいお方だ。
「あはは…ありがとうございます…」
こんな嬉しいことはあっただろうか……なんだか暖かい気持ち。
「で、例の件だが…正式に私とギルドを作ってくれないか。共に君と…君の剣と幸福を掴みたい。」
もう考えることはない。僕はミハさんが好きだ。その気持ちは正確にわかる。この人と幸福を掴みたい。そう思っている。俺は決めた。
「僕の剣、あなたに捧げます。マスター。いかなる時もあなたをずっと守ります。」
「な…うむ…よろしく頼む…。」
ん。なんかまずかったかな。少し照れてるような…いやまぁそれはどうでもいい。僕はマスターを守り抜く。彼女を。
そのためにも強くならなければならない。もっと強く。
「では…今日はログアウトしようか…。君も疲れただろう。」
確かに疲れた今日は色々なことがあり過ぎた。
「はい…もうクタクタです…今日は寝ますね…。明日からまたよろしくお願いします。」
「うむ。…おやすみ。」
こうして僕の1日が終わった。それと同時に。
希望の毎日が始まったようだ。
「起立!れい!お願いします。」
今日も学校の1日が始まった。
「おい、荒木、購買に行ってジュース買ってこいもちろん。てめえの金でなぁ。」
なんて生意気。僕らは平等じゃないのか…?同い年だろう?天皇陛下の子供でもないくせに…偉そうにしやがって…。
「わかったよ。」
だが心の中でそう思っていても…何も変わらない。
「……だ。」
「あ?」
「嫌だ。自分で買ってこいよ。君たちには足があるだろ。」
「舐めてんのかてめぇ。」
「舐めてるとかそういう問題じゃない。それが良いことだと思っているのか…。」
やばい…言ってしまった…。やばいやばいやばい…けどいつまで経っても何か行動をしなきゃ。何も変わらない。強くなれない。
クラスメイトの男子は僕を殴ろうとした。
「…ッ」
「何をやっているお前ら!!!」
「お、俺はなにも…!コイツが殴ろうとしたんだ!」
「て、てめえら!あ…!」
「職員室まで来なさい。」
助かったようだ。これで良かったのか…。
「ごめんな荒木…先生気づいてやれなくて…。」
「いや、僕が黙っていたのが悪いんです。すみませんでした。」
さぁこれからあの男子共はどうなることやら…。」
「荒木くん…?大丈夫だった…?」
そう声をかけてくれたのは同じクラスの雨見雫
ショートヘアーの似合っている良くいる誰にでも優しくするタイプの女の子。ちなみにマスターは二つ上。3年生だ。
「うん。大丈夫。先生にも伝わったしね。」
「そうなんだ…良かった…心配してたのよ…」
こんな人も居るということもありがたいことなのだろうか。僕は幸せ者なのだろうか。
「うん。だからもう心配しないで。」
「うん…でも何かあったらいつでも言って…。絶対だよ!?」
正直可愛い。が!しかし!僕には守るべき人がいる…。すまない雫…。
「わかった!ありがとう。元気でたよ。それじゃ教室戻ろっか。」
こうして僕の1日は終わった。僕の毎日はこんな感じ。今日は進展があったようだけどね。彼らは今までのことから停学になった。
何故か知らないが全力で謝ってきた。先生…何を言ったらこんなになるんですか…?
「さぁて早く帰ってテローナに行くか…。」
最後にログインしたのは…あのアーネイルのカフェか。
目の前に出たログインアイコンをタッチする。
光に包まれる。
「っと…今日は高速のアビリティを試してみようかな…マスターはまだ来てないみたいだし…。」
そういえばギルドもまだ作っていない。まあマスターが今日案内してくれるだろう。
「さて。少し怖いけどバトルフィールドに出てプレイヤーを探すか…。」
と思った時爆破音が聞こえた。僕はとりあえずそこのバトルを見に行った。
「なんだあれは…」
見ると初心者ギルドがプレイヤーを狙っている。なんて卑怯なんだ…。
助けに行こうにも…僕はまだレベル2か…。
いや、だがこれは見過ごせない。マスターに言ったら失望されるだろう。
「しょうがないか…。」
僕はマスターにもらった赤いコートを揺らし、バトルフィールドへ向かった。
「3人か…。」
相手の数は3人。手榴弾使い、短剣使いが2人。
対して狙われているプレイヤーは…メイジ…?だろうか。翼をはやした杖を両手でしっかり持っている。
僕は迷わず突っ込んでいった。3人の表情はとても驚いた顔をしていた。当然だろう。
だがそんなことは知らない…今はプレイヤーを助けるんだ。
「ハァ!」
剣を振るが何も変わらない。高速?何も早くなっていない。
まて、これはやばいんじゃあ…。
短剣使いのナイフが2本かすった。
「クッ…」
これはまずい。とりあえず彼を逃がそう。
「君!はやく後ろへ走るんだ!!!」
「は、はい!!!」
こうして戦場には4人のプレイヤーが揃った。この後どうしたものか…
「さぁてぇ剣士さん?三人相手にどうする気かな?」
手榴弾が飛んでくる。これは剣を振り回しても爆発して吹っ飛ぶだけだ…。流石に避けた。
「このままじゃ…本当に死ぬ…。」
でろよ…僕のアビリティ…!最強のアビリティなんだろう…だせよ…
高速の剣を!!!
その瞬間、僕の剣の重さがなくなった。
「きた…!!!高速の剣!!!」
「高速!?あの最強アビリティの…!」
「おい、構うな!!三人いりゃぁ余裕だぜ!!!」
これか…これが高速のアビリティ…。一気に終わらせる…。
「いくぞ…スキル…ハイスピードソード!!!」
「一斉に行けええええ!!!ってあれ…?どこへ行った!!あの剣士…!!」
「こっちだマヌケ。遅過ぎやしないか…?」
「なんだと…いつの間にそこへ!!!!」
速い所じゃない。イメージするとそこに移動している気分だ。
思考によって動作が勝手に…!
「じゃあそろそろ…終わらせるよ…。君たちはズルをしたからね。」
まあ…作戦とはいえ許せることではない。
一瞬で…
斬る
「いやぁぁぁぁ!!!!」
3人の悲鳴が響き渡った時には。既に3人の姿はなかった。
「これが…高速の剣…」
「あ、あの…ありがとうございました…。本当に助かりました…!!」
後ろを見ると女の子が立っていた。どこか面影のある女の子だ。
「い、いやとんでもない。あれは見過ごせませんよ…。」
ん?ん?ん!?女の子!?
「本当に助かりました…良ければ何か…お礼をしたいのですが…」
んーそんな事言われても特にない…あ、良いことを思いついた。
「それじゃあ友達にならない?」
「え?」
きょとんとした表情をとった。まぁ当然だろう。だがこれしか今は無いと思った。
「そんなことでいいんですか…?」
「うん!もちろんだよ!名前はなんていうの?」
うんうん、まずは自己紹介からだよね。
「あ、はい!私…イアと言います…」
「イアだね!これから宜しくね!」
「こ、こちらこそ!!」
こうして僕の剣は…プレイヤーを守ることが出来た。
高速の(ハイスピード)剣この剣であの人を守る…。
レベルも3に上がっていた。三人倒したらまあそのくらいにはなるだろう…。
これからももっと強くなるんだ…いつか…あの人の隣で守れるように…!!!
そうして僕は高速の思考を止めた。
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いかがだったでしょう。
アルのアビリティ高速の剣。
無双でした…。
あの少女のアビリティなども気になりますよね…。
次回…6話ですね是非ご覧ください。