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異界のウタ ~Arma virumque cano~   作者: 霞弥佳
Denn der Tod ist der Sünde Sold!
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Machonom

 無数の刀剣が、墓標の如くに立ち並んでいた。ビルディングの屋上、そして壁面から一気に降って、石畳で舗装された街道へ。道なりに刃の列は行儀よく続き、個人経営の安ブティックの真横の裏路地へと連なっていく。観光客向けのモーテルが軒を並べる裏通りをくぐると、合法の妓楼の装飾過多な看板が目立ち始める。が、いずれも扉はかたく閉ざされている。


 漆黒の剣身から湧き出る瘴気は、薄靄となってホリゾントの下町を紫煙に満たしていく。その有様は、さながら霧に呑まれた廃墟。住民はおろか野犬や鼠の一匹すらなく、断罪の意を孕んだフルンティングの瘴気はその有り余る神威を持て余しているかのよう。


 わずかな大気の流れに沿ってたゆたう瘴気以外に動くものはない、不自然な静寂。しかし瘴気の術者がふたたび指揮棒を揮った事でこの沈黙は破られた。


 安宿のもろい粗悪なセメント質を粉砕しながら、幾千幾万の切先が奔流となって顔を出した。内装も建材も、街路のアスファルトさえも。ありとあらゆる一切合財を巻き込んで、隣接する建物を一棟二棟薙ぎ倒していった。竜巻めいた奔流は、ただ一つだけにあらず。術者ベルンハルデの使役する黒鋼の血凬は、ハインリッヒただ一人の為に一辻、もう一辻と鎌首をもたげる。


 そのうちの一匹の『蛇』が、きりもみながらハインリッヒ目がけ先端を突き立てる。咄嗟にハインリッヒは白布を展開し防御の姿勢をとるも、百万に匹敵する刺突と斬撃の嵐には防性の白布を何枚重ねようが、完全に被害を相殺しきることは不可能。周囲に血煙を舞わせ、か細い体躯が瓦礫の中へと落下する。


 仰向けになり、渦巻く肉欲と食欲に支配された物言わぬ刀剣どもを再度目の当たりにしたハインリッヒは、砕けた外壁にもたれながら上半身を起こした。


「あなたもしつこいわね」


 右腿の剣は引き抜いたのだろうが、右ふくらはぎには二本の農鎌が刺さったまま。脛から先はすっぱりと切断されていて、瓦礫の残骸に混じって転がっている。左肩から手首にかけては錐が五本、その他細かな裂傷を数えればきりがない。蛇の如くのたうち回る斬撃の坩堝に幾度となく蹂躙され、少女のような白肌は鮮血と汚泥でどろどろだった。無論エクスキャリバーの『活性』は機能しているはずだろうが、出血はおさまるどころか時間の経過とともに悪化しているように見える。赤黒い血だまりは、今なお広がる一方だった。


 何の事はない。ただの雑魚だ、ちょいと本気で小突いてやればこんなもの。取るに足らない路傍の石だ。


 襤褸も同然となり果てた少年を正面に、ベルンハルデは嗤った。


「惜しかったわね。利き脚さえ潰れなかったら、もう少し逃げ回っていられたのに。ご愁傷様」


 ベルンハルデの靴底が地面を擦る音がするのと同時に、壁際のハインは反射的にびくりと身震いした。充血した双眼をかっと見開いて、肩で息をしながら不規則な呼吸を繰り返す。命綱である脚を失い、飢餓と襲撃者の両方の影に脅えながら、物陰で縮こまって余命を噛み締める痩せぎすの仔犬。この上なく矮小で、あまりにも哀れな存在。


 その風貌を目にしたベルンハルデの胸中は、得も言われぬ感覚に支配されていた。


「わたしが――――怖いの?」


 ハインリッヒは応えない。潤んだ瞳をこちらに向けたまま無言。喉を焼き、全身を苛む灼熱の痛みに耐えながら、彼はしかし呻き声すらも押し込めている。


 ぞわぞわぞわっ。


 ああ、なんていい心地。さっきまでの小生意気な態度はどこへ行ってしまったの。この哀れな同年代の少年は、わたしの一挙手一投足を目ざとく観察して、ありもしない危機を勝手に想像しているわけだ。剣の暴威に散々晒されて、ついに自尊の心すら摩耗しきったか。


 フルンティングの一閃を防いだり、幾度か瘴気の暴風を凌いだりしてみせたところで、地力の圧倒的な差は埋まらなかったという事だ。


 欲望の密度も、質も、経験も。彼がわたしに敵う道理などどこにもないのだ。突発的、衝動的に染み出た復讐心が築く顛現術など所詮はこの程度のもの。ちり紙の代わりにもならない糸クズだの襤褸布だのをどれだけ編み上げたところで、あがきの内にも入らない。絶対的な哲学と呼ぶにはあまりにも足りなさすぎる。堅気の世界でのうのうと阿呆面晒して育ってきた十五そこらの餓鬼には、顛現術など過ぎた玩具に過ぎない。


「ああ、もう。泣くくらいならこんなくだらないオイタしなければいいのに。男の子っていうのは、ほんと救えないくらい頭が悪いわね。なに? エミリア・ハルトマンには、どんなこと言われてたぶらかされたの?」


「あ……! が……っ」


 かつては高い、鳥のさえずりのようだった、枯れた恐れの呻きがようやく発される。


「復讐なんていうのは何も生まないわ。あなたが苦しんだり痛い思いするだけ……なんにも理解できなかったみたいだけどね」


 ゆっくりと緩慢に、一歩ずつにじり寄ってやる。踵が地面に擦れる音を敏感に察し、ハインリッヒは無様に震え上がる。


「いいように丸め込まれて……それらしい超能力も、見知らぬお空の神様がくださってさあ。お膳立ては整った、さあがんばるぞうって? お人形さんの敵討ちに躍起になって、さぞかしいい気分だったでしょう。気持ち悪い。悪い奴らを叩きのめして、あわよくば英雄気取って気持ち良くなろうと思っていたんでしょうけれどもね。あなた、現状ただの可哀想な糞餓鬼よ。頭が回らないがために悪い大人にだまくらかされて、いい勉強にはなったかもしれないけどね。残念だけど、ここまで来て『ごめんなさいもうしません』なんてのは通用しないの」


 フルンティングを高々に振り上げる。再び魔力を転換させ、戦性と瀰性に集中。剣戟の奔流に、指示を与える。


「至極かんたんな功利主義。あなた一人のわがままには、誰一人同情も賛同もしなかった。だってそうよね、傍から見たら壊れたガラクタに欲情してる性倒錯者へんたいだもの。お子様の癇癪にどうして十三騎士団(われわれ)がご機嫌取りしなくちゃならないわけ? 道理が通らないでしょう」


 生物学的には、眼前のちっぽけな痩せぎすがディートリヒと同類項という事が信じられない。雄々しい容姿、頼りがいのある物振る舞い。胸の芯を震わせる低音の美声できょうだい愛を囁かれれば、至高の奥底でくすぶる性までもが疼く。あらゆる要素が二律背反、崇敬する兄とは比べるべくもない。


 惰弱なハインリッヒを見て感じる快感は、それとはまた異なる感情によるものである。今現在、ベルンハルデに発露しているのは、いわば達成感。面倒な調教の末に、ようやく家畜の吠え癖が鳴りを潜めてきた。躾の成果がわずかながら見え始め、これから芸の一つでも仕込めるようになっただろうか。そんなところか。否、そこまで高尚なものでもない。


 仕置きのもたらす目に見える優位性に、ベルンハルデは知らずのうちに酩酊していた。その片鱗が湧き上がったのは、右脚が瘴気の刃によって切断されたとき。一瞬明度の高い赤一色の断面図がちらついた瞬間、ベルンハルデの気分は言いようもなく高揚した。彼女の口元がほころんだのと、周囲にぱっと血の花が咲いたのは同時だった。


 あははは、ざまあみろ。同じ傷を負わせてやったぞ。もう、愉快で愉快でしかたがない。次はどんな表情でわたしを笑顔にしてくれるのかしら。たかだか数か月のキャリアで【抜刀】したと聞いてみれば、子供が包丁を振り回しているのと何ら変わりないじゃないか。これは教育が必要だ。躾が足りない。躾けてやらなきゃ。お兄様に失礼がないように、次はその手癖の悪い両手から!


「っ……!! あ……ぎ……」


「どこが痛い? のど? 足? でも残念。わたし、あなたがどんな目に遭おうが痛くも痒くもないもの」


 がさがさ、ぎゃりぎゃり、じゃらじゃら。


 息絶え絶えのハインリッヒに有無を言わさず、次の瞬間には彼の頭上に剣戟の奔流が降り注いだ。咄嗟に白布を広げて防御したのは見て取れたものの、すぐに黒の靄と刃に覆い尽くされ見えなくなる。滝の如く降り注ぎ、地面に衝突した刀剣は朽ちて砕けて砂となる。酸化した鉄のような黒い砂が、血だまりに滲みこんでいく。


「安心なさいな、鼻と口くらいは残してあげるから!」


 カツン、と足を踏み出し、そう高らかに嚇しを張り上げた直後だった。 


 ピチャリ、わずかな水音。乾きかけの血痕を踏みつけたのか、粘り気のある音が聞こえた。それだけなら、気にかける事もなかっただろう。視線を足元に落とす事すらなかっただろう。


 注意をほんのわずかにハインリッヒから逸らした刹那。足裏からふくらはぎまでにかけて、カギ状の鋭利な何かに貫かれさえしなければ。


「な゛っ……にぃ……!?」


 痛い。痺れる。地面に縫い付けられたも同然の傷口は燃えるように熱く、激痛が右脚から腰部までを引き攣らせる。ただのブービートラップ、というわけでは断じてない。【帯刀】、および『活性』で強化状態にあるベルンハルデの肉体を傷つけるには、同じ出力を持った魔術現象の行使が不可欠だ。


 それは瞬間的に凝結した血液。凍結したわけではなく、少しの『戦性』と『咒性』を乗算させただけの、こけおどし程度の手品。ハインリッヒが術者というのは考えづらい。『咒性』を防御の白布に割いている彼に、このような奇襲めいた手段はまず無理だ。だとすれば、他に考えられるのは一人しかいない。


 エミリア・ハルトマン。もう一人の裏切り者は、既に彼女はアガーテやブロッホの追撃から逃れ、こちらへハインリッヒを奪回しに来たという事か?


 ――――あり得なくはない。対オリエンス東部戦線、そしてエリンを巡る対ネルガル攻防を生き抜いた古強者。同条件のブロッホならばあれを正面切って御しきれるだろうが、果たして――――エミリア・ハルトマンがここに? ここに来る? ベルンハルデ(わたし)を、殺しに?


 曇る。


 絶対的な支配率が、ここに初めて淀みを見せる。


 心の臓が不穏に跳ね、一握りの懸念が広がりを見せた。


 瘴気が満ちるベルンハルデだけの開闢宇宙に、幾許かの綻びが生じる。薄く走ったひび割れの向こうから覗くのは、うっすらと浮かぶ警戒――――畏れの念であった。定かですらないエミリア・ハルトマンの片鱗に、ベルンハルデは過度ともいえる緊張を抱いた。


 己こそが唯一無二の絶対存在と信じ、法理を定め頂点に君臨する強者を自称する事で【開闢】という術式は完成する。しかし、第四等級という発展途上の位階に甘んじるベルンハルデが紡ぎだす開闢宇宙は、どうしても完成度という点において問題が付きまとう。己の産んだ宇宙に住まう者に下剋上を起こされれば、編み出された仮想宇宙は瓦解する。欲望の強度、正当性、瀰漫性――自身の誇る哲学が敵対者に劣るような事があれば、綻びはさらに加速する。


 単純な総出力の衝突で決定される優劣に加え、顛現術が潰え得る原因はもう一つ存在する。


 己が想像した宇宙に、並び立つ己以外の神性を術者自身が認めてしまう事である。


 これこそが顛生具現の最大の致命傷となる、畏敬の発露である。只人が上位の存在に向けて生じさせる敬い、畏れ、崇拝の念とは、すなわち自身の神秘性と神性を放棄するのと同義。一方通行の憧憬によって自己を貶める思考の形態が湧き上がった瞬間、絶対哲学領域は限りなく縮小し、顛現法は効力を喪失させる。術者の、己は人間であるという自覚がひとたび片鱗を見せれば、いとも呆気なく人外の術法は崩壊する。


 つまり、ベルンハルデほど――――


 ――――彼女ほど顛現術に向いていない人間など、十三騎士団には存在しないのだ。




「あなたの言う通りだ。お膳立てを全部他人に任せるのは、確かに善くない」


 冷めた声色――――焼け爛れたままの、しかし芯のはっきりとした一言。


 二人の血が混ざり合う足元から視線を正面に写す。血の滲んだ襤褸布をすっぽり頭から被ったハインリッヒが、すぐ目の前にいる。ところどころに多様な刀剣が突き刺さり、よもや【抜刀】はおろか【帯刀】を保つ事すら困難であろう無残な有様で。


「僕も、あなたがどんな目に遭おうが痛くも痒くもない」


「それがどうした」


 当たり前のことをくだらん鸚鵡返しで吐きかけたところで、惨めなだけなのに――――まるで根拠のない畏怖を推し殺すかのごとく、ベルンハルデはフルンティングを振り下ろす。


「最初に手にかける人間が、あなたみたいなクソ野郎で本当によかった」


 処断の刃がハインリッヒの頭上より殺到する。狂乱する荒魂が年若い肉を割り開かんと声なき嬌声が響き渡ったのとほぼ同時。


 血濡れの肢体を包んでいた白い緞帳カポーテが、突如勢いよく取り払われた。多量の血液を含んでいながら、白布は優雅にはらりと宙を舞う。


 涙の筋が今なお残っていながら、ハインリッヒの表情に曇りは一切ない。無表情。言うなれば、泣き腫らしたように見えるその顔立ちは色濃い化粧(ペルソナ)だろうか。意図した結果を引き寄せる為の撒き餌、ベルンハルデの思慮を散漫なものにする為の策。


 残る左脚の力だけで踏み入り、ハインリッヒは十分に近い間合いを一気に詰め寄る。


 比較的傷の浅い右腕の先には、煌めく黒曜の短刀が握りしめられていた。柄を保持する握り手は弦でがんじがらめに固められ、幾重にも巻きついたそれは皮膚に食い込み、少なくない量の血が滲んでいた。


 ベルンハルデの防御は間に合わない。振り下ろしたフルンティングで斬り払うのは不可能な間合いである。意識は確かに眼前の短刀に向いているのに、魔力もとい『咒性』の大部分は剱どもの制御に割いてしまっている。奇襲による動揺は更にベルンハルデの恐慌を招き、『戦性』『活性』での純粋な耐久能力にも影響を及ぼす。


「死に損ないのダニカス野郎ォが!!」


 咄嗟に飛び出た悪態も虚しく、ベルンハルデの体感時間は数兆分の一にまで圧縮される。それが詠唱ウタの前兆である事を悟ると、彼女の不安と憤怒のないまぜになった感情はより一層昂ぶりを見せる。しかし、これより流れ出す未知なる宇宙は、彼女に発言の権利を許さない。


 黒曜の剣身が、ほのかに温かみのある光を放ち始める。琥珀色と呼んで遜色のないその光は、漆黒の一色に染まっていた刃を徐々に明るく染め上げる。中央は一際色濃いバーントアンバー、その周囲を飴色が滑らかに輝き出す。


 剣身が、柄が、焼けた鉄のようにかたちを変容させていく。穏やかな河川の流れの如くに、短刀だったそれは、瞬きする間に片刃の直刀へと昇華する。鋭利な切先が真っ直ぐ指し示しているのは、ベルンハルデの喉笛。彼女にこの刺突を回避する手段は、もはや残されていない。



Welch reiner Himmel deckt diesen Ort!

仰ぎて見たまえ、このどこまでも澄み渡る蒼穹を


Ein sanft'res Licht strahlt meinem Blick und welch harmonischer Gesang

いのち育む光挿し、鳳翼抱く詠い手が、木々よ獣よと歓喜を謳う


der zart beflügelten Sänger ertönt in diesem Hain!

祝福と希望とが天を舞い、なんと麗しき歌でこの地は満ちているのだろう


Doch die Ruhe, die hier alles atmet, bringet nicht mir mein Glück zurück!

されど、多幸をもたらす歌唱とて、天の甘露をこの手にしたとて、

この地で産まれ息づくすべては、私の求む真なる神秘には遠くあたわず


Vermagst den Gram aus meiner Seele zu verscheuchen!

わたしの憂いを、悲哀を取り払うのはただあなただけ


Nur der Ton deiner süssen Stimme, nur dein liebender Blick,

蒼く澄む清らかなあなたのまなざしこそが、


dein holdes Lächeln

愛しのあなたの朗らかな微笑みこそが、わたしを未知へと導く(きざはし)


geben mir Freud und Wonne wieder.

其は黎明より紡がれし白き絹糸、わたしを包む終焉と開闢。

それこそが、きっとわたしの幸福なのだ



 速く。何よりも、誰よりも疾く。琥珀の剣の切先は、ベルンハルデの頸を射抜いた。刃が喉元を貫通してから、初めて彼女は致命傷を認識した。裂けた動脈からは、まだ血液は溢れてこない。痛みは未だ感じない。


――――わたしの、わたしの宇宙が、一生懸命編みこんだ、わたしの法理がこわれちゃう――――



Am Anfang schuf der Held 4te heiligtum “Machonom”

――――肆之天マコノム、開闢


【Der Rohseide Schnee Weiβ】

至天織りなす新雪の銀弦



 ハインリッヒのもとに、斬り飛ばされた右脚が吸い寄せられるように戻った。傷口か衣服かに予め仕込まれていたのであろう弦を使って、自ら手繰り寄せたらしい。その断面はあまりに滑らかで、到底瘴気を纏った錆まみれの刃に両断されたようには見えない。


 切断面同士が合わさり、傷口を銀色の糸が縫合する。全員を覆う痛ましい切創も、同じ方法で止血縫合が施されていく。


「【抜刀】」


 接着したばかりの足を地面に着け、残る左手を水平に上げる。虚空からハインリッヒの手が抜き放ったのは、もう一振りの剣だった。ベルンハルデを貫いた琥珀の剣と比較すると長大な片刃剣は、彼の行使する銀弦と同じ光を携えていた。飾り気のない柄から垂直に伸びる刃はベルンハルデの振るう顛現剱フルンティングと相反するように白く煌めき、腹は鏡の如く戦慄する彼女の貌を映し出していた。


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