戦闘シーンは自由に書いていい
さて、前回お話しした通り、今回の更新をもって本作は一応の完結ということになります。
今後も内容の全体的な見直しは定期的に行うつもりではありますが、連載としては今回で終了ということです。
最後のテーマは、本来バトルの書き方に定型などない、ということです。
バトルの書き方は自由でいいし、各々が自分なりの方法論を以て書けばよかろうと、僕は思っています。
この思想はこれまでの内容と一見、矛盾しているように見えますが、そうではありません。
戦闘シーンを自由自在に書く。
この行為それ自体の難易度がそもそも高いのです。
たとえば初めて小説を連載しようとする書き手に、いきなり戦闘シーンを書けと言っても何をどうしてよいのかわからないでしょう。
普通の会話文や日常の描写ですら、初心者ではおぼつかないものです。この上、戦闘シーンという動きが多く描写も難しい場面を描き出すという作業はたいへんな労力がかかります。
このような難しさに対する一つの解答として、チート系主人公の物語はあるのです。
チートを用いてすぐさま戦闘を終わらせることが出来、ストーリー的にも進めやすいですし戦闘シーンの複雑な描写もばっさり省けます。
が、しかし、このエッセイをここまで読み進めてくれた書き手の方々は、そのようなお話で満足しないでしょう。きっと、戦闘シーンについてもっと上手に書きたい、であるとか、自分では書き方は押さえているつもりだが他の人の考えも知りたい、といった前向きな考えの下でここまで読んでくださったのだと思います。
これまでの連載で、僕の手の内はだいたい明かし尽くしました。
その上で僕の最後の主張は、先に書いた通りです。
バトルの書き方に定型はない。
このエッセイの主たる目的は、戦闘シーンの執筆に不慣れな方に僕の書き方をお教えし、そこから少しでも役に立つ情報を吸い上げてもらえたらいいなというものです。
と同時に、自分自身がどこまで戦闘シーンの書き方を体系的に考えられているか、そこのところを確認しておきたかったというのもあります。
誰に教えも乞わず、自分自身で戦闘シーンも思うざま書ける方はこんなエッセイになど目を通す必要はありません。ですが、誰しもがそのような優れた描写力を持っているわけではないでしょう。
本作は現在6000点以上のポイントと3000件近いブックマークを持っています。
この数字はいかに戦闘シーンに悩んでいる作者が多いのかという確たる証明になるのではないでしょうか。
僕は10年以上に渡り戦闘シーン中心の物語ばかりを書いてきました。なろうにて連載しているものの他にも多くのデッドストックを抱えています。これらはもっと古い時代に個人HPにて連載していたものです。
これまでの人生において書いてきた戦闘シーン中心の物語の総文字数は200万字はくだらないと思います。
このエッセイは僕が自分なりに工夫したり読んだ本から学び取った知識の集大成です。
今では僕自身、戦闘シーンに関して言えばだいたいイメージ通りの絵をそれなりの精度で書きだすことが出来るようになってきたと考えています。それでも完璧には程遠いです。
10年の月日を経てこの程度なのですから、僕に文才など無いのでしょう。それでも、まだ書き続けている。それは戦闘シーンを書くのが好きだから。
だからこのエッセイを読んでいるあなたにも、戦闘シーンを書く楽しさをわかってほしい。
そんな風に思っています。
楽しく書く、イコール自由に書ける、ということです。
僕がこれまで書いてきた方法論は全て、戦闘シーンを自由自在に書く、というところへ集約されているのです。
そして願わくばこのエッセイを起爆剤として、なろう全体に素晴らしい戦闘シーンを書ける作者がたくさん生まれて、どんどん興奮する戦闘描写が増えてくれたら、これ以上のことはありません。
いかがでしたか?
このエッセイはあなたの小説にとってお役に立てたでしょうか?
2013年から2019年まで続けてきた本作の連載も今日が最後です。
皆様、ここまでのお付き合い、本当にありがとうございました。
どうか、このエッセイを読んだ方々の執筆ライフに幸多からんことを。
2019.5.2 Kei.ThaWest