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異界のウタ ~Arma virumque cano~   作者: 霞弥佳
Denn der Tod ist der Sünde Sold!
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槍抱くカッサンドラ

自殺が許される場合は、全てが許される。

何かが許されない場合には、自殺は許されない。

このことは倫理の本質に光を投じている。というのも、自殺はいわば基本的な罪だからである。


Ludwig Wittgenstein

 女の眼下には、戦後期のコスモポリタニズムを彷彿させる多様な建築様式群が隙間なく敷き詰められていた。かつてはガッリア・ベルギガと呼ばれた深緑の土地は、ここ百年間でその趣を異なるものにしていた。


 駅前広場を中心に放射状に基幹街道がまたがり、その外周には環状道路が巨大な円を描いている。闇に溶ける街景は円に沿って輝く電燈によって飾られて、女の立つ九十メートルの高さからも――――湿気と白む息で視界の曇る雨夜であってなお――――夜景をはっきり確かめることができる。


 帝国建設総監局による厳格な建築統制によって拝火・オリエンス様式の建築が排斥され、古典主義的懐古様式のそれのみが持て囃された時代は、すでに過去のものに成り下がった。FCA政権期からの反動で少なからず起こった揺り返しともいうべき多様化と懐古主義への白眼視は、歴史の浅い実験都市ホリゾントキュステの空気感において半ば普遍のものとして定着していた。しかし女の今いるホリゾント聖堂の時計台は、外装のデザインから細かなディティールに至るまでが黒を基調とした飾り気のない無骨な構造の、典型的な帝国古典建築に他ならない。


 バシリカ型構造の中央直上に位置する一際高い塔、その丸みを帯びたドーム屋根の上で、女は上機嫌に革靴を鳴らして歌っていた。リズムに合わせて足首を動かし、体を揺すって気分の高揚を歌声として発散している最中だった。


Drunten im Unterland, da ist’s halt fein!


Schlehen im Oberland, Trauben im Unterland,


drunten im Unterland möcht ich wohl sein!


 冷え込んだ気候などまったく意に介していない様子の出で立ちだった。身体の芯から発熱しているように、白くきめ細やかな柔肌は、薄くあたたかな桃色がかっていた。


 純白のブラウスの胸元は大きく開け放たれ、押し込められた乳房の深い谷間が覗いている。針金のようにすらり長い手足は決して痩せ細っているわけではなく、並の異性と同等かそれ以上の強靭さとしなやかさを孕んだ筋肉が、繊細なミルク色の素肌に包まれている。黒のスラックスの生地に覆われた大腿に余計な贅肉はほとんどなく引き締まっていて、それでいて幼い少女の腰ほどの太さがあった。


 起伏の激しい砂時計めいた体型は世俗的な扇情をかきたてると同時に、そのあまりに完成された八頭身の黄金比は、まさしく理想(イデア)の体現者であることをありありと誇示していた。一つの歪みもなく、ただ一つの傾きもない。頭頂から爪先に至るまで一切が、女という美の究極を表現しているのである。


Drunten im Neckertal, da ist’s halt fein!


Ist mer’s da oben ’rum manchmal auch noch so dumm,


han i doch alleweil drunten gut’s Blut.


 女の動きに合わせて揺れる豪奢なゴールデンブロンドは、一滴の雨水も吸っていないかのように――――否、わずかな湿気を孕むことなく艶やかに光沢を保ち、柔らかなままだった。


 雨水が彼女を避けてでもしているのだろうか――――そう判断せざるを得ないほどに、女の独唱は堅固な法理の加護の下にあるようだった。


 その白皙の相貌もまた、風雨に乱されることなく人外の美麗さを鮮やかなままにしていた。彼女から漂う神秘性、そこからなる不可侵性を本能より想起させる佇まいは、あるいはこれを異形と称するのだろうか。彼女の蠱惑的な容貌は、凡百の人間と比べ常軌を逸している。高い鼻、切れ長の目尻。毛先がわずかに丸まった両の長い睫毛を細め、隙間から覗く瞳は深い慈愛と母性を併せ持った海原の紺碧。


 力強く、しかし変声期前の少年の歌唱のような線の細さを有する歌声を紡ぐ唇はみずみずしい。ルージュを引いているわけでもないのに、ひたひたと水気できらめいている。


Kalt ist’s im Oberland, drunten ist’s warm,


oben sind d’Leut so reich, d’Herzen sind gar net weich,


sehn mi net freundlich an, werden nit warm.


 ヨーデルをまじえながら、望郷の念の込められた歌詞のひとつひとつを、彼女は祝福をもって歌いあげているようだった。父の眠るふるさと、母の待つ場所へ続く家路を想う民謡。遥か遠い地にて脳裏に浮かぶ、何にも代えがたき郷愁サウダージ


「気分は――――聞くまでもないな。世界エデンへようこそカッサンドラ」


 歌唱の終わりを計っていたのだろう、深呼吸した女は背後からの呼びかけに耳を傾けた。


「すばらしい歌声だ。騎士にしておくには惜しい」


なれか」


 女――――カッサンドラ・シュタウフェンベルクは、二回り背の低い声の主――――序列(ゼクス)、カール・クレヴィング――――の顔を見るなり頬を緩ませた。裏表のない、純粋な歓迎の念のこもったものだ。


「逢うなり世辞を飛ばしてくるのは、汝の癖か何かかね? それでは軽率に見られても仕方あるまいよ」


「失礼、せっかくのご気分を害してしまったのならば謝りますゆえ」


「気長な性分ではないと自覚してはいるがな。その程度で心を曇らせていては何も始まるまいよ」


 不躾ならばいざ知らず、妾たちとの間で遠慮は不要であろうが?


 序列(アイン)の座を賜りし唯一の女性は、そう言って自身の初めてともいえる友人に微笑みかけた。


「除幕の儀に出席できなかったことを詫びさせてくれ。名ばかりではあるが、首領である妾の不在で先方には手数をかけたはずだ」


「ああ、そんなことか」


 並び立てば母娘のようにも見えるほどの身長差があるカールは、カッサンドラを見上げて言った。


「確かにベリンダ嬢はお怒りのようだったが……恐らくは単なる揺さぶりに過ぎんだろう。あなたが気にするようなことではない」


「だと、良いのだが」


 ベリンダ・ヴィッテルスバッハ――――彼女のまだ見ぬ、白の大隊の実質的な指導者。汎サーミ共同体を構築する北方半島三国に落ちのびた、FCAの名を分けた同胞の首魁。しかし、今となっては大陸FCA、十三騎士団ゲシュペンスト・パラディヌス白の大隊(チタニア派)の間で穏便な応酬が行われることはほぼ皆無。


 新世界(アガルタ)へ続く扉の創造にあたって遂行されている此度の儀式についても、チタニア派が好い顔をしていないことは分かりきっていた。むしろ、未だ積極的な妨害を仕掛けられていないだけまだましともいえる。


 そんな竜と勇者の両の血を引く英雄の落とし子らに対しても、カッサンドラはそれらしい悪感情を持ち合わせていなかった。嫌悪、忌避、恐怖、いずれとも無縁の思考の中で、彼女はできることならば実際に逢ってみたいとさえ感じていた。


 逢って、この目で彼女の瞳を見て、この口と耳で話がしたい。


 高等竜と勇者との間に産まれ、外界から断絶された環境で育った白の大隊の四姉妹。十三騎士団の監視役、ヴィッテルスバッハの血への真なる忠誠を量る審判官(ディカステス)


 そんな使命を帯びた少女というのは一体何を想って何を考え、何に基づいてどんな物言いをするのだろう。知的好奇心、と称してしまえば、カッサンドラの(さが)を説明するのは簡単だ。カッサンドラは誰よりも、自身を取り巻く環境に向けて問いを投げかけたくて仕方がないのだ。


 知りたい、識りたい、自分以外の他者をしりたい。言葉の限りを尽くして相手を知りたい、叡智の限りをもって世界を語り尽くしたい。 


 自分は無知だ。白紙の紙が束になって積層している。このままでは塵紙にしか使えない。それとは真逆に、この目を通して映る世界はなんと緻密に描写されているのだろう! 


 この視界から地平線に至るまで敷き詰められたありったけの情報を、果たしてみすみす見逃す事ができるだろうか。否、カッサンドラにはそれができない。そんなのはだめだ。無為に鼓動を打つだけでこの生を終わらせてはならない。白紙に文字と図式を書き込むことができてこそ人間なのだ。パンのみで生きることを放棄し、インクとペンを手に生を謳歌することを選んでこそ、人間足り得るのだ。ピッツァを嗜み、ブドウ酒を始めとする聖餐だけで飽き足らず、カルヴァドスやキルシュヴァッサーにも手を出さねばならぬ。カッサンドラをカッサンドラ足らしめる深層心理より際限なく湧き上がる渇望は、この上なく人知未踏に飢えているのだ。


 人間の意識が電気信号の作用によって成り立っていることが明らかになってから百余年、物質文明の勃興と発展に反して、科学と相対するように並び立っていた神秘と魔術の信仰は時を下るにつれて衰退していった。超自然の魔術は、咒式設計士プログラマなる者らの手によって、小手先で不特定多数の他者の脳に幻覚を分け与えるペテンへと変貌し、魔物なる存在は国民国家全盛時代の到来によって、遍く理性を持つ者と同じく『人間』へと零落、もとい昇華した。


 神秘は物質によって蹂躙され、科学を謳う似非科学によってその存在を貶められた。人間は人間以外の存在を認めず、神を打ち殺し自らの版図を網の如く張り巡らせた。在りし日のローマの如く、すべての道は唯物の手綱を握るこの手に通じている。森羅万象は、自ずと科学の掌の内へ、するりと入り込んでくる。


 果たして、そうか?


 本当に、この世界はそんなものなのか?


 あの、下品にもガリアの地にそそり立つアークソードが垂れ流す生体魔力バイタルマナに便乗し、折り目正しく行儀よく、オリジナリティの欠片もない魔術もどきで武装して、果たしてこの雄大なる超自然を解剖した気になっている連中は、本当にそれで満ち足りているのか?


 神をその手で打ち殺し、既知の法で編み上げた鎖で地球テラを縛り上げ、いずれ人類は自然現象の運行を掌握することすらできるだろう。『神を殺した』とまどろんでいるうちは、きっとそれが現実であると錯覚できる。敷き詰められた既定の常識に嵌りこみ、頽落し、己は全知にして全能であると吐き散らし、万物の霊長を自称する。


 そして、こう嘯くのだ。


 世界というのはこんなものだ。退屈で、何が起こることもない平凡なものだ、と。


 馬鹿、と断ずるにも値しない。カッサンドラにしてみれば、これほど哀れで愚かな考えは他にない。分け賜ったこの世界を、大宇宙を、どうして己の独断でそうまで貶めることができるのか?


 なぜ彼らは、このわらわが感じている至高の幸福を味わうことができないのだろう。


 舌が慣れきってしまっているから? 否、舌がこれを美味だと感じるほど成熟していないのだ。世界というのはこんなものだと、骨から肉から脳までが、靄のような錯覚で浮遊し続けている。口に含んだものをろくに咀嚼せず、風味すら愉しむ暇もなく嚥下してしまう。


 ああ、もったいない。嘘だろう? 惜しんでくれよ、世界と個人の一期一会の邂逅を。


 カッサンドラが目覚めたとき、彼女が浮かべた言葉がそれだった。


 アークソードが撒き散らす魔力で構築された網に乗って、彼女の思考に流入した人々の意識とは、それほどまでに彼女にとって哀しむべきものだった。同情を禁じ得ない、地表から神秘を引き剥がそうとしている人々が、ここまで自分たちが作り出した共同幻想に呑まれているだなんて。


 人は、喜びと安堵をるために産まれ出づるものであると、カッサンドラは信じている。


 この本能は模糊なる無痛の閉じた世界で謳う厭世に阻まれてよいものではないし、たとえそれに囚われたとしても、人間はこの歪な共同幻想を打ち払うことすら可能だと。容易ではないにしろ、この思考の昇華そのものは不可能ではない。そう、カッサンドラは確信していた。


 顛生具現――――かりそめの相互承認によって超自然を貶めた既定の法理を瓦解させ、己の欲望で太極を塗り替える、人の世を覆う情報に革命を促す究極の魔術――――“真”術。ここには升天教における神なる者の介在などない、悪魔と称される者の暗躍もまた皆無。絵空事ではない、人間の、人間による、人間のための神話を具現させることのできる、唯一無二の『科学技術』だ。


 吐き散らそうじゃないか、ナンセンスな言説を。


 ああでもない、こうでもないと、ニヒリズムによって均されたこの路面を砂利道に変えてやろうではないか。言葉を、願望を、欲求を積み重ねていこうではないか。それでこそ科学者だろう、それでこそ魔術師だろう、それでこそ人間だろうがよ。


 不確かな神秘に迎合するのが嫌なのに、どうして既定の常識に肩まですっぽり嵌ってしまえるのだ。知ったことかと突き放すのが、世に放り出された自然人のするべきことではないのか? 永劫に滞留し、身が腐ることすら是とするというのは、あまりにも生に対して冒涜がすぎるとは思わないか?


 言葉を重ねつづけよう。今の自分が語れるだけ、臆面もなく口を開こう。そこに恥を感じる必要なんてない。語りえることを語らないことこそが、稚拙な頽落に陥っている証左に他ならないのだ。


 ゆえに、カッサンドラは世界を語る。己の世界は己の言語の限界に比例する。


 カッサンドラは、語り続ける。


 空虚ながらんどうである自分の世界を広げたい。際限なく、この物的世界のもたらす恩恵を吸い取って、終わりなき歌劇を愉しみたい。緞帳も舞台袖も存在しない、現実と何ら変わりない極上の英雄譚を、特等席で味わいたいのだ。管弦楽団による、登場人物ごとに定められた万別の旋律を咀嚼したいのだ。


 空腹なのだ。飢えている。


 先ほどから鼻腔を甘くねめつける甘美な香りが、旋律の予兆が、カッサンドラを誘うように漂っている。


「あなたも感じられたか」


「ああ。非常に、美味そうな香りがする。若く、激しく……すこし青臭い香りだ。嫌いではない」


「あなたならば、さほど苦労せずに巡り合えるとは思うよ。ついさっき肆之天(マコノム)に到達したばかりだがね」


「術理の等級など当てにはならんよ。妾が求めるのは、顛現の才と美しさ。いかに深き宇宙を開闢したところで、沼の如く淀んでいては話になるまい。時に漣のように、時には高波のように。人の意志とは、すべからく大海原のようでなくてはならぬ」


「結構。ただ、彼が愛のみに生きる完全な演者かどうか判断を急ぐのは、いささか早計なのでは?」


「愛を持ち合わせぬ人間など、単なる人形と変わりあるまい。彼は間違いなく血の通った人間であろう」


「よほど、その香りとやらが気に入った様子ですな」


 おわかりか? カッサンドラは嬉々としてそう言った。


「琥珀色の既往と、そして未来とを結ぶ絹糸を紡ぐ顛現術。それが彼の……(フュンフ)の顛現。ただ、彼があちらに傾くか、それともこのままこちら側のままでいるかは、私であっても分かりかねる」


黎明の使徒(ヒュギエイア)を自称していながら、そう他人を煙にまくものではないぞ」


「あなたも、私を買い被りすぎだよ。(アイン)


友人(とも)を買い被らずしてどうするというのだ?」


 そんな物言いに、ふたりは互いにくすりと笑い合った。


「近くには、妾も出る。異論はないな」


「私にあなたの出陣を留める理由はない。存分に、あなたの世界を語るといい」


「それが汝のためにもなるのなら、喜んで」


 涼しげに言い放つカールにも、カッサンドラは笑顔をもって答えた。


ヒュギエイア()にも、そして黎明のカミ(ウロヴォロス)の期待にも応えようではないか。だが、過信はしてくれるなよ。妾は櫂や海図すら持たずして大海の白鯨に挑まんとする愚かな水夫の一人に過ぎん。獲物を討ち果たすことなく荒波に飲まれ命を落とすことすらあり得んとは言い切れぬ」


「そこで口を噤むことを是としないのが、あなたの美点だよカッサンドラ。永劫のもたらす美酒の流れに陶酔することなく、内に飼い慣らすディオニュソスはそんなものでは眠らない」


「その通りだ」


《抜刀》


 口の中で、カッサンドラがそう宣言した瞬間だった。


 顛現術発動の兆である無極逆五芒星がカッサンドラの手の甲に浮かび上がり、やがて彼女の肢体は強くまばゆい燐光に包まれた。


 時間にして、およそ五秒弱。一瞬の強烈な閃光が止んでから現れたカッサンドラの出で立ちは、先ほどまでのブラウスとスラックスを合わせたカジュアルなものから一変していた。


 かつてFCA武装親衛隊に支給されている隊服をベースに作られた、ゲシュペンスト(亡国の)・パラディヌス(聖騎士ども)に誂えられたダークスーツ。胸元には黒光りする騎士鉄黒十字、正された襟に輝く柏葉章が示す階級は、帝国軍上級大隊指導者。


 1850年代当時は軍外の人間に向け少佐相当官の階級章としてごく少数発行され、ごく一部でのみ採用されていたこの純銀の柏葉章は、FCAの台頭によってその意味合いを大きく変えている。護国の英雄として神格化された、ある女性だけが着用が許された専用の勲章、それがカッサンドラの胸元で存在を誇示していた。


「ヘレネの再来。こう呼ばれると、あなたはたいそう不快なのだったな」


「不快、とは少し違うな」


 カッサンドラは言った。


「妾はカッサンドラであって、総統閣下ヘレネでは決してない。妾がどんな蔑称で呼ばれたところでどうということはないが、不当に総統閣下を貶める言動には、FCAの人間ならば誰しも眉をひそめるというもの……要は、そういうことだ」


「それは、本心ととっていいものですかな? それとも、対外向けのおべっかか」


「半々、といえば信じてもらえるか?」


「なるほど、さすがは……私の愛したあなたらしい。そうでなくてはな、カッサンドラ・シュタウフェンベルク」


 十三騎士の総代にのみ誂えられた外套を翻し、カッサンドラは再び雨に濡れるホリゾントの夜景を一望した。


「さあ、騎士たちよ。竜と勇者の末裔よ。妾に汝らの世界を見せておくれ、汝らの孕む究極の欲望を、妾に向けて叩きつけておくれ!! 妾もそれを全力でお受けしよう、汝らの感じた美の究極を、妾にも()ませておくれ! このカッサンドラ・シュタウフェンベルクに!!」


 雄々しく、そして美しく。彼女は――――勇者(ヘレネ)の姿を抱くカッサンドラは、己の欲望を高らかに謳った。

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