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バトルの肉付け6-セリフその②-

 戦闘シーンにおけるセリフの役割についてはもう少し詳しく語ってもいいかと思いますので、本項を執筆しました。


 前回、リアルな戦闘とファンタジーな戦闘で口数は変えた方がよいというお話をしましたね。

 それを踏まえ、今回はファンタジー世界での戦闘におけるセリフをもっと掘り下げます。


 なろう小説の人気ジャンルは依然として異世界転生・転移モノであり、ここでどれだけしっかりした戦闘シーンを書き上げられるかというのは特に初心者の方にとっては死活問題でしょう。

 本作もやはりこの人気ジャンルにおける戦闘シーンを念頭に置いた解説を行っています。


 印象的なセリフとはどういったものか。

 何か思い浮かびますか?


 あなたの好きな漫画や映画や小説において、印象深いセリフがどのような場面で、また誰によって発言されたかを思い浮かべてください。

 このエッセイは戦闘シーンの為のエッセイなのでできれば戦闘中、またはその前後での発言がいいですね。


 戦いとは意志と意志のぶつかり合いです。

 なのでその中で飛び出すセリフには、そのキャラクターの行動理念や思想が端的に表れてくると僕は考えます。


 たとえば相手を倒した時に、


「ふん、他愛のない相手だ」


 と見下すか、


「なかなかいい剣筋であった」


 と尊敬を表明するか、


 こういうセリフ一つ一つでそのキャラの個性が浮き彫りになるのです。

 

 僕は日常シーンよりも戦闘シーンの方が、キャラの本質に迫る発言を盛り込めると考えています。それはなぜかというと、命の危機が迫る状況であればこそ、人間の思考はシンプルになるからです。

 死闘の最中に余計なことは考えられないし、余計な発言などしてられないでしょう。その中で出てくるセリフなのですから、これはもうそのキャラの根幹をなす要素の発露であるに違いありません。


 激戦の中で仲間を気遣う発言をさせればそのキャラの人格の高さや仲間を思いやる心根を表現できますし、逆に他者を顧みない発言をさせれば冷淡な印象を与えることも出来ましょう。


 そして上記の内容を基に、激しい戦闘シーンの中でも余計なことをベラベラ喋るキャラを作れば、それはそのキャラクターの底知れぬ実力を表現することになります。傍から見て死闘であってもそのキャラにとってはそれだけ余裕のある状況だ、ということになるからです。


 セリフの長さや内容を意識するだけで、これだけ多様なキャラ付けが出来るわけです。

 しかもセリフは読者にとっても心理的負荷が少なく読める部分です。

 ここをしっかり書いていけば、作品の面白さをより確実に読者に伝えることが出来るでしょう。


 

 ちなみに、特定のセリフを読者に強く印象付けたいこと、ありませんか?

 主役級キャラの決め台詞などですね。


 この場合、素直な方法はそのセリフをとにかく繰り返し用いることです。

 どの戦闘でも開始時に絶対その発言をさせる、であるとか。


 しかしやりすぎると作者の意図が漏れてしまい読者にとってはくどいと取られることもあるでしょう。

 更に、物語的にそう何度も同じ発言を繰り返すことが出来ない時もあります。

 そのような状況でもセリフを印象づける方法はあります。


 当該セリフを文章全体から浮き上がらせる、という方法です。

 これだけでは何のことやらさっぱりですね。


 ここで一度ブラウザバックして、バトルの肉付け4、スピード感のページに戻ってみてください。

 この文中で唯一、前後の余白を2行分取っている箇所があります。



 戦闘シーンのスピード感は、“余白”で演出する!!



 という一文です。

 ここは僕的には絶対に伝えたい部分だったので余白を多く取って視覚的に見えやすくしました。

 見えやすい、すなわち記憶に残りやすいという戦法です。


 これをセリフに転用してしまうわけですね。

 あえてそのセリフが見えやすいように文章を構成する。

 

 余白を多くとってもいいですし、前後を長文で挟んで、セリフはごく短くしてメリハリを効かせてもいいと思います。逆に長いセリフの前後を短い文章でサンドしてもいいでしょう。


 とにかく、当該セリフが視覚的に前面に押し出されているのかどうか、これが決め手になってくると思います。

 小手先のテクニックではありますが、なかなか侮れない手法ではないでしょうか。



 以上、少し詳しくセリフについて語ってみました。

 それでは、また次回!

 

 

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― 新着の感想 ―
メイドインアビスの度し難いなんかがいい例ですかね
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