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一年が十一カ月しかない君たちへ   作者: 杉崎 朱


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十二章:三話



【あの子の父親は誰かもわからないそうだ】




「っえぇ・・・ぐふっ!!」

 咄嗟に口を押さえられました。サチエさんに。



「宮守さん突然すみません。しかし、今押さえた方が良い気がしたのです。咄嗟に手が出てしまいました。申し訳ございません」

「いえ、サチエさんのおっしゃる通りですよかったです。すみません、取り乱しました」

「いえ、私は内情を存じ上げませんが、それでも少し聞こえただけの内容でも、かなり複雑そうですね。そろそろ離れから出ようかと思ったくらいです」



「ねぇ、あの女」

「コラ八重」

「っ!だって腹立つじゃないの!!ぐぅうっ!!あの人、結局父親に脅されてたの?そうじゃないんでしょ?自分にも利益があると思ったから父親の話しに乗ったんでしょ?そうじゃないとあの場であんな事言わないわ!本当に性格悪い!!」

 八重さんと対峙した時の卯月さんの元奥さん。確かに必要以上に八重さんを煽ってました。

「今思い出しても腹立つわ!!」

「神部が没落したら、間違いなく西園寺が復興する。そうしたら報奨金をやると言う話だったらしい」

「取らぬ狸の皮算用だな」









「「「メリークリスマーース!!」」」

「オレケーキから食べるー!!」

「パスタ食べたい!パスタ!!」

「皐月何から食べるの?!」

「オレはまずはお酒からだよー!」

「えー、おじさん・・・」

「オレまだ27歳だから!30歳にもなってないからね?!」


 お子さん達が楽しそうに卓いっぱいに乗った料理を見て楽しそうにしております。


「年齢でおじさんって決まるわけじゃないよな?やってることがおじさんって思ったらおじさんだもんな?」

 神在月さんが葉月さんの次男くんの頭を撫でる。

「おう!!ありつきは全然おじさんじゃない!若い!おじさんっぽくない!!」

「おれ神在月より7歳も年下なのに?!」

「ツラの良さは子供にゃ関係ねぇって事だよ、おじさん」

「ちょっ!如月が一番おじさんだと思うけど?!」



「ママ!大晦日はパパが帰ってきたらまたケーキも食べようね!」

 師走さんは現在本殿の中なので、クリスマスパーティーは不参加です。

「また今年もやるのか?鶏料理食べて、蕎麦も食べて、デザートのケーキ」

「やるー!十二月はクリスマスにパパがいないからその分全部大晦日にやるの!2回もケーキ食べれて幸せ!!」

 師走さんの家の年子のご兄妹が楽しそうにしてます。良かった。お父さんがいなくて寂しいかなって思ったけど、今はとても楽しそう。



「そうだ、僕聞きたかったんですけど、建築士になろうって思ったきっかけってなんだったんですか?」

「あぁ!初めは大した事考えてなくてさ」


「桔梗さん、会社大丈夫なんですか?十二月もほとんど境内(ここ)にいますよね?」

「うん、大丈夫。元々十二月ってあまり業務入れてないから。ほら、年末は二十日過ぎると大掃除とか業務整理とかに入って元々何か新しく始めることは年明けてからにしているから」


「ちょっと如月あんたボトル抱えて飲まないの!それ寄越しなさい!」

「お前に渡したらお前が抱えて帰ってこなくなるだろうが」



 ワイワイしているこの雰囲気。とても久々に思えて、神部の方も混じっているのはとても新鮮です。会話にこそ入っていませんが、社長もこの場にいらっしゃいます。この光景を眺めて、とても穏やかな顔をしていらっしゃいます。色々ありましたが、またこの光景を見ることが出来まして私も本当に嬉しいです。









「こんにちは」

「お邪魔します」

「あぁーー!!神社のにいちゃんだー!!」

「しかも二人!!あれ?!神社のにいちゃんも双子だったのかー?!」


「まさか!こっちは俺の・・・えっと・・・幾つ年下だっけ?」

「・・・高校三年生です」


 神崎さんご兄弟がいらして自己紹介です。お子さんとは初対面らしい陽朔さん。


「僕と同い年?」

「見えないなぁ。凄く大人っぽい」


 そうなんです。文月さんの長男くんと次男くんも年齢の割にとても大人っぽいと感じておりましたが、陽朔さんを見てしまうと二人が年相応に見えるという錯覚が起きます。



「どうぞ、神社からのクリスマスプレゼントです」

「わー!!なになに!」

「なんかいっぱいあるぜ?!」


 中から出てきたのはお守りでした。他、正月飾りです。

「いつものジャーン!!」

「あ、年明けたら入試だから嬉しい!」

「お前も入試だろ?良かったな?」

「俺は絶対受かるところしか受けないから別に・・・」



 今年、境内に関わった多くの方と集まってこうやってみんなで楽しく過ごす事ができて本当に幸せです。

色々・・・本当に色々ありました。しかし、終わりよければすべてよしと言うではありませんか。それに、昨年の日々初めての業務に追われるだけでなく、今年は沢山の事を知れました。


「ねぇ結ちゃん!年越しもみんなでまたパーティーが良い!!」

「こら!全員分の料理の支度なんて大変だろう?!ダメダメ!」

「えーーー!!だって大みそかにみんなでおせちとかそばとか食べるの去年もやったじゃんか!!」

「今年はクリスマスをこんなに豪華にしてもらったんだ!だめだよ!」

「ヤダヤダ!!大みそかもみんなで夜まで遊びたいー!!」

 葉月さんの次男くんが去年と同じ年越しをしたいと希望されました。


「あのなぁ!ただご飯ご馳走になるだけの方は楽しいだけだから良いけど、準備する方は大変なんだぞ?夏休みに色々手伝って大変さがわかっただろ?」

「でも、オレ子供だし」

「なんだその言い訳」

「良いじゃないか。大みそかもやれば」

「か・・・楓?!」


 なんと、社長が大晦日も宴会をやると言い出しました!どうした事でしょう?!

「ただ、今年はクリスマスをこれだけ豪華にしてもらったんだ。大晦日は注文すれば良いだろう。全員楽できる。宮守さんもだ」

「でも、全員分のおせちとそばとか他にも料理だなんて・・・」

「良いわ!神部が準備するわ!それなら良いでしょ?!有名な老舗からお節取り寄せて、お蕎麦も良いものにしましょう!茹でるのだけサチエに頼めば良いわ!」

「いえ!茹でるだけなら私が・・・!」


「わぁーーーーーい!!ヤッタ!またみんなで楽しくできる!!」

「良かったな、ちゃんとお礼言うんだぞ」

「でも、良いもの食べさせてもらえるなんてオレも嬉しい」

「そうだったのか・・!良かったな!」

「父ちゃん、兄ちゃんには優しいのなんでなの」







「ごめんね、みんなで楽しんでる所を邪魔しちゃって」

「そんな事ないですよ」

 台所で私は追加の料理をお皿に盛り、その隣で神崎さんと陽朔さんが居る。


「おーい!神社のお兄ちゃんのお兄ちゃんの方!一緒に遊ぼうぜ!!」

「はーい!今行きます!」


 相変わらず神崎さんはお子さんに人気です。



「・・・結さん、コレ・・・。まだ着けてたんですね・・・」

 言って、陽朔さんが私のネックレスを触って・・と同時に首元に少し指が触れた。


「っ?!」

「あっ!す、すみません!断りもなしにいきなり触ってしまって・・!!」

「良いんです!ちょっと驚いただけですから!!」

「もう、指輪は割れてしまいましたから・・・そのチェーンも外しますね。すみません。少し触ります」


 私としては、別に何もついてないチェーンだけでも良かったのですが。せっかく陽朔さんから頂いたものなのに・・・!!


「・・・また、新しいお守りをつけてお渡ししますね」

 そう、柔らかく微笑んでくださいました・・・!

「良いんですかっ?!でしたら是非とも!チェーンはとその時に再利用してください!」

 現金にも程がありますが、なんたって・・・



「聞きました。あの指輪が私をあの光から守って下さったんですよね」

「・・・兄は、”あの光”に対抗する力と術がないので・・・。なので、僕が勝手にこのお守りをお渡ししたんです。結果、微力ながら役に立ったので良かったとは思いますが、兄からしたら良い気はしないですよね。好きな女性を護る力と術を自分は持たずに生まれてきて、弟が持ってしまっているんですから。妬まれて当然です」

「そんな事・・・!」

「神主とはいえ人間です。感情はあります。それに、それが原因でどうこうなる間柄ではないと思ってますから大丈夫ですよ」

「なら・・・良かったです・・・」


 陽朔さんはそう言って、チェーンをポケットにしまわれました。




「神崎の兄ちゃんたちも!大晦日一緒に食べようぜ!!

「大晦日はちょっと難しいかな・・・?」

「なんとかなるだろう。他に従業員いるんだし、親父さんだっているんだ」

「・・・年明けじゃだめ?」

「大晦日にしろ」

 お子さんに誘われた神崎さんが断ろうとしたら社長に無理やり参加をさせられました。



「陽朔さんも来て下さいね!」

「ありがとうございます」






十二月三十一日 大晦日



 いけない!!書いてはいたもののタイミングを逃し続けてはや二ヶ月!!

 神代が本殿に入っている間の記録ノートを渡すのを忘れております!!

 

 本日は昼から宴会なので、朝食は適当で良いと言われていました。そのため、昨晩のあまりものをテーブルに並べておりました所に、神在月さんが母家にいらっしゃいました!ナイスタイミング!!


 「神在月さん!おはようございます!突然ですがこちらをどうぞ!!!!!」


 ずいっ!と十月の出来事が書かれたノートをお渡ししました!

「本殿に入られてるときの記録です!私が書いたので他にもいろんなことがあったと思います!でも神在月さんが言ってたように十月は本当に穏やかで良い月でした!で、こちらは読んだらお返し頂けますと幸いです!」

「へぇ・・・コレ。全員分書いてたのか?」

「はい!今年からなんですけど!」

「他の月も見せてもらえるのか?」

「良いですけど、多分知っている事ですよ?」

「あぁ、見てみたい。全部貸してくれ」



 やはり、神代のまとめ役とされるお方だからでしょうか。霜月さんと師走さんは年明けてからで良いか。私は十二冊分のノートを神在月さんにお渡ししました。と言っても一冊が薄いので大した量ではありませんが。









 ダダダダダダダダダーーーーー


 今日はお昼も夜もご飯を作らなくて良いんです!!


 ダダダダダダダダダーーーーー


 目一杯掃除を致しましょう!!


 ダダダダダダダダダーーーーー


 お蕎麦楽しみだなぁー!!



「すんごい嬉しそうに雑巾掛けするんだね。そんなに蕎麦楽しみ?」

「楽しみです!コロッケ用意しちゃいましたもん!!」

「・・・あぁ、一緒に食べるの好きなんだね」



 ここしばらくは境内ではなく神部のお屋敷にも通っていた双葉さん。本日はみんなで宴会という事もあり、半年近くいて下さった双葉さんも是非!と皆さんの希望で、今日も来て頂きました。それなのに掃除を手伝わせてしまってすみません。本当すみません。そんなに気を落とした顔をされないでください。


「別に掃除が嫌ってわけじゃないから大丈夫だよ」

 なんだ、じゃぁもっとやって貰おう

「いつもと同じところの掃除でいいんでしょ?大掃除はもう終わったって聞いてるし」

 知ってたのか・・・。

「・・・・・結ちゃんあのさぁっ!」




「おや、綺麗な廊下になったね」

「師走さん!お疲れ様です!」

「・・・結ちゃん、元気になって良かったよ」

「もうバッチリです!!」


 そうだ、師走さんからしたら、私が気絶してる間に本殿に入られたんですものね。ちなみにその時はこの本殿から母家に続く廊下も壊されたままでした。入った時と全然違う光景に驚かれております。



「・・・まぁ、一ヶ月経ったからね」

「それもそうか。私からしたらほんの数分みたいなものだから」

 師走さんがクスっと笑った。



「あ!今日は皆さんのご希望で、お昼から宴会なんです!」

「それは楽しみだね!忘年会みたいなものかな?」

「ケーキもお蕎麦もお節もありますよ!」

「・・・それはうちが毎年やってる・・・なんか申し訳ないね、遣わせてしまったようで」

「とんでもないです!」




 そして、師走さんがご自宅に戻り、また双葉さんと二人きりになりました。

「お疲れ様でございます。神代のひと月を有難く頂戴致しました」


さて!早く本殿の中も掃除して、美味しいご飯を食べましょう!腕まくりをして臨む!

「結ちゃんあのさ!!」


「結ちゃん!手伝いに来たよ!」

そう言ってゾロゾロと神代の方が何人かが来て下さいました。


「早くやりゃ全員揃って宴会始められるだろ。子供たちも待ってる。早くやんぞ」

「如月も早くお酒のみたいもんね〜」

「・・・手伝う・・・」

「僕も手伝うよ」


「そんなみなさんで手伝って頂くなんて・・・卯月さん?」


「・・・もう、妻とは離婚した。君に文句を言う人間は連れてきていない。私も言わない。良いだろう」

 ・・・自分の妻が人に文句を言っているという認識はやはりあったのですね。

「じゃぁ、みなさんに手伝ってもらって早く終わらせましょう!双葉さん良かったですね!」

 そう言って双葉さんの顔を見るもやはり様子がおかしい。ここにいる神代の顔を一人ずつ見ている。神代の方は見られていることに気づいてないのか気にしてないのか、誰も変な顔も疑いもせずに掃除をしようと取り掛かる。


「ねぇねぇ!この紙垂外しちゃっていいの〜?新しいのにするんだよね?」

「じゃぁ、僕エアコンやろうかな」

「・・・俺も、手伝う」

「誇りすげぇな」


「卯月は俺と一緒にやろうね」

「好きにしろ」


「・・・長月と、神在月は?」

 双葉さんが如月さんに聞いた。


「離れで追加の飯の手伝いだとよ。あと蕎麦茹でるとかなんとか言ってたろ?」

「そうか・・・」

 どうなさったんでしょうか。ちょっと焦燥感が伺えます。









「「今年1年!色々あったけど!またみんなで楽しく過ごせるようになって良かったです!!いただきますっ!!」」


 元気な葉月さんと霜月さんの次男くんの音頭で宴会が始まったのはもう数時間前。みんなで暖かい部屋で楽しく過ごしております。流石に寒くて外で遊ぶことは致しません。



「本当、どうなることかと思いましたが、すぐに境内も直してもらって本当に良かったです!」

 もう、しばらくはこのような事も起きないだろうと言われているし!



「スッゲー!!それが神社の人が着る服なの?!めっちゃカッケー!!テレビでしか見たことないー!」

 神崎さんたちは、盛り上げるためなのか、斎服を着て下さってます。

「そこまで結ちゃんに露骨にアピールしなくても良いんじゃなくて?斎服なんて神代で見飽きてるわよ。どちらかというと、私服の方が逆にポイントが高い事もあるわっ!!」

「まぁ、仕事をする時には着なければいけないからね」

「あらやだ、この後仕事入れてるの?神社ってやっぱり大変ね。結ちゃん、そんな大変なところにお嫁に行く必要はないわ」

「あ!そういうこと吹き込むのはズルです!!」





 昨年の大晦日とは全然違う。昨年は境内の掃除もありながら、お蕎麦も打った。・・・今考えると私凄くないだろうか?しかし今年はこんなにたくさんの方と用意して頂いた高級料理で締めくくれる・・・!なんて幸せなのだろう!!



「そうだ!せっかく格好いい服着てるから!!神社っぽいことやって!!」

 お子さんからのリクエストが入りました。

「・・・!うん、やろうか」

 そう言った神崎さんが社長と陽朔さんと目を合わせた。なんだろう、このアイコンタクト。


 そう思った時だった。

「まさかっ・・・!」

 双葉さんが非常に驚いた顔をして小さく声を出した。しかし、それを近くにいる社長が制する。


「桔梗、櫻、ちょっと双葉抑えておけ」

「?」

「はい?」


 言われた二人は訳もわからず、とりあえず双葉さんの両脇に移動する。双葉さんは神崎さんの方をキッと睨むようにして見た。神崎さんの顔は、非常に悲しそうで申し訳なさそうな顔をしている。その顔を見た双葉さんが、諦めたように静かになった。



 ・・・何かが起こってる?



「わー!!なんか独特な喋り方すんのかなー?!」

「あれは?!四角い紙がついた棒振るんだよ!」

「こんな間近で見たことないねっ!楽しみ!御祈祷っていうんだっけ?」

「贅沢だよなー」


 お子さんたちの雰囲気は変わらず楽しそう。しかし、ここで数人の神代が双葉さんの異変に気づいた。

「・・・双葉さん、調子悪いんですか?」

 あの双葉さんを謎に敬遠してた皐月さんでさえ気にかけている。そんな皐月さんを見て如月さんも異変を感じた模様。周りを見渡している。


 社長が居ない。



「今日使うのはこれだよ」

 そう言って神崎さんが取り出したのは、


ーーーシャンッ・・・シャンシャン・・・


 神楽鈴だった。



「見たことある!スッゲェー!!本当にめっちゃ鈴ついてる!!!」

お子さんは普段見ない代物に大盛り上がりだ。

「うわっ。俺初めて見た・・・音高っけぇなぁ」

「斎服であれを持つと雰囲気が変わるよね・・・なんか、こう、飲み込まれそうな」

「確かに。なんか術でもかけられそうだよね」



「じゃぁ、始めましょう」



「「はーい」」



「皆様、本年は大変お疲れ様でございました。翌年を不安なく、楽しく、心から迎えることができますように、祝詞を捧げます。不安は今年に置いていきましょう。新しく幸せな年を迎えられますように。・・・そう、不安や知らなくて良かった事実を全て消し去りましょう。記憶から」



「「おおーー!!」」



 ・・・何かおかしくないだろうか?


「界星っ!!お前っ!!!」

 再び声を上げて神崎さんの名前を呼び、この場にある人をぐるっと一周見た双葉さんの様子もおかしいが、お子さんたちの騒ぎにかき消されています。


「神崎の力を以ってして、皆様に幸福を・・・」


「神在月っ!!」

 神崎さんと神在月さんが何かあるのだろうか・・・一瞬気になったものの、神崎さんが何を言っているのかは全くわからないが何かを唱え始めた。

「・・・待って、界星何する気?!・・・楓は?!楓はどこ行ったのよ?!」

「・・・もしかして俺たち」

「っ楓!!」


「なんかカッケェーーー!!人であらずだってー!!」

「いのうってなんだ?!めっちゃカッケェー!!」


 大人達が不審に思い始め、子供達が最高潮に達した時。神崎さんが持っていた神楽鈴を高く掲げて一気に降ろした。

 双葉さんが更に周りの大人の顔を見回して、神崎さんでも神在月さんでもないもう一人を捕らえた顔をしていた。私もその視線の先を見ようとしたのだけれど




「神の思惑に沿わぬ部分を消滅し、再び平和をもたらす」




ーーーシャンッ!!!!!







「皆に幸あれ」



 頭の中を、記憶をめちゃくちゃにされた。

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