戦闘シーンにおいて魅力的なキャラとは?
前回まではバトルの肉付けと題して、基本的な戦闘シーン執筆用のお話を繰り広げてきました。
今回からはもう少しレベルを上げて、文章校正より以前のお話をしようと思います。
つまり戦闘シーンを主目的とした小説を書くための、準備段階のお話です。
初回となる今回はキャラクター構築についてお話ししようと思います。
すごく強い敵を考えてみたら、強すぎて弱点が思い当らず倒すのに難儀した。
そんな経験はありませんか?僕は無数にあります。
それでも敵はやっぱり強大な方がいいと思います。お話を盛り上げやすいですからね。
キャラの造形というのは戦闘シーンを面白くするための重要な要素です。物語を彩る魅力的なキャラについてのあれこれを、これから考えてみようと思います。
さて、あなたは物語のキャラクターをどのように作りますか?
やはり好きな作品のキャラクターに寄せて作りますか?
それとも知人をモデルにしますか?
稀に自分自身をモデルにする方なんかもいますね。
頭の中にパッと浮かんだイメージを形にしますか?
剣士、粗野、自信家、などの要素から構築していきますか?
様々な方法があると思います。
僕の場合はまずモデルがあって、そこへ要素を落とし込んでいく感じが多いですね。
キャラクターは小説にとって命とも言える存在です。
とりわけラノベ業界ではこのキャラが弱いと売れない。なろうも多分、ストーリーよりはキャラが重視されるでしょう。
戦闘シーンにおいてキャラクターは、もちろんアクション部分を担う主役です。
彼らに輝いてもらうためにはどうしたらいいのでしょうか?
これからお話しするのはプロット段階での事であり、なかなかストーリーが始まって以降簡単に修正できるものではありません。
しかし頭の片隅に留めておくと今後の作品作りに活かせるかと思います。
あくまで戦闘シーンのみを念頭に置く場合、優れたキャラというのは、
そのキャラクターが動くことで戦闘がよりかっこよくなる特性を持つ
ものが望ましいかと思います。
例えばド派手な魔法が使えるとか、剣捌きがすごいとか。
あとは個性的な能力で他キャラの戦闘を上手にアシストできる
なんかもいいですね。
これに加えて解説キャラなんかもいるとなお戦闘シーンの描写し甲斐があるかもしれませんね。
ちなみに僕の場合ですと、戦闘用のキャラを作るときは能力の利点と欠点は必ず先に考えておきます。
このうち、利点はだれでもすぐに思いつくものですが、欠点は考えるのに少し苦労するかもしれません。
特にチートを扱う場合、基本的には戦闘に負けないので欠点もほぼ無くなってくると思います。
これはこれで爽快感という点から考えるなら悪くはないのですが、戦闘シーンをより面白くスリリングに描くためにはやはり、欠点や弱点が欲しいところです。
一本調子の戦闘シーンよりは二転三転する戦闘シーンの方が読者的には面白いだろうと思います。
まぁ毎度毎度ピンチに陥るのもテンポを損ねるので使用頻度には要注意ですが。
ところで少し話は変わるのですが、僕は主人公側よりも敵側のキャラ作りに重点を置くタイプです。
それはなぜか。
主人公側は、カメラがべったり張り付くわけですからさほど特徴的で無くても覚えてもらえます。
性格や生い立ちなども、事細かに語ることが出来ます。
ですが敵キャラは、場合によっては一回きりで退場となることもある、“消耗品”です。
その場その場で強烈な印象を読者に残さなければ、すぐにでも忘れ去られてしまうものたちです。
そのため敵キャラ造形の際は、設定を大げさに考えるようにしています。
悪役は思い切り悪くしますし、やられ役には出来るだけ強気な長セリフを用意します。
あとはモンスターの叫び声は毎回独自のものを用意しますね。
悪役のキャラメイクは極端なほうがいいと思います。
時代劇の悪代官のような、典型的悪役イメージですね。
あるいは、悪役をダークヒーロー的に捉えるやり方もいいかもしれません。
悲劇的生い立ちや、必要悪といったテーマを盛り込んで、悪役にも重厚なストーリーを用意する。
そうすることで物語を深くすることが出来ますし、読者の共感を得やすくなるかもしれません。
敵キャラは出来るだけ一発で読者の脳裏に浮かぶように、特徴をわかりやすく。
さて、敵キャラのビジュアルや性質をある程度作ったら、最後に考えるべき課題があります。
ある意味ではこれが最大の難所であり、転じて物語を盛り上げる最強の武器にもなりえます。
それが先ほども語った、弱点です。
倒され方、と言い換えることもできます。
これをしっかり考えておかないと、文頭の僕のように非常に頭を悩ませることになります。
せっかく強くて魅力的な敵キャラを作ったら、散り際も美しく彩ってあげたいじゃないですか。
敵キャラはしっかり作っても倒し方までは頭が回らないこと、多々あるかと思います。
キャラ作りの段階で、能力の欠点だとか、どうやって倒すとか、決めておくと、途中で挫折しにくくなるでしょう。
いい戦闘シーンは、敵の倒し方がうまいものです。
なるほど、こうやるか! と読者に膝を叩かせるものです。
さりげなく伏線を張っておいて、肝心なところで引っ張る。
そのために、伏線に出来そうな弱点を事前に用意しておくのです。
弱点というものは、ほんとうにちゃんと用意しないと戦闘が終わらなくなります。
こういう厄介な問題を考えなくていいのが、チートの良いところなのでしょうね。
とりあえず最強スキルを使うと勝てちゃいますんで、お話が進めやすい。
戦闘用のキャラには弱点があった方が展開に起伏が作れて盛り上がる。
当たり前だろ、と言われそうですが意外と見落としがちなことだと僕は思います。
ほんの少し気を使ってあげると、今よりもっといい戦闘シーンになるかも?
今回は以上となります。
ではまた!