囚人
この星は、破壊と再生を繰り返している。
「あ゛あぁぁぁあー、こんちくしょぉぉうぅ。今日もメシがまずいぞおぉぉぉー‥」
「あっ‥やべ、また便所‥」
「はっ…腹がっ…」
俺は短気だ。めちゃくちゃ気が短い。だから俺の作る料理は、生煮え、生焼け、食べた人は決まって食あたりに成る。
今日は手羽先を塩コショウで焼いているんだけど…。あー、イライラする。もう上げて良いかな。良いよね。あーどうしよう…。…よし。もう良いだろう。
「そういう時はね、オーブン使うと良いんだよ」
一人しか居ない筈の空間で、突然声がした。
「あーびっくりした。あんた誰!!」
ガバッと振り向き、突っ立っている男に質問する。
ここは、超極悪犯達に食事を作って出す為の調理場。
更に言うなら、この国のかなり遠くに在る離島。接岸するのも難しい無人島だ。囚人も少人数しか居ない。こんな場所に外部から侵入出来る筈も無い。一般人は、絶対に立ち入れ無いのだ。
「僕? 囚人だよ!」
ニコニコと微笑んでいる。
「へぇ?」
だっ、だっ、だっ、脱獄?? …でも…優しそうな感じの人だけど…。
「あの…。聞いても良い?」
「うん。良いよ」
ニコニコ。
「囚人て…どんな事件…起こしたのかな~と‥思って…」
刺激しない様に、優しく話し掛ける。
「ん? それはねぇ…」
「うん」
ゴクリと唾を飲み込む。
「…殺人」
「えっ、…さ、つ、じ、ん?」
「うん」
ニコニコしている。
「なっ…何人ぐらい? 一人…とかだよね…」
でも、ここは超極悪人を収監する監獄だ…。ゴクリと唾を飲み込む。
「えっとね。…5‥6?」
5人か…まっまあかな…。
「う~ん…60人ぐらい?」
「えっ?」
そんなに?
あー‥俺は殺されるのか?……ここで……
「大丈夫。心配しないで。君は殺さ無いから…」