プロローグ
舞台は現代!夏!
桁外れの暑さ!!!
アスファルトの砂漠!!!!
そんな熱帯地獄の中で今ひとつの命が消えようとしていた!!
彼は道路の端にあり、車は唸り声をあげて真横を通りすぎる!
まさに絶体絶命!!!!
力尽き開け放たれた肢体、生物によっては服従を意味するお腹をさらけ出し
動かぬ屍と化している!!!
だがしかし!!だがしかし彼はまだ彼は生きていたのだ!!!
セミ である。
セミとはその生の大半を土の中で過ごし、生の終わりを感じると地上に姿を現す。
そして運命の相手を見付けるために力の限り鳴く!鳴く!!鳴く!!!
彼もまたそんな習性に従い地上に出てきた一匹である!!!
しかしそんな彼に待っていたのは悲劇だった!!!!!!
その悲劇とはつまり鳴けども鳴けども運命の相手は現れず、寄ってくるのは人の子供だけという悲惨な末路!!!!!!
だが彼は決して諦めなかった!!!
昼夜を問わず鳴き続けたのだ!!!!
しかし!天は彼に微笑まなかった!!!
不屈の精神で鳴き続けた彼も力尽き、路上に転がり今に至る!!!
もう死を待つだけとなった彼の思うことはただひとつ!!!
怒りだけである!!!!!!!!!
何もない土の中で10年生きた!!!
生の終わりを悟り地上に出た!!!!
始めてみる地上では感動に震えた!!!
やりたいことはいくつもあった!!!!!
彼が蝉である以上、それら全てを放棄せざるを得なかった!!!!!!
そして全てを諦め運命の相手を探し続けた。
その仕打ちが、これだ。
路上に転がりアリに食われるか、車に潰されるのを待つのみ。
彼のそんな思いと怒りが!!!!!!
今!!!ここに!!!!!
奇跡を起こす!!!!!!!!!!!!!!!!!!