いい戦闘シーンが書けない時の対処法
今回はなかなかいい戦闘シーンを書けない時の対処法を考えてみようと思います。ちなみにあらかじめ断っておくと、僕はあまり戦闘シーンで頭を悩ませた経験がありません。これは自慢とかではなく、書き方の問題かと思います。まず、それを語ってみようかと思います。
書き手の中には、二種類のタイプがいると、僕は考えています。
それは、物語中心のタイプと、キャラクター中心のタイプです。
物語中心というのは、あらかじめ作品世界を緻密に設計した上で書き始めるタイプ。このタイプの場合、物語に破綻は少なくなりますが、作品のカラーはおとなしい感じに仕上がりそうです。
反対にキャラクター中心のタイプは、キャラクターが先に出来あがっていて、物語を、キャラクターの動きに合わせて柔軟に変えていくもの。これは、ダイナミックな表現がしやすい代わりに、設定の矛盾や齟齬をきたしやすいという欠点があります。
小説家になろう内に限らず、ネット上の作品、プロではない方の作品は比較的キャラクター中心タイプが多いように思われます。
理由は明白です。
キャラクター中心の方が、書き出しやすいからです。その場の思いつきで物語を走らせることが可能だからです。
そしてもう一つ重要なのは、キャラクター中心のお話は、感想欄などの意見を取り入れ即座に物語に反映できるという利点を持っていることです。
一つの作品を書き上げてから小出しに更新するという方法を取っている方は、なろうではほとんどいないのではないでしょうか。
さて、冒頭の僕自身の書き方について。
僕は、最初期の作品群を除いてほぼ、キャラクター中心の書き方を採用しています。
それは、近作のほとんどが戦闘シーン重視の作品であり、僕自身の哲学として戦闘シーンはその都度その都度、出来たてのものを、最新の自分の書き方で提供するのがよかろうと考えているからです。つまり、戦闘シーンの最重要要素はライブ感である、と考えているからです。
そのために、キャラクターは出来るだけ大げさな、わかりやすい性格や性質を与えます。
僕が戦闘シーンにあまり悩まない理由、それは、キャラクターが勝手に動いて物語を紡ぎだしてくれるからに他なりません。
このような、キャラクターの自発的行動を経験したことのある書き手の方々はたくさんいるでしょう。その時、キャラクターはまさに“生きて”いますし“活きて”もいます。
キャラクター中心に構築された物語は、とにかくキャラクターの魅力が生命線です。
恐らく、戦闘シーンに悩む、というのはこのキャラ付けが不十分であることに起因すると思われます。
物語中心のタイプの書き手は、あまりストーリー展開に頭を悩ませることは無いでしょう。物語の着地点が明確であり、そこへ向かう道筋もしっかりと整理されているからです。
キャラクター中心のタイプの書き手は、先のストーリーが不明瞭な分、ところどころ詰まることもあるでしょう。
戦闘シーンで悩んだ時、筆が止まった時、どうするのか。
まず、戦闘シーンの主役━━多くの場合は一人称の主人公━━の現在の状況を整理してみます。
直近の戦闘シーンを見返し、そこからどれだけ成長しているか、また問題を抱えたか、新たな技を覚えたのか、疲労の蓄積具合は、武器の変更は、パーティメンバーは、等々、書き出してみます。
情報を多く蓄積すればするほどキャラクターを取り巻く環境がよく見え、ここでどうするべきかはっきりしてきます。
また、戦闘シーンがマンネリで困っている場合は、僕の過去の記事を読んでみてください。お役に立てるかもしれません。
個人的意見を言うと、各キャラごとに戦闘スタイル一覧表を作っておくとよいと思います。
と、言ってる僕自身はあまりそういうのを作りませんが(笑)。書いていて設定に矛盾が出てきたら都度修正を入れるズボラ人間なのです。
自分なりにキャラがブレないような策を用意しておく。
そうすることで戦闘シーンでは、キャラクターたちが勝手に動いてくれる。
いい戦闘シーンは、キャラクターがそれぞれの持ち味を活かして伸び伸びと動いている時、生まれるものではないでしょうか。