この世界について、これまでに分かったこと。
長い。しかも今後ここでかかれた内容が変わるかも。とりあえず、一旦自分の頭の整理も兼ねて書きました。では、どうぞ。
時の流れは早いもので、俺が生まれて明日で5年が経つ。
メーシアさんが俺の目の診断をしてから、みんなが協力して原因を突き止めようとしてくれたが、今日まで原因がわからず、また俺の目が開くことも無かった。リーデ母さん、フィーリス母様、メーシアさんは、今でも文献等で原因は何かを探してくれている。また、今自分たちが住んでいる”閉珠界”でなく、他の”閉珠界”にいる友人にも連絡を取り、情報を集めてくれているようだ。
生まれてから3年、目は見えていないものの、その分、リーデ母さんやお手伝いさん、特に傍付きのフィーネさんが色々とお話をしてくれたり、本を読んでくれたりして俺が転生したこの世界のことが少しわかった。そのことを少し整理しよう。
まずこの世界は”意思満ちた世界”と呼ばれている。”大いなる意思”がこの世界の始まりで、その意思によりこの世界が形作られ、満たされている、とのことだ。とりあえず、”大いなる意思”ってのが前世でいう世界を創り出した神様ってことで理解しておくことにする。
そしてこの世界には多様な人種が存在しているようだ。今まで聞いた中で覚えているのは、地人族、樹人族、小人族、獣人族、竜人族、鬼人族、魔人族などだ。今挙げた他にも何種類かいるようだ。ちなみに俺は地人族になるようだ。髪の毛は黒いが、父様も言っていた通り先祖帰りではないらしいので、純血の地人族と考えられる。髪の色については、人種の特徴を聞いたときに、生まれたときに父様が、目の診断をしに来たメーシアさんがどうして気にしていたかが分かった。まあ、とりあえず、各人種について今わかっていることを大まかに説明する。
まずは俺の人種である地人族から始める。地人族の容姿については前世で言う人とあまり変わりは無いようだ。そして特徴といえるのが魔術の属性が4種すべて扱えると言う点と、第二の魔素の体内保有器官が”眼”で、個々の魔術属性が色として現れる、という点である。また、髪にも個人の魔力属性が色として反映される。あと、眼に多くの魔素を保有できるような特殊な眼を持つ人が稀に現れるらしい。そのような眼は魔術を使用する際に、宝石のような輝きを放つことから”宝核の眼”と呼ばれ、強力な魔術を行使できる証として知られているようだ。
魔法の属性、魔素の保有器官等の魔法関連についての説明は後に回すとして、次の人種の説明に移る。
次は樹人族についてである。彼らはさらに水樹人、風樹人、地樹人の3つの種族に分けられるらしい。樹人族はいわゆる前世で言う”エルフ”らしい。俺の傍付きのお手伝いさん、というかメイドさんのフェーネさんが地樹人のようで、人種の説明をしてくれたときに自分の人種について詳しく説明してくれた際に、容姿について地人族と比較して説明してくれたから分かったことだった。樹人族は水、風、土の属性の扱いに長け、魔素の第二保有器官は髪であり、地人族と同様に魔力特性が髪の色に表れるらしく、水樹人は青、風樹人は緑、地樹人は茶と種族ごとに決まっているようだ。また、住んでいるところがそれぞれ異なり、水樹人は水樹という水の精霊が多く集まってくると言う大樹が生える水辺、もしくは水の上に居を構えているようだ。同様に風樹人は風樹という風の精霊が多く集まる大樹の麓に集まり住んでいるようで、地樹人は地の精霊が多く集まる地樹の近くに住んでいるとのことだ。
ところで、フィーネさんは地樹人なのだから、髪は茶色いのかと聞いたところ、
「…そのことについては、質問されなければ言うつもりはなかったのですが、仕方ありません。私の髪の色は赤です。同様に魔術は”火”の属性を得意としております。そのことで色々とありましたが、今ではこの髪のお陰でフレムハイト家に仕えさせていただけております。」
と、言っていた。どうも訳ありらしく、そのことを深く聞くことは躊躇われたので、詳しくは聞かなかった。それ以降もその件については触れていない。唯分かったことは、人種の特徴については例外もあるようだ、ということ。自分とフィーネさんはその例にあたるのだろう。このとき、他のメイドさん達の「仕事ですので」というような自分への接し方に比べ、フィーネさんが自分に対してなんとなく優しい態度を示していてくれていたことがあったので、気になっていたのだがそれの理由が理解できた。俺に対して親近感を抱いてくれていたのだろう。ちょっと嬉しく思ったのは、恥ずかしいのでフィーネさんには内緒だ。
…と、説明が逸れてしまった。残りの人種の説明に移ろう。と言っても、他の人種については容姿と魔力に関する特徴と羅列するだけに留める。
・小人族
容姿:背は低いが、逞しい身体を持っているらしい。
特徴:火と土の属性の扱いに長ける。男は髭、女は髪が魔素の第二保有器官。
(どうも前世の”ドワーフ”っぽい感じがする。)
・獣人族
容姿:地人族の容姿に獣の耳や尾が生えているようなもの。顔のつくりは地人族に近かったり、獣のようであったりと様々。地人族と獣が交わって生まれたという説もあるらしいが、元々獣人として生まれてきたという説のほうが強く肯定されている。樹人族同様、人種の中で種族があり、虎人族、狼人族、猫人族、犬人族、兎人族など他の人種には無い多様性があるようだ。
(こっちの世界に動物は居らず、動物の代わりに”魔物”というものがいる。その中に”獣魔”って言う分野があり、その中でさらに虎型とか狼型という分け方がされている。それにあやかって獣人族の種族の分類をしたようだ。始めは獣人族も魔物と同じ分類など!と怒っていたみたいだけど、次第に分かりやすいからって受け入れてらしい。)
特徴:土の属性の扱いに長ける。他の属性を扱えるものもいるようだ。魔素の第二保有器官は人によって異なるが、牙や爪、角、耳など様々にあるようだ。更に、獣化といって、完全な獣の形をとることが可能らしい。
・竜人族
容姿:地人族よりも高い背、頑丈な体と優れた筋力を持ち、角や鱗をその身体に持つ。
特徴:火と水の属性の扱いに長ける。魔素の第二保有器官は角。
(最初は獣人族と同じ扱いを受けていたが、その実態が分かってきてからは別の人種として認められていったらしい。)
・鬼人族
容姿:地人族に近い容姿をしているが、男は一角、女は二角の角を有している。筋力も地人族より優れている。
特徴:地と風の属性の扱いに長ける。魔素の第二保有器官は角。
・魔人族
容姿:地人族に近い容姿。唯、肌の色は黒く、髪も黒っぽい色をしている。また、瞳の色がみな黄色のようだ。
特徴:四属性のうちの一つと闇の属性の扱いに長ける。魔素の第二保有器官は心臓。
…ふう。人種の大まかな説明はこんなものかな。本当は容姿、特徴について詳しくまとめたいとこだが、今のところ分かっているのはこんなものだ。とりあえず、人種についてはここまでにして、次はいよいよファンタジーの醍醐味、魔法について説明していこう。
まずは”魔法”についてだ。こちらでは魔素を使う方法を”魔法”というらしい。魔素は人体で生成されるわけではない。この世界の空気中には魔流体と呼ばれるもので満たされており、それを人体に吸収することで、魔素に変換し、人体に蓄えて置くらしい。その蓄えられる場所と言うのが人体の魔素保有器官ということだ。第一の保有器官はすべての人種に共通で”脳”である。第二器官は先程人種の特徴で説明している通り、人種、種族ごとに異なっている。また、”魔物”の場合は脳は持っているらしいが、”核”と呼ばれる器官に全ての魔素を蓄えている。人と魔物を区別しているのはこの点だとされている。
吸収され、蓄えられた魔素は人の生命活動に用いられているわけではない。魔素はそれを源に特殊な力を発揮する際に用いられる。それらは魔術、体術と呼ばれている。それぞれを詳しく説明していこう。
・魔術について
魔素を用いて様々な現象を引き起こすことを言う。魔術の仕組みはこうだ。まず自分の意思を魔素に乗せて放出し、次にその意思が空気中の魔流体に伝わり、最後に意思が反映されることで現象となって引き起こされるようだ。魔術には属性というものがあり、火、水、風、土、光、闇、無の七属性に分けられている。それぞれ属性を示す色彩は、赤、青、緑、茶、黄、黒、白とされている。地人族や樹人族はその髪の色に属性の適正が表れるとされる。属性の適正が高ければ、少ない魔素で効率よく意思を反映することが可能になる。そのため、強力な魔術も行使しやすくなるようだ。
魔術には術式があり、「精霊魔術」、「刻印魔術」、「方陣魔術」などがメインに使われている。これらは、自分の意思を効率よく、早く、もしくは間違えないように魔流体に伝えるために編み出されたものである。中でも「精霊魔術」は主流で、各属性の精霊と契約することで、己の意思を魔流体に伝える補助が期待でき、なおかつ精霊の持つ魔素も使えるため、個人で魔術を行使するよりも強力な現象を引き起こすことが可能となる。「刻印魔術」はあらかじめ、意味のある記号、言葉を武器や紙に記しておき、そこに魔素を流し込むことで簡易的な魔術を短時間で素早く発動できる。「方陣魔術」は大掛かりな魔術を行使する際などに用いられる。
最後に魔術の行使方法だ。これは「直接魔術」、「間接魔術」、「補助魔術」の3つだ。「直接魔術」は相手に直接影響を引き起こすようなものを指す。相手に火の玉をぶつけて直接燃やすような、術者の手元から相手に向かって投げかけられるような攻撃魔術を指すようだ。「間接魔術」は相手に間接的に影響を引き起こすものを指す。目に見えない形で相手に影響を与える呪術や幻術、魔方陣を設置しておいて踏み入れたものを炎で焼く、というような罠のような攻撃魔術を指す。「補助魔術」については相手の状況を読み取ったり、罠の有無を確認する”探索魔術”、対象の筋力を一時的に増加させたり、防護の膜を張り相手からの攻撃を緩和させ自軍を有利な状態にする”援護魔術”、逆に敵対者の筋力を下げることで攻撃力をさげたり、毒や盲目など行動を阻害するような形で相手を不利な状態にする”阻害魔術”、怪我や異常な状態を治す”医療魔術”などがある。
…ふう、ちょっとここで一息。ん…?なんか鉄臭いような気がするけど…、気のせいか?ま、いいや。引き続いて体術についての説明に移っていきたいと思う。
・体術について
魔術は空気中の魔流体に対して働きかけたが、こちらは自分の身体に魔素を意思を用いて働きかける。体術には二つの術式がある。一つは”自己強化術式”、もう一つは”動作術式”である。
まず”自己強化術式”から説明する。これによって普段の筋力を用いた行動よりも優れた行動を取ることができる。強い腕力を意思すれば、普段は持てないような大剣も振るうことが可能となり、早く動ける脚力を意思すれば、普段よりも数段早く走ることも可能だ。だが、普段使用している力からかけ離れた意思を持って力を行使しようとすれば、身体に負荷がかかり、最悪の場合は壊れてしまう。よって、普段身体を鍛えていない人が自己強化術式を用いた場合、身体が壊れない最大強化は普段の7割増が限界の目安とされている。勿論、身体を普段から鍛えていれば、7割よりももっと強化した意思をしても壊れにくくなり、最大強化の割合も伸びるらしい。
次に”動作術式”についてである。こちらはある決まった動作を意思に記憶して置き、その動作を取りたいと思ったときに魔素を使用して、意思に記憶した通りの動作を再現する術式である。剣術の型や鍛冶の打ち方、果ては農作業の動作に至るまで、多く利用されている術式である。決まりきった動作を繰り返す際にはとても便利な術式で、咄嗟の攻撃や防御にも有効である。動作術式を紙などに転記する方法も開発されており、剣術の道場に通うためのお金が無い農民が自衛のために剣術の型が転記された体術書を購入し、独習することも可能となっている。このことは動作術式に限らず、”自己強化術式”、”魔術”の簡易な術式は”書”、”巻物”という形で出回っているらしい。勿論高難易度、秘伝、奥伝に当たる術式は非合法な形でもない限り、”書”、”巻物”の形で存在することは無い。話を戻そう。”動作術式”は最終的に魔素を用いずに行使できることを目的にされていた。元々この術式は基本的な型や動作を身体に覚えさせるために開発されたもので、徐々に魔素の使用を控え、自身の身体で動作を再現できるようにしていかなくてはならないもの、とされていたからだ。しかし、咄嗟の攻撃、防衛動作を取る際には魔素を用いたほうが防御し損なうことが少ないなどの理由から、その面での”動作術式”の開発も進み、今では動作を覚えるためと瞬間的な動作を取るための2つの面で活用されている術式となっている。
”魔法”について、今の俺に分かっていることは以上だ。後他に説明できることは………、そうだ!一番驚いたことを説明し忘れてた!この世界の”形”についてだ。目が開かないからこの世界の景色を見れないから、全然気づかなかったけど、この世界は地球みたいに球の表面に人が住んでいるのではないみたい。人が住んでいるのは球の裏側。そう、空洞の球体の内側の面に住んでいるみたいだ。
”閉珠界”
この世界ではこの閉じた空洞の球体の世界をそう呼ぶようだ。またこの閉珠界は一つではなく、人種毎に複数個の閉珠界を持っているようで、お互いに繋がっていて行き来できるようになっている。また新しい閉球界が発見されることもあり、その度に新しい人種や魔物、植物などが発見されているようだ。閉珠界の周り、つまり地球で言う大地は”魔生大地”と呼ばれており、”魔生土”と呼ばれる物質で埋め尽くされている。それが「閉じた球の世界」、”閉球界”と言われている所以である。え?太陽が無くて大丈夫か?心配はいりません。代わりのものがちゃんとあります。しかも太陽と月、星の3つの役割をこなしてくれています。それは”核珠”。魔素が凝縮してできたものだとされる球体で閉珠界の中心に浮かんでいます。これは閉珠界を維持するためのシステムを全て賄っているようで、光を生み、風を起こし、雨を降らせ、夜にはその光を弱めて一日の終わりを皆に知らせます。また”小核珠”と呼ばれる小さな球体を生み出し、自身の周囲に衛星のように浮かせているようです。これは定期的に生み出すようで、様々な利用価値があるようです。ある研究者が”魔生大地”を掘り進んで球状の空間を作り、そこにこの小核珠を浮かせて置き、時間を置いてどうなっているかを確認したところ、小型の生物が確認されたとの研究結果を発表しているようです。よって、核珠ならびに小核珠は生物、生命の誕生に大きく影響を与えていることが分かっています。
…と、こんなところでしょうか。以上、リムハイド・フレムハルトが人種、魔法、閉珠界についての説明させて頂きました。ご静聴ありがとうございした。…うん、やっぱり、なんか鉄臭い。何でだろう…?…まあ、いいか。
コンコンコンッ!
コツコツコツコツッ!
………。シュルシュルシュル…。
…ふう、語ったぜ。声に出して誰かに説明するように語ることは自分の知識の復習になる。語る相手は別に人間でなくても良いしね…、…ねッ!別に誰も相手になってくれないわけじゃないですよ!明日俺の魔術の適正を見るための儀式の準備とその会場準備のためにみんな忙しくて、今人間で相手になってくれる人がいないから、リーデ母さんとフィーリス母様、それとフィーネの”心獣”に話相手になってもらっていただけですから!…本当ですよ…?ん、んうん!とりあえず空気を変えるために”心獣”について説明しましょう。
”心獣”とはさきほども出てきた”小核珠”の手のひらくらいの大きさのものに自身の魔素を送り込むことで、それを核として生まれてくる”魔生物”です。先程説明した”魔物”同様に核に魔素を蓄えますが、”心獣”の場合は危険性はないとされています。そもそも、魔物の核と心獣の核は別物であり、心獣は魔素を込めた者を主人として行動を取るよう術式を核に書き込まれるため、と言われています。また、稀に魔物の中には人間を主人と認め行動を取り始めるものもおり、この点については
研究されている模様です。心獣は主人の死後、主人とともに消えるものと、別の主人を見つけるものがいるとされています。なぜそうなるかも目下研究中のようです。
今、私の前にいるのはリーデ母さんの馬型の心獣「フヴァルト」(愛称:フーヴァ)、フィーリス母様の鷹型の心獣「イグニヒス」(愛称:イグニ)、フィーネの蛇型の心獣「フォランゲ」(愛称:ランゲ)の三体。なぜか懐かれた。他にも父様、マグフォルト兄さん、リーナ姉様の心獣にも懐かれた。ほんとになぜに??あ、あと心獣は10歳になるまで持たせてもらえない。そのため、今年で10歳になるフォル兄様、フィグ兄様はまだ心獣を持っていない。俺も10歳になるのが待ち遠しい。ちなみに先程のコンコンコンッ!(地面を蹄で叩く音)とかコツコツコツコツッ!(嘴で地面を叩く音)はフヴァルトとイグニヒスが俺の説明を聞いて拍手してくれた効果音だ。…まあ、フォランゲは蛇だもの、音の出しようがなかったんだろう、うん。…てか、やっぱ鉄くせぇ…!なんでだ…、…はっ!さっき説明が終わってからランゲが移動していたような…、……まさか。
「…フィーネさん…、もしかしてもしかしなくとも、いますよね?」
「…はい、リム様の背後に控えてございます。」
「…いつからいたの?」
「『まずこの世界は”意思満ちた世界”と呼ばれている。』の件からおりました。」
「…ソウ。」
始メカラジャン!イタナラ声カケテヨ!目ガ見エテイナイカラキヅカナカッタ! トテモトテモハズカチィ!穴ガアッタラ入ッテ埋リタイ!
「…何かいうことはある?」
恥ずかしさに動揺しまくっている心を抑えて冷静に質問した。どうして質問をしたかって?勿論混乱していたからさ。で、その返答は如何に。
「”~である”という口調と”~です、ます”の口調が前半と後半で混ざっておりました。その点を統一すると、なお素晴らしかったと思います。」
「うん、ありがとう。リーデ母さん達の真似をしてみたくなってフヴァルト達に聞いてもらっていたんだ。」
「それは良いことです。説明の内容も大分整理されていて素晴らしいものでした。」
必死の言い訳をする。リーデ母さんとフィーリス母様は私塾のようなものを開いている。元々は王都の学園で教師をしていたらしく、今は学園に通う前の貴族の子供相手にその知識の伝授をしている。いつも俺相手に私塾で行う授業の内容を予行演習していたため、この年にして色々知ることができた。母さん達も始めは予行演習のつもりだったらしいが、俺の覚えが良いことに気付き、最近では学園で習う専門的な分野の内容も聞かせてくれるようになった。ちょっぴし役得である。…っと、それは置いておくとして、
「ありがとう。…ところでフィーネ?」
「はい、何でございましょう?」
「さっきから気になっていたのだけど、この部屋やけに鉄の匂いがするんだけど…。」
「…気のせいじゃありませぬか?」
「口調、乱れたよ?」
「…気のせいでしゅ。」
「………。」
「………。」
「………、フィーネ?」
「………、はい。」
「…もしかしてまた鼻血が出てるの?」
「…ええ。」
「…だからか、鉄の匂いがしたのは、てか…どれくらい出てんの?」
「…ほどほどに。」
ほどほどにて、何よ?俺の中のほどほどの鼻血の量じゃあ、これほど血は臭わないから。
「具体的には?」
「…足元に血溜りができております。…大体直径50cmほどです。もう少し広げられますが?」
「いや、駄目でしょそれ!」
何冷静に返してんの!広げんで良いわ!しかも聞くな!
「早く止めてそれ!死んじゃうよ!?」
「大丈夫です。今ここに溢れているのは愛です。この愛は無限に湧いてきます。ですから…、何の…問題も…。」
「気ぃ遠くなってんじゃん!駄目じゃん!」
何考えてんだ!?この人!…最近自分に優しくしてくれているから親近感を持ってくれているもんだとして、そう考えるように、そう思うようにしていたけど!本当のところは違うのかなぁ…。この人最近良く鼻血出すんだよ…。俺絡みで。なんかチョピッとフィーネさんが怖くなってきた…。
ドサッ。
「シャー!シャー!」
「って、ちょっと!フィーネさん?フィーネさん!?」
「うふふ…、リム様…、リム坊ちゃま…、ウフ…フ…。」
「シャ?シャー!?」
「ちょー!やばいって、ちょっと!フーヴァ、イグニ!誰か呼んできて!」
そうしてすぐ近くに居て素早く人を呼びに行ける彼らにお願いをした。すると、
「…フー、ブルル~。」
「…クルルゥ…。」
いかもの気だるげに、しょうがねぇな、みたいな感じで彼らはこの部屋を後にした。そんな彼らに、
「…シャ~…。」
まるで、すまない、といった感じでランゲが咽喉を鳴らしていた。
「お前も大変だな…。」
と、慰めての声を掛けてあげると、
「シャ~…。」
これでも自分のご主人ですから、というような苦労の滲み出た鳴き声が返ってきた。
{ああ、そうか、説明が終わったときランゲが移動したのは鼻血を垂れ流しにしていたフィーネを心配してか。おそらく俺の話が終わるまでは動くな、とでも言われていて動くに動けなかったんだな。}
と、俺は気付かなくてもいいようなことに気付いてしまい、それよりも早く誰か来ないとほんとに、まずいんじゃないかなと思いながら、擦り寄ってきたランゲを慰めるように撫でていた。
「うふふ…、リム様…、…ふふ。」
フィーネさんはリム様ラブdeth。最近になり、愛が鼻から迸る様になりました、赤い形で。ランゲちゃん(メス)は苦労蛇。とても健気です。応援してやってください。…では今回はこの辺で失礼します。…やり切った…。




