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異世界の流儀  作者: 千路文也
第一章
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007  豪華な御馳走


 エレナの両親の敵討ちに成功した明は、村人から祝福を受けていた。目の前のテーブルには豪華な御馳走が並んでいる。どれもこれも焼きたてで美味しそうである。普段は小食の明でさえも、これには胃が踊るように喜んでいた。


「ここまでの御馳走を用意してくれなくてもいいのではなかろうか?」


 そう声をかけようとすると、既にエレナは御馳走にかぶりつくようして食事をしていた。可愛らしい見た目とは違い、やはりどこか野性味に溢れている。どちらかと言うと明の方が何倍も獣のように思える。ところが先程も述べたように明は小食なのでフォークとナイフを使って上品に御飯を食べていた。その理由は明の置かれていた環境がそうさせていた。そもそも明の役職はキングオブエクソシストと呼ばれる最高責任者だ。年俸もそれなりに貰っているので、それなりのマナーを身に着けておかないと恥をかいてしまう。元いた世界では場を弁えるパーティに何度も出席していたので、自然と食事のルールやマナーを覚えるようになっていた。とは言っても最低限のルール程度なので専門家の人達にはどうあがいても勝てないのだが。


「ああぁ。久しぶりの肉だ。やっぱり焼きたてが美味しいな」


 しかし、エレナはフォークもナイフも使わずに両手で料理を鷲掴みにして食らいついている。ここまで下品な食べ方をする人間など久しぶりに見た。遠い昔の記憶だが、自分の息子もこのような食べ方をしていた気がする。それが弟の方なのか兄の方なのか、それは定かでは無いが、恐らく弟のう方がそういう食べ方をしていただろうと大よその予測はついていた。と言うのも、弟の方は昔から野蛮で人に対して悪さばかりをしていたからだ。そんな昔の事を思いながら飯を食べていると、エレナはボソボソと何かを口に出していた。それを聞き取るように耳を傾ける。


「……ありがとう。助けてくれて」


 お礼の言葉だった。今までにそういう言葉は何度も聞いてきたが、やはり聞く度にこちらも嬉しくなる。それぐらう感謝の言葉とは人を幸せにする言葉なのだ。それを明は知っているので返事を返す時は常に「こちらこそありがとう」と言っている。


「当然の事をしただけだ」


 明はそう言うのだった。


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