異界3
ノワールの正門に当たるストランダー街門には、観光客や冒険者が引っ切り無しに出入りしている。
人が常に往来する開け放たれた門の前には、二人の門番が視線を動かして、不審者・不審物の発見に勤しむ。門の左右を挟む崖の一部を整備した部屋や通路には、獰猛な獣や山賊の襲撃を警戒する見張り番が周囲に目を光らせていた。
町への襲撃を備えて警戒が続く中、一人の黒髪の青年が挙動不審を必死に隠しながら近付く。
表情には困惑と緊張が張り付き、少しずつ進む度に自身の服装や他人の顔色を確認していた。
(やっべぇ、どうしよう! やっぱり、この服は浮くよな!?)
青年の服装は間違ってもこの場に――いや、この世界の価値基準に馴染んでいるとは到底考えられるものではなかった。
最初に青年の肉体的外見だが、以下の通りだ。先ずは髪型であるセミショートの黒髪は、相手に不潔感を感じさせない程度に整えられ、顔の作りはお世辞にも格好良いとは言えない、人によってはそこそこと思えるレベルである。
衣服の上からでも分かる体型は、太っている訳でも痩せている訳でもない、一般的な健康体そのものと言える体型だが、盛り上がるような筋肉は無い。
だが、それらは彼の珍しい服装と比べれば、気に止める程では無かった。
この大陸の一般的な服装は、中世ヨーロッパに近いものがある。
しかし青年が着用している衣服は、現代日本などで着られる若者向けの服装であった。
黒い無地の上着に白いジャケット。下は紺色のジーンズに、黒を基調としたスポーツシューズの組み合わせだ。追加として腰の右側には白い縁取りがされた萌黄色のポーチを、左側には鞘と柄が白と金で染められた、美麗の刀を携帯していた。
そんな場違いにも程がある格好で、中世ヨーロッパのような人々が集まる街中を練り歩こうというのだ。図太い神経の持ち主でなければ、誰でも頭を抱えたくなる服装だ。
更にもう一つ、青年を悩ませている問題があった。
(服装も恥ずかしいが、何より一番の最難関は――)
未だに後悔と羞恥を織り交ぜた視線を、まだまだ先に佇む二人の門番にチラチラと向ける。
(言葉が通じるかどうかなんだよなあー)
異なる民族が会した時、一番の問題となるのは文化でも主義主張でもない。意志を明確に伝える言葉である。
意志が上手く伝えられずに、悲しい結末となった歴史は多々ある。それだけ言葉の壁は高く聳え、乗り越えるには険しい道程なのだ。
「はあ……」
これから起こるかもしれない面倒事に、早くも溜め息を漏らしてしまう。
(こんなことになるなら、少なくとも幻影の指輪で造った外見の服装だけは、中世風にすれば良かった……!)
今更ながら青年――デュランは左手人差し指に嵌められた幻影の指輪を通して、調子に乗った過去の自分自身に恨めしげな視線を、念と共に送る。
ファンタジーに現代衣装は有り得ないだろ。ちょっとは考えろ、過去の俺。
過去の自分自身への責任転嫁という虚しさしか残らない悔恨を送り、再び現実の問題へと目を向ける。
行き交う人々に目を光らせている二人の門番は、今のところは荷馬車以外に声を掛けている様子はない。
もしかしたら、このまま怪しまれずに通過できるのではないか、などと希望的観測を懐きながら開け放たれた門の向こう側を見据え、歩みを進める。
(武器は……持ってた方がいいよな。普通に武器持った人たちが呼び止められずに入っていってたし。いざとなったら逃げればいいんだ。今の俺の速度なら、逃げ切れる……筈だと思うが)
胸中を満たす不安を、動きに表れないように何とか抑える。背筋を伸ばし、視線をしっかりと前を見詰め、現在の速度を維持しつつ可能な限り堂々と歩く。
門に近付くにつれ、町を警守する二人の門番が遂にデュランの存在に気付いた。
ドクンと、心臓の鼓動が一段と高鳴る。
二人の門番は視線を外すことなく、門へと近付くデュランに注視を続けた。
突き刺さる視線を努めて無視を貫きながら、逆に門番に視線を合わせないように注意して、急く足を意識的に抑える。
デュランと二人の門番の距離は徐々に、だが確実に狭まる。
一向に視線を外さない門番たちの眼前を、遂に通り――そして抜けた。
(…………切り抜けた、か? ふぅ……一安し――)
「おい」
心臓が爆発したんじゃないかと錯覚する程の鼓動が、身体の動きを完全に停止させた。
動きを止めたデュランに背後から先程の二人の門番が、道を塞ぐようにぐるりと回り込む。
「此処らじゃ見ない服装だな。何処から来たんだ? 独りで来たのか?」
「えっ……と……」
矢継ぎ早に質問するのは肌が色白い門番。
面倒な状況ではあるが、発音の意味が理解できるということは――理由は不明だが――危惧していた言葉の壁を乗り越え、意思疎通が可能である事実に他ならない。だが、安堵直後の緊急事態に思考は混乱、言葉も上手く出ないでいた。
「おい、聞いてるのか?」
どうして日本語なの。
質問とは関係無い疑問を最初に考えつつも、何とか用意していた切り返しの一つを思い出し、緊張を落ち着かせながらゆっくりと答える。
「俺――じゃなくて、私は旅の者でして、世界中を回っている所なんですよ。その道中、この町に立ち寄ったわけです」
上手く伝わったのかは分からないが、言葉を詰まらせることなく発声できたことで、少しだけ自信が付く。そして緊張も解れてきたのか、当初は気付かなかった僅かな違和感をデュランは感じた。
(あれ……この人たち、口の動きが?)
それは唇の動き。日本語を発音している筈なのに、唇は全く別の動きをしていた。
(まさか、翻訳されてる?)
二人の門番は日本語を喋っているのではなく、この国の言葉をデュランの脳は自動翻訳で理解していたのだ。
全ての魔法等を記憶している点も合わせると、デュランの脳は人間の物では無くなっている可能性があった。それはアバターの肉体故の恩恵でもあると同時に、薄ら寒いものが背筋を流れる。
一方、二人の門番は眉根を寄せ、疑問を表情に浮かべた。
「旅……?」
先の返答の内容が気になるのか、二人は互いの顔を見合わせ、今度はデュランの全身を上から下へ見下ろす。
「その軽装でか?」
どっと汗が流れ出した気がした。
確かに、色白い門番の指摘も的を射ている。
武器を所持しているとはいえ、本当に世界中を旅して回っているのなら、デュランの装備はあまりにも軽装だ。
身一つの格好で旅をしていると答えられても、素直に頷ける筈がない。
そこまで頭が回っていなかったのは明白で、他に打開策がないか必死に思案する。
「おい、どうした?」
二人の門番は不審を徐々に露わす中、色白い門番はデュランが携帯している刀の外装に目を向けた。
「なんだ、その剣?」
もう一人の浅黒い門番も、相方の言葉に気付いて目を向ける。
珍しい形状の剣。特に二人の視線を奪ったのは、その見事なまでの色彩であった。
「ちょっと見せてみろ」
色白い門番は空いた片手を差し出し、ここに置けという意思表示を見せる。
明らかに物欲に支配された目だ。場合によっては、適当な理由をこじつけて没収される可能性があった。
「いや、これは大切な物で……」
「いいから見せろ。町に入れるのに問題が無いか調べてやる」
周りに視線を向けるが、明らかに武具類を所持して入門しようとしている者たちが、門番たちの脇を幾人も通り抜ける。
門番たちは彼等の装備を目視しているにも関わらず、意に介した様子はない。
舌を打ちたい衝動に駆られるが、理性で苛立ちを抑えて腰から刀を外し、色白い門番に手渡した。
受け取った色白い門番は手にしていた槍を相方に預ける。刀の外装を舐め回すように観賞した後、鞘と柄を握り締めてゆっくりと引き抜く。
抜き身となった刀身は陽光を反射させ、鏡の如く輝く。流れる波紋の芸術の美に見惚れ、感嘆の声が漏れた。
「おお……なんと美しい。これが剣なのか? まるで芸術品ではないか!」
「確かに、これほどの一振り、見たことがない!」
初めて見る刀の美しさに、二人は口々に絶賛を浴びせ、大きく見開いた瞳を宝石のように輝かせていた。
「これはいったい、なんという剣だ?」
浅黒い門番の質問に、今すぐ返して欲しい想いを抑えて答える。嫌な予感が胸中で、風船のように膨らみ続けていた。
「……刀です」
「刀? ……初めて聞く名前だな」
「もういいでしょ。返してください」
刀を取り返そうと手を伸ばすが、色白い門番は刀を手に持ったまま一歩下がり、厳めしい表情で制止を口にする。
「止まれ! 先ずは何処から来たのか答えるのが先だ!」
「くっ……!」
何処と聞かれても答えようがない。そもそも、この世界の情報を入手しようとこの町を目指したのだ。答えられる筈がなかった。
質問に答えようとしないデュランの様子に、二人の門番は卑しい笑みを浮かべた。
「答えられないのか? 怪しい奴め。この町に何の用だ」
「だから、旅の途中で立ち寄ったって――」
「ならば、その軽装でどうやって旅をして来た。馬車に乗って来たわけでもなさそうだし、凶暴な獣を追い払える程の腕があるとも思えん。お前……本当に旅人か?」
「それは……」
痛い所を幾つも指摘され、言葉が詰まってしまう。その様子に勝ち誇った表情を浮かべた二人の門番は、自らの要求をここで通してきた。
「本来ならお前のような不審者は、詰め所まで連行して徹底的に調べる所だが、今回に限っては特別に寛大な処置をしてやろう」
「本当ですか?」
「但し、この刀は見返りとして提出してもらう」
「なっ……!?」
懐いていた嫌な予感が完全に的中し、色白い門番を睨み付ける。先程まで身体を支配していた緊張や羞恥は、完全に消え去っていた。
「なんだ、その反抗的な目つきは。せっかく、この刀一本で見逃してやろうというのに」
「その刀は俺の……家の家宝なんです。渡せません!」
「家宝だと?」
門番たちは再び刀に目を向ける。
成る程、確かに家宝と呼ぶに相応しい出来映えである。
もしかしたら、何処か辺境に住む名家の出身である可能性が、二人の門番の脳裏に過ぎる。
「まさか……貴族か?」
「はい……」
「……名前は?」
とんでもない失礼をしでかしている可能性に、弱腰が門番たちの表情に覗かせた。
質問を投げ掛けられたデュランも場の空気の変化を確かに感じていたが、状況に流されるままに打開策が未だ閃かなかった。
「デュラン……」
「デュラン? 下の名は?」
「っ…………!」
「言えないのか?」
「……クリエイト」
「デュラン・クリエイト? ……聞いたことがないな。それに、名が二つしかない。貴族なら三つある筈だ」
「アビスです! デュラン・アビス・クリエイト!」
咄嗟とはいえ、頭の中に浮かんだだけの単語を繋げた、人の名前と呼ぶには首を傾げざる得ない、酷いネーミングセンスであった。
(なんだ、アビス・クリエイトって! 選りに選ってゲームの名前なんて、これは酷すぎるだろ!)
自身で自身を誹謗中傷してしまうほどの酷さだ。危惧していた通り、門番たちも顔を見合わせては首を傾げた。
「……聞いたことあるか?」
「……俺は無いな」
記憶を手繰り寄せても、該当する名前が浮かび上がらず、強い不信感が露わとなる。
その変化に気付いたデュランは、一気に攻勢を仕掛ける覚悟を決めた。
「お前、本当に――」
「軽装で旅してるのかと聞いたな!?」
「あ、ああ……」
豹変したかのような急激な気迫の変化に、門番たちは困惑の表情を浮かべる。
勢いに任せたデュランは、腰に装着したマジックポーチから一枚の金貨を取り出し、色白い門番の眼前に突き付けた。
「旅に服装や荷物なんて関係無い。これがあれば幾らでも現地調達できるし、傭兵や馬車は雇い放題だからな!」
金貨を突き付けられた色白い門番は、その輝く光沢に目を見開いた。
この国の通貨は四種類が流通しており、金貨と銀貨と銅貨と、白楼石と呼ばれる鉱石をコインの形に加工して、国旗が彫られた白貨である。
価値としては一枚につき、白貨が1フィロル。銅貨が50フィロル。銀貨が500フィロル。金貨が2000フィロルとなっている。
この門番たちを始め、各都市に駐在する皇国兵士たちの給料は低く、月の手取りが950フィロル――平民の月給は約800フィロル――しか皇国から支給されない。そのため金貨に触れたことが殆どないのだ。
「ほ、本物かどうか、確認していいか?」
なかなかお目に掛かれない金貨を目の前にした色白い門番は、吸い寄せられるように金貨に手を伸ばす。
デュランも異論は無く、金貨をそのまま手渡した。
「これ、本物か?」
「分かんねえ……こんな細かい彫刻、見たことないが……」
二人の門番は金貨に刻まれた彫りを、隅々まで見詰めたあと、槍の刃で少し削る。
金貨の表面に軽く傷が付き、傷痕の中も金色に輝いていた。
メッキを張り付けている訳でもない、流通している通貨のには混じっている不純物が一切混入していない、滅多に御目に掛れない純金製の金貨であった。
二人は驚愕の表情のまま、金貨とデュランを交互に見比べる。
追撃の好機と判断したデュランは、マジックポーチから更に金貨を取り出す。その枚数は20枚以上。それだけの枚数を無造作に鷲掴みにして見せ付けたのだ。
「これだけの金貨を、ここいらの連中は当たり前のように持ち歩いてるのか!?」
「い、いや……」
「そんなことは……無いです……」
見たこともない総量の、純金製の金貨の山を見せ付けられ、二人の卑下た態度は急速に軟化していく。
まさか、本当に貴族なのか。先程までの否定的だった貴族の信憑性が、大量の金貨の登場で一気に肯定に転じる。
平民では持ち得ぬ金貨の山。伯爵とて安易に持ち運べる量ではないのは一目瞭然。下手したら、護爵級の財力を保有している可能性がある。
デュランの素性及び背後が全く読めなくなってしまった二人の門番は、不安の余りに互いの顔を見合わせる。浅黒い門番の表情は青ざめており、護爵級の人物に不遜を働いてしまった可能性への恐怖が張り付き、自身も同じ表情をしているのは、姿見に映さなくても容易に想像がついた。
効果は抜群。先程まで追い詰められていた形勢が逆転したことは、二人が恐怖に呑まれた情けない面構えを拝むだけで十分に伝わってきた。このまま最後の一押しと畳み掛けるように、怒涛の勢いで捲し立てる。
「俺はこの辺りの出身じゃない。アビス・クリエイトの名を知らないのは不思議じゃない。だから、此処までの無礼は特別に赦してやる」
赦してやる――その一言に、青ざめていた二人の表情は次第に安堵に包まれていく。
機微の変化を見抜いたデュランは、低音に落とした声で脅しに掛かった。
「だがな、これ以上の狼藉は俺の家と、多数の親類縁者を敵に回すと思え?」
二人は恐怖で固まった顔を、必死で上下に何度も動かす。固唾を呑み込み、恐怖を少しでも和らげようと視点を外して、委縮した心を守る。
張り詰めた空気の中、更に彼等を襲うのはビリッとした感覚である。それが身体の至る場所でチクチクとした刺激を与える。
しかし、その怪現象に意識を割く余裕はなく、眼前より放たれる人の物とは思えぬ凶暴な殺意から、なけなしの理性を保つのに精一杯であった。
「分かったら、俺の刀を返して其処を退け」
「は、はい……!」
両手で丁重に差し出された刀を確認した後は、先ずは鷲掴んでいた金貨の山をマジックポーチに仕舞う。次に色白い門番の手から引っ手繰るように刀を取り返し、腰の元の位置へと戻した。
「あ、あの……これも……」
色白い門番が示す掌の上には、真贋を確かめるために手にした金貨だ。
それを一瞥してデュランは、マジックポーチからもう一枚の金貨を取り出す。その金貨を、浅黒い門番に手渡した。
「この二枚の金貨は二人にやる。その代わり、二度と俺に関わるな。その命が金貨より軽いのなら別だがな」
臨時収入への歓喜と権力的強者への恐怖が綯い交ぜとなり、僅かに緩んだ頬とは対照的に機敏と道を開ける身体。
「大変失礼致しました!」
「どうぞお通り下さい。デュラン・アビス・クリエイト様!」
「ああ」
二人の門番に最敬礼で迎え入れられながら、デュランは門を潜る。
中央を歩く姿は堂々とした振る舞いで、脇目も振らずに人混みの中へと埋没していく。
そのまま活気に溢れる人の波を進み、やがてゆっくりと背後を振り向いた。
先程まで足止めを食っていた門は、人混みによって上部までしか見えず、あの二人の門番の姿は何処にも見当たらない。
目視ができないことを確認すると、その場で大きく息を吐き出した。
「はあぁぁぁ…………助かったぁ」
胸に手を当てると、未だに心臓がバクバクと早鐘を打っていた。
「まさか、出足から問題発生の連続とはな……」
行き当たりばったりの展開を除いても、デュランは元々引き籠りで人見知りの激しい性格だ。見知らぬ人の前では、緊張であがってしまう。お蔭で面接が大の苦手である。
しかし、今回の切り抜け方を彼の性格を考慮した上で判断すると、大健闘と言える結果であった。
「もう、これ以上の面倒は起きないでくれよ……」
精も根もガリガリと削られたデュランの表情は悲壮に満ちており、重い足取りをそのままに人の流れに乗るのだった。
◇
デュラン・アビス・クリエイトが人の流れの中へと消えていったのを確認した二人の門番は、互いに顔を突き合わせていた。話題は当然、デュランという名の護爵級貴族だ。
「すげえ迫力だったよな」
「ああ。怪しい鴨がネギ背負ってきたかと思ったら、青林渓谷の魔獣みたいな殺気を放ってたな」
「ロックフレムの先の未踏域に住む化け物だよな。討伐に向かった護士30人が挽肉にされたって言う。例として上げるなら、確かに言い得て妙だ」
「護爵に匹敵するかもしれない財力に、伝説の魔獣を思わせる殺気……いったい何者なんだ」
怒りに満ち溢れたデュランの形相を思い出した二人は、知らず知らずの内に身震いする。殺気と共に全身を襲った、電流にも似た痛みが微かに残っていた。
色白い門番は手元で光る物を見詰めながら、あの殺気だけは早く忘れようとするが、少し気になっていたデュランの下の名前を思い返していた。
「アビス・クリエイト……か。やはり聞いたことがないな。あの黒髪だとセダルシナ諸島の出身か?」
「いや、どうだろうな。血は幾らか混じってるだろうが、肌は白くなかった。南のアルスナム共和国かも知れねぇ」
「少なくともアタラティア出身じゃあねぇな」
「こんな彫刻、隣国のセリカティールやアンジス・カドルでも見たことないからな」
「ま、なんでもいいや。この金貨を売れば3000フィロルはくだらねぇだろ。今日の晩餐が豪華になるぜ!」
嬉々とする二人の門番が指で摘まんでいるのは、デュランに手渡された金貨である。表面には女性が祈りを捧げる絵と『ABYSS』の文字が彫り込まれていた。
人物紹介その2―2
デュラン(人狼)
装備一覧。
主武装――打ち砕くもの(ミョルニル)
副武装――無し(主武装の影響を受ける。更に未装備による素手での攻撃力ボーナス付与)
頭装備――無し(胴装備の影響を受ける。更に未装備でAGI微上昇)
胴装備――神魔滅我の闘衣(頭、脚装備に影響を与える)
脚装備――無し(胴装備の影響を受ける。更に未装備でAGI微上昇)
装飾品――マジックポーチ(運搬用携帯アイテム)
装飾品――身代わりの腕輪(ワールドイーター戦で消費済み。現在、未装備でAGI微上昇)
装飾品――粉砕と流星の加護(STRとAGIが超上昇)