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第四話

こっそり、続きを書いてみました。

ピピピピ……


彼の頬っぺたにキスをして、余韻を楽しんでいると、無常にも携帯の着信音が鳴る。


「ん?電話?」


一瞬、彼の顔が曇る。

他の男性とでも、思ったのかもしれない。

でも、今、わたしの携帯を知っているのは、一人しかいない。


「牧先生だ……ちょっとごめんね」


わたしは、いまいましく思いながらも、携帯を取る。

邪魔されるなんて、やっぱりミンチにしておけば良かったか、そんな思いにも駆られる。


「はい、もしもし……」

「ちょっと、出るの遅い!何を考えてるの!コール二回目には出るのは常識でしょう!」


電話に出るなり、怒鳴られる。

その声の音量に、彼も苦笑する。


「で、なんでしょうか?」


わたしは、努めて平然と答える。


「全身サイボーグのコスプレ娘が、生意気な口を聞くんじゃないよ。

 今、あんたのマンションの前にいるから、速く出てきな」


わたしの都合とか、全然無視ですか。

その前に、今、わたし、外出中なのですけど。


「こっちも忙しいんだ、待たせるんじゃないよ」


それだけ言うと、わたしの返事も待たずに、電話は切れた。


「だってさ……」

「うん。先生の声よく聞こえるね」


簡単に、彼に牧先生に、転校してきた時に、正義の味方のコスチュームを見られた更衣室での出来事を伝えた。


「まあ……なら、行くしかないんじゃない?すぐでしょ?」

「そりゃあ、そうだけどさ。なんか、悔しい」

「そう思ってくれるだけで、僕は嬉しいよ。僕と会うのが楽しいって事でしょ?用事が終ったら、また、電話でもしてよ」


そういって彼と携帯の番号を交換した。


「じゃあ、行ってきます」


それだけ言うと、わたしは、飛び去った。

彼の、いってらっしゃいと言ってくれた言葉は、電線を避ける時に聞こえて来た。







ピッピッピッピッピ♪

「はい、もしもし君野です」


僕は、彼女を見送って、自宅に帰る途中に、奴から電話がかかって来た。

高見雄斗、僕をパシリにしている奴だ。

そうは言っても、あの砥部さんと二人の秘密……いや、彼女の彼氏さんに成れた現実が、どうも信じられない。しかも、彼女が僕で、僕が彼女だったなんて。

確かに、あの夏休みの記憶は、急に思い出した。

でも、映画か夢で見た記憶でした、なんて言われても信用出来てしまうぐらい、今の出来事が信じられない。

そして、今の現実として、僕は、高見のパシリ。

男として、情けないと思うが、どうしようもない。

もし……情けない男で、彼女に嫌われたらどうしようとも一瞬思ったが、習慣はなかなかやめれない。



「君野く~~ん、電話出るの遅いね」

「あ、あ、ごめん。ちょっと今、コンビニに来てて気がつくのが遅れたんだよ」


慌てて、嘘を言う。

確か、牧先生からの電話も、こんな内容だったな。

思わぬ共通点に、彼女と通じているみたいで、一瞬嬉しくなる。


「あ~そう。俺の夜食を買ってきてくれたんだ!嬉しいな~。

 当然肉の弁当に、海老デスだよな!」

「あ、あ、うん」



海老デスは、高見のお気に入りのビールだ。

なんでも海老のエキスを隠し味に使ったビールで、他のビールよりも65円ぐらい高い。

65円とはいえ、いや65円だからたかっている身分で……と思うと、余計に腹が立つが仕方ない。


「じゃあ、いつもの鉄橋の所にいるから、速く来いよ。俺だって暇じゃないんだから」


最後の台詞まで、彼女の電話に良く似ている。

言われている内容と今からする事には、腹が立つが、彼女と同じような出来事に会った事が、嬉しかった。


僕は、急いで家に帰り、自転車に乗ってコンビニに走った。








「ちょっと、遅い!何をやってるのよ!まったく、いつまで待たせるのよ」


電話を切ってから、3分も経ってないないはずだが。


「しかも、なんで、制服なわけ?ま、いいやこれに着替えなさい」

「え?え?」


渡された袋に入っていたのは、ヒールが5cm程度のパンプスとワンピース?

いや、ベアトップで、さらにサイドがレースアップしている肌がモロに出ているミニのワンピース。

ベアトップで、わたしの胸の谷間が、さらに強調されてしまう。

当然、お尻も身体のスタイルは、ばっちり強調される。


少なくとも、高校生が着るような服ではないと思う。

だからって、自分が似合わないとは思わないし、むしろ、無駄に男の視線を引き付けると思う。

だから、わたしは戸惑ってしまった。


「何を、カマトトぶってるのよ。レイヤーなら、身体見せるの平気でしょ?

 一杯お金かけたんだから、見せれるうちに、見せないと損よ。さ、急いで着替えていくよ」


どうやら、この先生……いやこの人は、この場で気がえろと言っているのか。

普通女の子が……自分の家のマンションの下で、生着替えをしろと……。

どこの罰ゲームですか。

しかも、どう見ても、誘ってる女の衣装なんですけど。


そう思っていると、無言で急げと訴えている。

右足で、カチカチカチと、踏み鳴らす音がマンションのエントランスに木霊する。


「え、え……ココで着替えですか?」

「だれも来ないうちに、早くしなさい。時間がもったいない」


まあ……半分自棄というより、諦めでわたしは着替えた。

それに、近くに誰も居ないのは、わたしも分かっている。


緊張していた彼と、打ち解けていい仲になった途端に、引き裂いてくれたこの女を、物理的に引き裂いてしまおうかなんて思ってしまう。

が、彼の顔がちらついて出来ない。

この女がいなくなった理由を彼に説明したら……おそらくドン引きされるだろう。



そうやって、着替えて、高級なお店が立ち並ぶ街にタクシーで出る。


「ところで、先生、なんの用事なんですか?」


今さらだが、わたしは、なんで呼び出されたのか聞いていない。

ただ、命令をされるままにしていただけだ。


「何って?決まってるじゃない。だから、トロい女は……、まあいいわ。男探しの他はないじゃない」


さも当然と言った顔で、答える。

そして、僅かに微笑をたたえて、獲物を探し始めた。

道を歩いている男は当然、通る高級車の中まで、視線だけでチェックを入れる。

普通の女が、ここまで他から気がつかれないように、男性をチェック出来る事に驚きを覚える。



そして、男漁りに来たはずだが、途中で声をかけてくる男性をバッサバッサと、駄目だしする事、12回。


曰く、イケメンじゃないなんて論外。

曰く、お金をもってないなんて論外。

曰く、優そうな男じゃないなんて論外。

曰く、強い男じゃないなんて論外。


趣味が格闘技観戦の彼女は、自分も空手と柔道が段位の保有者。

力づくで来る男は、一人でバッサバッサとなぎ倒す。


ちゃっかり、財布から現金は無論、金のネックレス、高級な腕時計などの金目になりそうな物を慰謝料として頂いていく。

今夜だけで彼女は現金だけで10万円の臨時収入。他の品を換金したら100万は超えるだろう。

当然、なさけない格好をさせて、携帯で写真も撮っていた。




そうして、結局散歩だけで、いい時間になった。


「まったく……いい餌が手に入ったのに、今日は不漁か」

「不漁?」


現金で10万円とその他金品でかなりの稼ぎだと思うんですけど。


「そ、女は鯛釣り師でないといい男を捕まえれないの。

 ジッといい男が近づくまで、孤高でいるのよ」


あーそういえば、男探しだっけ。

もうお金稼ぎだと思っていた。

本業のはず先生としての収入よりも、今日一日の稼ぎのが圧倒的に多いと思うのですが、それでも不漁なのですね。


それにどちらかって言うと、鯛釣りっていうより、毒蜘蛛のがお似合いですよ。

しかも、わたしが餌ですか。



先生……あ、もういいや。先生なんて、認めたくないや。

それに、こうやって歩いている時には、牧ちゃんとチャンづけで呼ぶよう指導されたし。

同じぐらいの年齢に見られたいらしい。

蜘蛛女……毒蜘蛛女……タランチュラ女……蜘蛛女が一番語呂がいいな。

毒蜘蛛女も捨てがたいか。



「すいませーん」

「はい」


その男性の声で毒蜘蛛女は、一瞬で、毎度の様に声と表情を180度変え、新たな獲物を確認する。


その瞬間、わたしと毒蜘蛛女は道路の脇のワンボックスカーに、男二人に押し込まれる。

無論、わたしは抵抗も出来たが、今は一応普通の女の子。

素直に、連れ込まれ、口と鼻にタオルを押し付けられる。


これは……睡眠薬……。

テンプレながら、毒蜘蛛女は、眠りに落ちた。

わたしは、寝たふりをした。


誤字脱字などありましたら、教えて頂けると幸いです。

のんびりと、続きを書けたらいいなと思ってます。


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