weekend
『あぁ、明るいな』
小さな窓から、光が差し込む。
『もう、朝か』
どうやら、眠れないまま朝を迎えたらしい。
『……また、やりすぎちゃった』
ベッドの上に仰向けになって、両手で顔を覆う。
『どうして俺は、こう……』
前の振る舞いを思い出して、顔から火が出そうになる。
『……変わんねぇ』
こうして、うじうじしてるところも、
向こうから誘ってほしいってことも、
早く、終わってほしい、ってことも。
『昔は、なぁ……』
輝いていたあの日を思い出す。
俺が俺のまま、俺を謳歌していた、あの日。
『誰も信じてくれないけど、あれが……あれだけが、俺なんだよ』
昔のことを思い出すなんて、珍しい。
俺はいつだって、今と未来だけを見て生きてきた。
それがかっこいい生き方だと、信じていたから。
『過去に襲い掛かられるとか、そんなん、あるとか聞いてない……』
顔から手を外して、ベッド脇にだらりと垂らす。
『……次、会ったら、ありがとうって言おう。次……があったら……』
あぁ、と。
柄にもなく、過去を思い出すなんて何かあると思った。
昔を振り返るなんて、俺らしくもない。
『お呼びがかかるのか』
……たぶん、それは叶わないけど。
けど、俺を求める声があるのなら。
『胸張って、精一杯強がって、立派な姿を見せなくちゃな』
せめて、それが。
俺を支えてくれた人達への、感謝だから。
『ふは。俺は、本当に気づくのが遅すぎる』