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異世界の流儀  作者: 千路文也
第一章
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014  村に到着


 女老害を後にして、なんとか次の村に到着した明とエレナは付近に設置してあるベンチに腰かけていた。ここから見える村の景色は表現をする必要など無い。それぐらいの幻想的風景に包まれているのだ。明が住んでいた世界では魔法も科学も発展していたので、高度な文明技術がいかんなく発揮されていた。しかし、この世界はどうにも魔法だけが発達していて、それ以外の科学的要素は見当たらない。昔ながらのハイファンタジーな世界観をしているのだ。指輪物語に出てくるホビットのように小柄な種族がああでもないこうでもないと言いながら時計の修理をしている様子が目に入った。それは昔ながらのアナログ時計で秒針が付いている。明がいた世界では既にそのような時計は骨董品扱いされていて、懐中時計をぶらさげる人間など物珍しい変人扱いされているぐらいだ。そうした意味で自分の住んでいた世界と比べると、此方の世界はのんびりとした時間が流れているのだなと思われる。明が住んでいた魔法界では戦争が中断された状態で、時間の流れもややこしかった。それと比べるとこの世界でゆっくりとした一時を過ごせそうだった。


 とは言っても、いつまでもノンビリはしていられない。あれだけややこしいと思っていても元の世界に戻りたい欲求はある。それに向こうでやり残した事がたくさんあるので何とか箱舟を起動可能にさせて異世界転移装置の修復をしたかった。しかしそれには大量の部品と化学元素が必要だった。ところがこの世界には求めている化学元素は見当たらなさそうなので、なんとか代用品を見つける必要があった。その代用品をどうするか頭の中で考えていると、不意にエレナが話しかけてきた。


「こうしてベンチで寛いでいると嫌な思い出も忘れそうです」


 確かにその通りだ。何も考えずにボーっとする時間は人間に必要である。それは知性のある人間には宿命だと言っても過言ではない。知性を持っているからこそ、その機能をストップさせてでも休ませる機会が。そうじゃないと常に頭を動かしている状態が続いてしまい、灯台下暗しになってしまう。なので精神的に不安を抱えている人間に必要なのは外に出てボーっとする時間だったりする。景色を眺めてボンヤリとするだけでも大分気分が晴れて、明るい未来を想像出来るようになるのだ。明はそれを知っているので、エレナの意見にも賛同していた。


「お前の言う事はおおむね正しい。嫌な思い出など呼吸と一緒に吐き出してしまえばいい。それだけで重くのしかかっている重圧とおさらば出来る」


 そう言うと、エレナは言う通りに深呼吸をしていた。目を瞑って胸を張り、スーハースハーと息の出し入れをしていたのだ。そうして彼女の微笑ましい光景を見ていると、ある驚愕の事実に気が付いていた。そう言えば彼女はまだ山賊の格好をしたままなのだ。これでは村人に余計な不安感を抱かせる原因にしかならない。


「今思ったが……エレナって山賊の服を着たまんまだな」


 明はそうだと言うのだった。



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