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一年が十一カ月しかない君たちへ   作者: 杉崎 朱


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六章:水無月の君へ エピローグ

※更新時間と頻度の変更を行ってます※


・・・昔から、いろんな人の感情を浴びせられてきた。



皆いろんな意見があるんだなって小さい頃は単純にそう思ってたんだけど、・・・近しい人、親しい人から激しく嫌悪されたり否定され続けると、結構辛い。


俺の周りには俺の考えを強く否定する人と柔らかく肯定する人がいた。”否定”する人は本当に感情的になる人が多かった。でも、それが当たり前になってしまった。そうしたら、強く言われるのが当たり前だと思ったまま生きてきたので、人に自分の意見を言うのが怖かった。でも、言わないのも凄く嫌で、いつも怯えながら言ってきた。本当に怖い時は黙って、申し訳ないけど第三者がいるなら成り行きを任せてしまう。


卑怯なのかなと思ったこともあったけど、第三者が話すことによってう事がうまく運ぶ事が多いと、『あぁ、黙ってそうしていれば良いのか』と思った。

それに、感情的になる人に俺の意見を言った所で更に逆上される。俺の何かが激しく気に食わない人は、その人とは全く関係ない事のはずなのに、ただ意見をしただけで、わざわざヤジが飛んでくる。


そうすると、俺の周りの人も巻き込まれてしまう。

優しい友達がいっぱいいた。皆んな優しいから言い返しもしない。でも一緒にいてくれる。俺もそれで良かったんだけど、そんな俺を心配してる友達を見て心苦しくなってしまった。


確かに俺も、人から感情をぶつけられると怖いし、言葉に詰まる。でも、その時は緊張して怖くても、時間が過ぎてしまえばなんとかなる事が多い。本当にその時は辛いけど。

事が済んだ後なのに、当事者である俺より友人の方が気にしていたり怒ってくれていたりするのを見て、本当に友達なんだなって嬉しい反面すごく申し訳ない気持ちにもなった。


だから、中学や高校に上がるにつれて、学校ではあまり友達を作らなかった。





人からの感情をぶつけられる事は、何も家の外だけに限ったことでは無かった。



「わぁ!神代ですって!この子は選ばれたのねぇ・・・幸せを約束して頂いたのね」

母はあまり怒らない人だった。なんだかよく知りもしない”神代”である事にもとても嬉しそうだった。

「人と違うことを自覚しなさい。良くも悪くもだ」

神代ではない父は、何かを伝えたかったのだと思うが、父自身が神代ではない以上、どのように言っていいのかわからずいつも悩んでいるみたいだった。

怒りも褒めもしないが、何か圧が強かった。




「なんでいつもカンベに行くのはミナヅキなんだよ!母さんも父さんも水無月ばっかりでさ!お前が長男だからだろ!」

弟はいつも俺に怒っていた。どうやら、神代だからとたまに神部に連れていかれたのだけど、弟も行きたかったのだと思う。長男だからとかは関係ないがそれは説明もできないから弟は知ることができない。

多分、逆に生まれて俺が弟だったしても、神代として生まれたら結局連れていかれるのは俺だから、『下が可愛いからだ』とか言われるんだろうね。



「いいわね、アンタ将来約束されてるんだってね。この間叔父さんたちが話しているの聞いたわよ。就職活動もしない、適当に仕事やってても毎月大金貰えるんだってね。なよなよしてて喧嘩の一つも出来ない癖に」

少し年の離れた姉にもこう言われる。あと姉さんそれ聞いちゃいけない話だってば。



親は喜ぶが姉弟には疎まれた。

皆んなに喜ばれたりするならそれは”良いこと”だって、皆んなに嫌われるなら自分が”悪い”って思うけど、人によって違うのはなんでだろう?

それも同じ家族なのに。



でも、好意を持ってくれる人もいた。



初めて神部の屋敷に行ったのは小学校二年生の時だった。特に神代の話しをされた訳でもない。

なんで行ったのかはほとんど覚えてないが、今思うと顔見せや成長の報告だったのだろう。

その時に二つ年上の八重と初めて会った。

「アナタが『水無月』くんね!宜しく!私は神部 八重っていうのよ!』

見た目だけは人形みたいに可愛かった。


神部の人は神代だからという理由だろうけど、皆とても俺の事を快く迎えてくれた。

その後少しして、桔梗や櫻とも会った。

いつも、人に文句を言われるところも、『君の個性だよ』などと肯定してもらった。

受け入れてくれる人がいるんだって思って嬉しかった。じゃあ、なんで学校の同級生の男子は俺に文句を言うのだろう。


《普通はこうだろ!》

《普通にやればできるだろう?!》

《普通はそう思うんだよ!》


普通、普通、普通・・・。

参ったな。”神代”として生まれて、”特別”と言われることが多かったからなのか、《普通》がわからない。別に、自分の何が《普通》で、何が《特別》なのかなんて考えたこともない。・・だって、実感なかったし。

でも、《何かは人と違うんだろうな》とは思ってた。だから、人から文句を言われたり、今思えば理不尽なことで怒られたりしたって、仕方ないと思ってた。

出来てないこと、出来ない事も、また《特別》なのかと思ってた。

だって、特別って常に”良い事”だけを指す言葉じゃない。《特別悪い》と言う事だってある。大体の人が特別というと良い印象を持っているだけだと思う。特別って、《違う》と言う事を強調して言ってるだけだと俺は思ってる。だから、必ずも良い意味に使われるとは限らないから・・・。



でも、されて嫌なことはそれとなく口に出していた。おどおどしながらだったけど。その、おどおどしながらが、相手からしたら癇に障ったのかもしれない。そんなのもう俺、詰んでるじゃないか。




ただただ、人と同じように毎日働いて、同じように休みの日を楽しんで、同じように恋愛して、同じように結婚して、同じように所帯を持ちたかった。




運が悪いんだかなんなんだか、結局高校卒業までは所も人も変わってもなぜか人から狙われるように文句を言われてきた。なぜだろう大人しくしているだけなのに、大人しくしている事すら癇に障るのだろうか。


そんな高校三年生を控えた冬の事だった。

神部の屋敷で神代の説明を受けたのだ。話を聞きに神部の屋敷までは一人で行ったけど、話を聞くのは一人ではなかった。そこに、神在月がいた。


「あ、何度か見かけたことがある。俺、神宮(かみや) 神在月(ありつき)。そっちも神代なんだって?よろしく」

「・・・!か、神宮・・・水無月です。よろしく」

「何、どうした。具合でも悪いのか?」

「も・・元々こんな・・感じ」

「そうなのか?」



初めてちゃんと面と向かって話した神在月の雰囲気というのは、今まで俺に強く当たってきた人と同じようなニオイを感じた。見た目というか、ジャンルというか・・・。だから最初は凄く怖かった。またこういう感じの人と一緒になって強く当たられるのかなとか考えた。


神代の説明も受けて、大学卒業と共に神代の暮らしている境内に住むと言われた。

一ヶ月丸々無いって言われて実感が湧かなすぎた。ファンタジーの世界かと思った。あまり意識がないって・・・あれかな。麻酔かけられてるみたいなものなのかな。歯医者さん以外でしたこと無いから想像だけど。

ちょっとだけ怖いなって思ったけど、隣の彼は平然としている。事前に誰かに聞いていたのかな。でも、彼が大丈夫そうな顔してるから、俺も大丈夫かな・・・。結構安易に考えてた。それよりも、境内で一人暮らしをしてもらうと言う方が衝撃的だったから。


つまり、大学を卒業したらあの家から出る事が確定した。その瞬間に少し心が軽くなった。そっか、もう姉と弟に文句を言われることもない。隣の神在月くんがどんな人かわからないけど、でも一緒に住むって言ったって建物は違うし、なんかお世話してくれる人もいるみたいだから大丈夫だろう。



「なぁ、連絡先教えてくれよ」

「・・・え!?」

「そんな驚くか?大学出たら境内に行くんだろ?俺も一緒の時期だから。よろしくな」

「あっ・・えっと・・・」

「わりぃ。俺よく人見知りしない事で逆に怒られる事あるんだよ。ズケズケと距離を考えないで話しかけすぎるって。苦手だったか?」

「あの・・・。うん、人と話すの苦手で・・特に、俺に普段から八つ当たりする人と雰囲気が似てて・・・」


あ。しまった。何を馬鹿正直に言っているんだ。相手が”八つ当たりをするような人間に似ている”と言われれば気を悪くしたに違いない。


「マジか。ごめんな。そんなに似てたか?」

「いや、顔つきじゃなくて・・・雰囲気っていうか・・・」

「あー、ごめん、ごめん。じゃぁ嫌だよな。でも、俺は君に八つ当たりする理由がないからさ。ほら、会ったばっかりだし」

「理由なんて・・・喋るのが遅いとか・・・暗いとか、色々」

「それ、理由にならねぇよ?」

「っえ?!」

「っえ?!逆にそれ理由になると思ってたのか?!」


こんな話し始めだったけど、話し込んでいく内に、ちょっと気が楽になったし、家賃もいらない神代たちとの境内での一人暮らしがとても楽しみになった。



「雰囲気で言ったら櫻の髪の毛の色の方がよっぽど怖くねぇか?」

「あ・・・ピンク色になってたね」

「なんか賭けして負けたからピンクになったらしい」



そう思ったら日に日に少しずつ気持ちも明るくなった気がする。相変わらず人と話す時は緊張するけど。

そして、大学に入ってからは家でも生きていくのがとても楽になった。


俺が大学に入る頃には、父と母は相変わらず可愛がってくれているし、姉は既に働き始めていた。毎日朝早く家を出ては遅く帰ってきて愚痴ばかり溢しているらしかった。姉が就職活動している時は凄く八つ当たりされたなぁ。あと、俺が大学に行く事も凄く反対された。

『だって就職決まってるようなやつになんで四年制の大学の学費なんて出すの?!』

憤慨してた。あまりよくわかってない弟も便乗してた。ただ俺に文句を言って鬱憤を晴らしてただけなんだろうな。学校の同級生もそうだったのかもしれない。学費の事は良いじゃないか。働き始めれば学費だって返せるだろう。


でも、朝早く夜遅い姉とはどんどん顔を合わせなくなった。そして、弟も高校生になり、部活動で朝練、夕方練習で夜が遅い。俺は父と母とのんびり朝ごはんと夜ご飯を食べる生活が続いた。

あぁ、こうやって姉弟に文句を言われる事なく生活できる日が来るなんて、幸せだなぁ。




成人式では、同じ会場に神在月も居て、一緒に写真を撮った。


「はいはーい!二人ともこっち向いてー!」


なぜか成人式の会場の外で待っていた八重と櫻に。


「お前、神出鬼没だな」

「なんとでも言って頂戴ー、はい、写真撮るわよー!アップと全身両方撮るからねー!」

それが、のちのお見合い写真に使われるとは毛ほども思っていなかった。





大学を卒業したら、家から出て境内に引っ越しをした。

当日は父と母が見送ってくれた。姉は仕事だし、弟も部活だった。でもそれでもよかった。正直、今までほとんど兄弟らしい事を一緒にしてこなかったのに、この場に居るだけでも俺は困ってしまう。


「父さん、母さん、色々ありがとう。やっと、俺が家を出るから、二人が俺に八つ当たりする所を見なくて住むようになるね」

「水無月ごめんね。何度怒っても二人とも全然聞かなくて・・・」

「いや、兄弟が仲悪くて悲しいのは父さんと母さんだろうから」

「帰ってくるのは嫌だろうから、お休みの日にお外で会うことにしましょうね?」

「うん、そうしよう」


「お前は優しすぎる所がある。もっと怒っても良かったんだ」

「別に、態度で逆上はしなかったけど、小さい頃は自分なりに言ってたつもりだったんだけどね」

「お前の良さは、なかなか理解されないかもしれないな」


自分で言うのもなんだけど、とても良い両親だと思う。なぜ、姉と弟がああなってしまったのか。

・・・それとも、俺という存在がそうさせてしまったのだろうか。



自分では理解できないことでよく他人が怒っているので、『俺は人の心がわからない人間なんだな』って思った。でも、仕方ない。ならば、邪魔にならないように静かにしてるのが一番・・・あれ、それが癇に障って文句言われるんじゃなかったっけ?だめだ、堂々巡りだ。とりあえず、今日から境内で暮らす。神部の方が引っ越しのトラックを出してくれて、荷運びから何から全部やってくれた。




「来たか!水無月!」


神在月とお世話がかりの方が迎えてくれた。神在月の方が先に境内に着いて荷運びを終えたらしい。


「うん・・・ちょっとの距離だったけど高速使ったから思ってより早く着いて良かった」



そこからは、今日に至るまで、信じられない程快適な毎日だ。

確かに、家事は自分でやらないといけないが、それにしたって食事は作ってもらえるからその時間で家をちゃんと掃除できる。日常生活の消耗品などの必要なものは母家でもらえる。

残業はほぼ無い。給料も高く、手当も付く。完全週休二日制で祝日も休みである。


文句を言う人はいない。


神代はみんな信じられないくらい優しく、俺のことを今までの人と同じように扱う人は誰一人いなかった。

そのことが嬉しくて、違う世界に来たとも思えるくらい嬉しかったのだか、喋り方はなかなか戻らない。


初めての給料をもらった時は、父と母との食事に使った。連絡を取り合って、外で待ち合わせして、母が昔行ってみたいと話していたレストランで三人で食事をした。姉はもちろん仕事。弟は部活の合宿だ。

家には入らないけど、家の前まで送って行った時の二人の嬉しそうな顔は今でも忘れない。母なんて少し涙目になっていた。



それからというもの、休みの日は一日ゴロゴロして、もう一日は近場に出かけたりなどして過ごして行った。

不自由なことなどなく、とても快適だった。本殿に入る時はものすごくガチガチに緊張したけど、結局すぐ眠くなったような感覚になって、目が覚めたら六月三十日だった。



二年後には、弥生と卯月が境内にきて、その翌年には如月が来た。如月が来た時は、雰囲気が怖すぎて最初なかなか話しかけられなかった。でも、如月はとびっきり優しい。口調は強いけど。でも、それは俺だけにじゃないから。



その四年後にはなんとも俺とは正反対な神代がやってきた。皐月だ。皐月がきて、少ししたら、境内が毎日お祭りのように賑やかになった。


みんな明るくて優しいなって、毎日楽しく過ごしていたら俺も気づいたら三十歳を過ぎていた。


あれ・・・?


年下だけど、俺より先に境内に入っている神代もいて、子供も既にいたが、さらに生まれて続々みんな変わっていってる。


俺・・・何も変わってない。


環境こそ最高になったものの、俺自身は何も変わっていない。

そうだ、結婚もして、世帯も持ちたいと思っていた。それなのに、今の幸せに入り浸りすぎてすっかり忘れてしまっていた。こんなに快適に暮らしていて、自分の事しか考えてなくて・・・一人の女性の人生を貰い受けて良いのだろうか?幸せにできるのだろうか?一人ですらそう思うのに、子供なんて・・!責任も持てないお金だけはあるけど!!そもそも、ここにいる神代は男性。前はそれなりにお見合いの打診があったけど、まだ早くない?と思って断ってたし、断る事を容認してもらってた。

男性としか普段会話をしていないから、女の人との話し方を忘れてしまった!お世話係の女性は除外だ。だって、恋愛感情を持たないって言われている。確かに、緊張しない。いや、元々誰にでも対しても緊張はするけど、女性としての緊張はない。俺からすると八重は女性の範疇ではない。


今更女性と話すなんて・・・!


そう思って、久々にきたお見合いの話しを断ってしまった。

怖い、どうしよう、何話したらいかわからない。暗いって思われたどうしよう。でも暗いの本当だし・・・。


「茉里ちゃん・・・お見合い・・・受けない」

「あら、もったいない。じゃぁそう返事しておきます」




そのまま年度が変わり、今度は新しい神代とお世話係がきた。


さっぱりとしていて仕事と割り切って境内にいる茉里ちゃんとは違い、今度のお世話がかりの結ちゃんはとても親身になってくれた。



「でも、結婚に前向きなら、やっぱり会ってみるだけでも良いんじゃないですか?神代に対して理由がどうであれ、女性側が好意的なのであれば、あとはお相手の雰囲気とか好みのお顔で決めれば良いと思いますよ」



・・・再度お見合いの話しが出た時に、結ちゃんが言った。そんな感じで決めたら女性に失礼じゃないの?怒られない?怒らないの?



でも、文月もみんなも後押ししてくれてる。すごく迷って恥ずかしいし全然どうしたら良いのかもわからないけど、折角だし、この先お見合いの話しはもう来ないかもしれない。そうしたらここで行かなかった事を後悔するかもしれない。

結局前日まで胃に穴が開きそうな思いをしたけれど、結果がどうであれ『行けた』。そして、それは俺の中での小さな一歩だったと思う。





「で?水無月はどうしたいの?」


お、お見合いの後、帰ってきてから八重にすぐに聞かれた。”どうだった”とかじゃない、”どうしたいか”だ。

「・・・・・」

「別に今決めなくても良いけど、でも、大体決まってるんでしょ?」

「・・・どう思われたか、全然わからないんだけど」

「だから水無月が”どうしたいか”しか私は聞いてないから」





「また・・・!会って・・・話、したい」


渾身の勇気振り絞って言った。



「はい、了解。あとは追って連絡するわ」



そうやって、八重はお見合い相手の方と俺を繋いでくれた。






五月三十一日



これから本殿に入る。

いつもこの時は斎服だけ着て手ぶらなのだけど、今日は手にはチョコレートの入った袋を持っている。

先日、彼女と会って、正直あまりの緊張にそこまで話はできなかったけど、『苦過ぎないビターチョコレートが好き』という情報を手に入れたから買ってきたのだ。しかし、彼女の仕事の都合で会えないまま本殿に入ることになるので、これは結ちゃんに食べてもらおう。



「お戻りになりましたら、味の感想をお伝えします!」



結ちゃんは本当に優しい。皐月の気持ちがわからなくもない。あ、でも、やっぱり好きにはならないと俺は思うけど。結ちゃんからしたら、これも仕事の一環なのかも知れない。でも、やっぱりチョコレートの味を教えるなんて仕事でも面倒でしないだろう。でも、俺はすごく助かる。


「あ!だったら、甘過ぎない感じの・・・!苦くもないチョコがどれだったか教えてくれると嬉しい・・!」


人にこんなお願いをしてしまうほどに、俺は変われた。そして、俺という存在を周りの人に変えてもらったんだ。今まで親以外に何かお願いなんてしたことなかった。それを、本当にただの自分の私欲だけに人に頼み事をしてしまう日が来るなんて。

環境は変わったけど、自分自身は全く変われていないように思ってた。実際、そんなに大きくはわかってない。でも、少しずつでも、出来ることや考えが変わってた事に気づけてとても嬉しい。


俺は、自分が納得している限りは俺のペースで、これからもやっていこう。





「神代の一ヶ月に感謝・お礼申し上げます」


感覚的には、儀式に入ったらすぐに出てくる。チョコレートのレポート楽しみだなぁ。





「我は、《水無月》の神代(かみしろ)。ひと月を捧げに参りました」

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