ちいさな もり と ちいさな まもの
小さな森を少し出たところ
大きな馬車と武装した人族がよく通る場所
そこには今緑の肌と小さな身体を持つゴブリン達が立っている
大きな魔物にここを通る人族を森に誘いこんでほしいと言われたからだ。
大きな魔物は人族に殺されかけた自分達を助けてくれた
はじめて見るその大きな魔物は恐ろしい力で人族を簡単に引き裂いていく
そしてこちらを見て、この森の外に何があるのか教えてほしい。と言った
それがゴブリン族と大きな魔物が初めて遭遇した話
きっとこの話はゴブリン達の中で語り継がれていくだろう
そうやってゴブリン族の歴史は作られていく
とても強いゴブリンの王の話。
とても大きいゴブリンの街の話。
ゴブリン族の勇者の冒険の話。
今回の話に題名をつけるなら、窮地に陥ったゴブリン族を救ってくれた大きな魔物の話。
長いから少し縮めて
ゴブリン族と大きな魔物の話。
そんなことを考えているうちに、遠くのほうから馬車の一団がこちらにくるのが見えた。
大きな魔物に言われたことを思い出す
まず馬車を襲う振りをする。
武器を持った人族が出てきたら、森のほうに一目散に逃げる。
それだけだ。
もし追いかけてこなかったら他の馬車に同じことをやる
追いかけてきたらそれでおしまい。
だが大きな魔物は追いかけてきても、追いかけてこなくても構わないと言っていた。
その行為に何の意味があるのかゴブリン達にはまだ分からない。
その行為の意味をゴブリン達が分かるのは少し先のお話。
今はただ、持っている粗末な棍棒を天高く掲げ、雄たけびと共に馬車に突っ込むだけなのだ