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悪魔の荒治療。 第一部

「ねぇ、ユーウー!!」


「・・・・・いま忙しい。」


「忙しいって何さ。さっきからずっと、紙切れ見つめてるだけじゃないか」


紅の瞳が、不満げに此方を見つめてくる。口調は幼げな彼なのだが、年では彼は倍以上であり、やはり年上の言うことは聞くべきか、と青年-----不知火ユウは、其方を振り返った。振り返った、といっても、彼に背を向ける形で設置された椅子に座りながら、顔だけを向けた形だが。いつもは、人当たりの良い笑顔で人に接し、好印象を与えまくっている彼だが、この状況下に置ける、彼の表情は、如何なるものか。 案の定、彼は此方を睨みつけるように、今でいう、『ガン見』をしていた。口を開けば文句があふれ出しそうな表情の彼を見て、自然とため息が出てくる。ここで弁明をさせてもらうと、俺は別に、何も用も無く紙切れを見ていたわけじゃない。それは、俺の仕事に関わるもので、いつも仕事をサボりがちな俺が、真面目に取り組んでいる、というわけだ。繰り返す。別に、何も用も無く紙切れを見ていたわけじゃない。


「・・・・・・・何だよ、オン。」


それでも、ほうっておくと、なんやかんやで俺がサボっている!!ということになり、今俺を勘違いして睨みつけている張本人-----オン・シェイル・ナーガの怒涛の説教が始まりそう、というか日頃の体験により、始まるということを知っているので、とりあえず奴の言い分を聞いたうえでの弁明を試みることとする。俺が真面目に話す、ということを表す為に、わざわざ席を立ち、椅子を回転させて向き直る。

再び座りなおすと、椅子が軋んだ。失礼な。別に俺が重いってわけじゃない。そもそもこの椅子は木製で、俺がかれこれ5年前から愛用している一品だ。そろそろボロが出ても可笑しくは無い。もったいない気もするが、今度買いなおそう。そんなことを考えながら、俺は奴の言葉を待つ。ただひたすら待つ。


すると、慣れているとはいえ、特有の匂いが鼻についた。薬や、消毒液の香り。そう、此処は病院だ。そして、その病院の一室で、今まさに説教をくらうであろう俺は、医者だったりする。先ほど見ていたのは、ある患者のカルテ。この人物がまた、手のかかるのである。俺はそんな患者に対応するべく、対策を考えていたわけだ。そして、それを見つかったということだ。どうだ、俺は全くもって悪くはないだろう?


「ユウ、あのさ。」


「おぅ、なんか用か?」


「こんなところで、そんなことやってていいの?」


ここで、俺は奴に、俺が何故こんなところで紙切れを読んでいたかを詳しく語り、説き伏せるつもりでいた。そしてそれを聞いた奴に、改めて俺はやればできる奴だと思い知らせるつもりだったのだ。ガキみたいな理由だが、最近俺は、助手としてここに居る奴にナメられまくっている。それこそ、パシられたりパシられたりパシられたりするほどに。だから、俺は言った。


「俺は別にサボってなんかい」


「食料が全部消滅したっていうのに。」


・・・・・は?

(あとがき)


今回初めてファンタジー小説を書かせていただきました、そらまめと申します。ともかく、ご購読ありがとうございました。まだまだ半人前なので、お目汚しする場合もあると思いますが、読者の方々がいらっしゃるということを糧に、奮闘いたしますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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