第3話 レベル2
突如現れた彼女はゆっくり微笑んでからアルを助けた。
この少女は一体…?
そしてアルのセイバーサイバープレイヤーへの道が切り開かれる。
「あなたは…!!」
黒髪が揺れる。同時にその女性は僕に向かって微笑んだ。
「大丈夫か。アル君」
「み、ミハさん!?」
その姿は実に可憐で見とれてしまった…。ってそんな場合じゃないだろう。
メイジが叫ぶ。
「お、お前…なんで…黒の女王がここにぃぃ!!」
え?ブラッククィーン…?なにそれ…まるでキングの次に…
「どうする。戦闘を続けるか。まだやるというのなら、容赦はしない。」
その鋭くなった目付きはどんな化物でも逃げるだろうそんな目付き
「ヒッヒイィィィイすみませんでしたぁぁぁ」
メイジは腰を抜かして謝る。ミハさんってそんなにすごい人なのか
んー…まぁ今は考えるのをやめておこう。
そうして僕の初戦闘は幕を閉じ、アーネイルに戻ることに。
「危ないところだったなアル君。」
ミハさんは微笑んでそう言った。
「はい…有難う御座いました…でもこんなルールなんて聞いてませんでしたよ!!!」
僕はちょっとだけ思っていたことをさらけ出した。
「はは。すまんすまん。あまり説明が不十分だったな。まぁ長々と話すのは疲れるだろうから簡単にまとめよう。」
はぁ…!助かります…!もう説明だけはしっかり聞こうとは思っていたけど…。
「簡単に言うと…この世界のプレイヤーは全員敵だ。だがギルドに所属していれば、ギルドメンバーだけは仲間。これでわかったかな?」
「はい。とてもわかりやすいですね!」
うん。とってもわかりやすい。あれ?でも…
「幸福。願いはどうなるんですか??」
「おぉやっと質問してくれたな…キングがギルドマスターであればそのギルドには幸福が与えられる。そう言われているのだ。まだわからないがな…」
なるほど…とても太っ腹な運営だ…。
「そこでだ。」
キリッとした目付きはあの戦闘の時と似ていて少し緊張が走った。
「は、はい!!」
「私とギルドを作らないか?」
へ?まてまてまてここで『はい~良いですよ♪』なんて簡単に言えるわけないじゃないか…ミハさんは信用している。なんていったって可愛いからね。うん。だがさっきのメイジの言葉…クィーン。まずそれからだ。
「あの。その前にもう一つ質問があるんですけど…」
「ん?何か?」
なんだか…とても嬉しそう…。
「黒の女王って…なんです…?」
あぁ言っても良かったのだろうかまぁいい言わなきゃ話も進まらないからな。
「クィーンとは…まぁそうだな。キングに近いもの…かな。」
な、なんと言ったんだこの人は…
「まぁクィーンはテローナに10人いる。それぞれ色で分けられているんだ。」
なるほど…少しだけわかってきた。この人はとても強い。以上。
「はぁ…大体わかりました…でもそんなあなたがなぜ僕にギルドを誘うのですか?」
これが一番の疑問となるよな…レベル1の初心者剣士がなんで…
「それはだな…レベル2になればわかると思うよ。」
レベル2…?何が変わるんだ…?とはいえレベルを上げるってことはプレイヤーを倒さなきゃないんだろ…さっきの調子だったらまた死にかける…。
「まぁ…そうだな…決闘場なら…」
「決闘場…?」
何それ…いかにも戦う場所じゃないか。
「そうだ。アル君決闘場ならレベル1しかいない。ここからレベルが上げられるかもしれないぞ、しかもここは死んでも正式な決闘だから安心して戦える。」
「それは…死んでもこのゲームの最大ルールには反しないってことですか?」
「その通りだ!」
うおおぉ希望がやっと見えてきたぁぁぁ
「早速向かいましょうミハさん!!」
「了解した。私は中には入れないから。エントリーを済ましたらすぐ戦闘が起きる。君の剣で相手を倒すんだ。」
ここで勝ったらレベル2に近づく…そして謎も解ける…。
「では頑張ってきたまえ!」
そう言ってミハさんはにっこり微笑んだ。あぁもう勝てる気しかない。もう僕は無敵…。
「さぁレベル2以上の皆さん!今回は!レベル1のみの!初心者決闘を行いまぁぁす!!青コーナー!!テローナに来て約3時間!アアアッル!!」
なんで3時間って知ってんだよ…。てか歓声がやばい…無敵効果切れちゃったかも…。
「赤コーナー!!同じくテローナに来て間もない野郎!槍使い!レイス!」
槍使いか…間合いのとり方が難しそうだ…。
「それではぁぁぁレディィィファァァイトオオオオオ!!」
コングがなった。僕と槍使いのレイスの戦いが始まったようだ。
「ハァ!」
僕は剣を振りまわす。だがレイスはすべて避ける。まるで既プレイヤーのように。
「そんな振り回していると…一瞬で勝負がついちまうぜ…?」
ごもっともで…。相手はレベル1…僕と同じでスキルはない…ってことは…技術の勝負か…!
「おら!いくぞ!」
レイスの槍が次々と飛んでくる…。
俺はこの槍を避けなきゃ…また…最初の戦闘みたいに負ける。
彼女はどうした。あの時何をしていた。思い出せ。彼女の動きを。
そうだ。剣を握り余裕をもつ。よく見て。全て…
「薙ぎ払う!!!!!」
「な…なんと無茶苦茶な…。」
僕は剣を高速で回し盾を作り、回避した。
「ゲームの世界だ…そして今は技術の戦い…つまり、発想が一番の勝機!!」
「なるほどな…ゲームならなんでもありという考えか…。っててめえ!発想というかつまり無理やりじゃねえか!!!」
「うるさい!いくぞ!!」
そうだ無理やりだ…だが…幸福に1歩でも近づくには…何でもやってやる!!!
「くらえええ!」
レイスが高速で槍を突いてくる。これは防ぎきれない。
「これで決める…!」
僕は剣を振りかざし、槍突きに夢中になっているレイスを蹴り飛ばし、距離をとった。
「ここだ!」
もうここしかないと思った。
僕は全力で斬りにいった。
レイスも立ち上がり…攻撃してきた。
「…。」
「てめえに…すぐに追いついてやる…待ってろ…」
どうやら勝負は決した。
「勝者!!!アアアッル!!!!」
歓声が流れる。
「これによりアルはレベル2へ昇格したぁぁぁ!!!!」
僕は今日、本当のセイバーサイバープレイヤーとなった。
4話へ
いかがだったでしょう!3話ですね!
もう1話の面影はないんじゃないでしょうか…!
こんな感じでどんどん話が進んでいきます。
アルはレベル2へなり、何を知らされるのでしょうね…4話へ続きます!