表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
囚人と厨房係  作者: いとか おる
5/21

言い争い

「僕は、料理人だよ。一度は最高峰の名声も手に入れた。調理道具は料理人にとって命だ。殺人の武器になんて、絶対にしない。誓うよ」


 囚人に成ったかつての料理人は、とても紳士的に、俺の信用を得る様に爽やかに笑ったのだった。







「うおぉぉぉい、めし係ぃ。最近メシが旨く成ったなあぁぁ。お陰で、便所に駆け込まずに済むぞおぉぉぉ」


「お前の臭かったもんな。ハハハハ」


「うっせえよ、お前もだろ」


「あぁ。皆、臭かった。わはははは…」


 大分離れた独房から、大声で怒鳴る様な声が聞こえてくる。俺は、あはははと頭を掻いた。


 一週間が過ぎた頃だった。



 アイツは、黒々とした火掻き棒を手に、無表情で、独房に一番近い場所までツカツカと歩み寄った。そして、鉄格子をガンガン叩きだした。


「黙れ、この子に話し掛けるな! 殺されたいのか!!」


「ハァァァア? お前誰だあぁぁぁ。殺れるもんなら殺ってみろ ごら゛あ゛ぁぁぁ!」


「そうだ、そうだ、こっち来てみろ!」

「ほらほら どうしたあぁぁ」

「来られる物なら来てみろ!」


 と挑発の声が止まない。



 もう‥、恐いよ! 恐過ぎるよ! 誰か助けてぇーーー



「ぶっ殺す」


 一言 言って、鉄格子を揺さぶり始めた。ガチャガチャと鉄の擦れる音が激しく響いた。


 この厨房は、囚人が脱走しても中に入れない様に、ぐるりと鉄格子で取り囲まれている。ここには武器に成る物が豊富にあるのだ。




 余りの煩さに看守達が駆け付けた。


「静かにしろ! 037号」


「煩い。お前も殺されたいのか!」


 尚もガタガタ音を立てる。いつもの綺麗で優しそうな顔が、醜く歪んでまるで鬼のようだった。



「仕方無い」


 看守は、腰にぶら下げてある、プラスチック性の黒い小さな箱を手に持ち、中央の赤い丸のボタンをポチッと押した。


 途端にアイツは、「うわあぁぁぁぁ」と絶叫し、バタリと倒れた。独房の方でも同じような叫び声が上がりバタバタと何かが倒れる音がした。




 なっ…何だ?











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ