表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
囚人と厨房係  作者: いとか おる
4/21

殺人鬼

 その男は、右手を握り親指を立て下を向け、首の左から右にスライドさせる。


「ナイフでこう…ね。一人づつ。」


 それを聞き、背筋を寒気が這い上がる。


「どっ…どうして…」


 小さい声が漏れた。


「気付かなかったけど、僕ってサ、物凄く嫉妬深いらしいんだ。恋人ができて。相手の過去が凄く気に成りだして、元カレとかボコボコにして…。でもスッキリしなくて、それで…。あぁ‥この世から消してしまえば良いんだって…ね」


 冷めた、口元だけの微笑を向ける。その笑顔で俺の体温が下がった気がした。


「恋人の元カレって…60人も‥居たの?」


「あははっ。違う違う。付き合った人の知り合いとか配達の人とか…。アイツに近付く全ての人を次から次へと、ね。気が付いたら60人。まぁ最後にはその恋人も殺しちゃったんだけどねぇ~」


 ぞっ、ぞおぉっ~。鳥肌が立つ。一歩二歩と後退った時だった。


「君は殺さ無いで居てあげる。物凄くタイプ。超可愛い♪」


 え゛っ…。何言ってるの?


「俺…、お・と・こ・だけど?」


「うん。知ってる」


 ニコニコ。



「…もしかして…、そっちの人…?」


「僕、昔から男にしか興味無いから」


 エヘッ。



 あ゛あ゛~~っ。俺、変な奴に気に入られたぁ~。



「こう見えても、僕は尽くす方だし、優しいよ。裏切りは許さないけどね」


「ここは都合がいいね。二人きりだし、滅多に人間はやって来ない」


 真顔だ…。怖い。


「大丈夫だよ。何もしない。約束する。…君を毎日見られるだけで幸せだから…。独房の中は、たった独りで誰と話す事もなく、凄く孤独だったんだ。…だから君と過ごせて、話せるだけで僕は幸せだ」


 凄い…。こんな真顔で恥ずかし気もなく、そんな言葉を吐くなんて…。ロマンチストか?


「俺、はっきり言ってあんたの事が恐いよ。60人も殺したんだろ? ここは厨房だ武器に成る物は幾らでも在る。殺され無い保証なんて、無いじゃないか!」


 勇気を振り絞って声を出す。握り込んだ拳が震えた。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ