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異世界の流儀  作者: 千路文也
第一章
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008  目指すべきは主意主義


 結果など誰でも出せる。結果を出した人間は満足感を覚えてそれ以上進化しようとしないが、結果が出ない時は自分を進化させるために努力をする。ハッキリ言って、それでは普通の成功しか生み出せない。嫌、普通の生活すら出来ない可能性だってある。だから本当に人間として高みを見出したいのであれば、結果を出した後にも努力を続けるのが大事だと明は考えていた。それは異世界に転移した後でも変わらない。この世界で成功するために必要なのは、技術でも体力でも無く自分の信念だと信じている。人生哲学と生きる思想を決めておかないと、レールから外される可能性だってあるのだ。決してふざけてチャランポランな生活をしているだけでは成功を掴み取れない。その考え方を今も取り入れているからこそ、明は先程の戦いにも見事勝利した。傍から見れば余裕の勝利に思えたかもしれないが、当事者にとっては手に汗握る戦いとなっていた。もしも敵のナイフが明の喉元に貫いていれば、その時点で明は信じていただろう。ナイフが脆くなっていないと、あんな芸当は出来ない。これで分かる遠り、明の成功には運の要素が強かった。そしてそれをエレナに伝えるために、明は言葉を出していた。


「俺とお前がこうして無事に御馳走にありつけるのは運が良かったからだ。決して自分の実力では無いと頭の中に入れておけ。本当に重要なのは生きるための運を強くする過程なのだから」


 明は決して自分の実力を過信したりしない。魔法界で魔法を使わずに頂点を極めた男が自分を決して褒めないのはそれが理由だった。あくまでも自分は運が良かったから成功を手にしたのだと。その運を強くするために人生哲学と生きる思想を自分自身に言い聞かせていた。全ては自分の信じている信念を曲げないために。その事を伝えていると、エレナは不思議そうな顔をして首を傾げている。


「何言ってるのですか。こうして美味しいお肉が食べられるのはおじさんがチョー強かったからでしょ。パンチだけで彼奴を倒すなんて凄すぎますよっ!」


 彼女は笑顔でそう言っていた。確かにそれはそうかもしれないが、ありきたりな回答で想像性に欠ける。相手より自分が強かったという簡単な理由だけでは物足りない。そういう主知主義な勝利は明にとって何の意味も無いのだ。何故、自分は相手に勝てたのかそれを自問自答しない限り、次の勝利は訪れない。今の勝利に浮かれてしまうだけでは余計な慢心を生み出すだけである。



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