王都混乱編 最終話 償い
「問題は、魔力を持った者の蘇生となると、中々時間がかかる事だ。そもそもの蘇生には1日もかからない」
ルシファーから告げられた衝撃の事実に驚愕する。しかし、蘇生出来ない訳ではないという事実がゆずき達の心を支えている。そしてアルカは歩み寄る
「蒼華さん、シンさん、ロットさん、リヨンさん、ドーシーさん、確かにシンさんとドーシーさん以外は魔力があります。では何故2人の蘇生に時間がかかるのですか?」
その言葉はゆずき達の心の声を代弁していた。ルシファーは少し間を置いて、再び話し始める
「すまない、説明不足だな。詳しく言うと、魔力量+戦闘力が影響している」
その言葉に対して大和が前に足を踏み出し、ルシファーに問う
「じゃあ非戦闘員のドーシーちゃんが蘇生に一ヶ月かかる理由はなんなんだよ!」
あまりの迫力に、近くで聞いていたアスモデウスの目が見開く
「坊や…そんなに怒っちゃ駄目よ。そもそもドーシーって子は勇者パーティーの魔法使いであるロットちゃんの妹…多少は魔力を所持していたわ」
それなら納得が出来る。しかしゆずき達の中では「いずれ蘇生出来る」という安心があった。すると、先程より少し穏やかな表情になったゆずきが、ルシファーに聞く
「で…5人の復活にはどれぐらいかかるの?5か月とか?」
「少なく見積もって1年だ」
その瞬間、場の空気が凍りつく。1年…想像した年月よりはるかに長い。あまりの長さに、ゆずき、大和、モス、扇姫が驚愕の顔になる
「嘘だろ…1年…」
「長いよぉ〜…」
「魔力量が他の冒険者より多い勇者パーティーなんだし…もはや早いくらいなのかしら…ねぇ…ゆずきちゃん」
扇姫が急に呼び方を変えたので、一瞬反応出来なかった。すぐにハッとして反応する
「え…あ…うん」
マモンはゆずき達を品定めするように眺める。アスモデウスは自らのワインを味わっている。サタンは何も喋らない
「ハッ…いつの間にか大所帯なようだな俺等はまだやる事があるんだ。取り敢えず、荷車とレヴィアタンはここに置いてけ」
今すぐ帰れとでも言いたそうな態度だ。しかし荷車に横たわる蒼華達の遺体に興味を示した。そして冷たく笑う
「魔王暁毘と戦った直後に四天王と戦う羽目になった勇者はともかく…他の奴らは万全の状態で一人相手にボコられてんだろ?そんな足手まとい蘇生する意味が分かんねぇけどな」
マモンの嘲笑う声にアスモデウスが続く
「あはは!確かに!そんな足手まとい助けて何になるのかしら!笑」
改めて実感した。コイツらは悪魔だ
「テメェら…」
憤る大和の前にベルが片手を出して制止する
「あなた達には関係ありません。では1年後、また会いましょう」
ゆずき達七人は、ベルの転移魔法で地上に戻る。その際、アスモデウスはゆずき達七人のうちの誰か一人を見つめていた
目を開けると、暁毘と戦った闘技場にいた。そしてエレンタウンのギルドに事実を告げる
ギルドマスターは信じられないという顔でゆずき達を見つめる
「分かりました。ですが納得いきません!何故この者共を連れているのですか!蒼華さん達の仇なのでしょう!」
ギルドマスターの怒りはごもっとも…だが、ゆずきは下がらない
「だからこそ…僕が2人に罪を償わせます」
暁毘を倒しに行く前のゆずきとは別人の様な気迫に、流石のギルドマスターも黙り込む。ゆずきの目に映るのは絶望だけではなかった。新たな未来へと向かっていた




