ウクライナ危機小景2
◎過剰反応
「チャイコフスキーが明石のコンサートで急遽中止だと」
「敵性音楽きゃあ」
「たわけだわ」
「戦時中みてぁだぎゃ」
「脳みそ腐っとるわ」
「トルストイとかも発禁になるんかね」
「文学がダメなら映画も」
「バレエも」
「美術も数学も」
「ピロシキもボルシチも」
「こりゃいかん」
「亀さ、あわててどこ行かっせる?」
「いまのうちロシアンパブに」
◎文豪も
「ミラノの大学でドストエフスキー禁止だと」
「イタリア人もたわけだわ」
「ロシア人指揮者もクビにされとる」
「次はやっぱバレエや映画かね」
「パラリンピックでも締め出しとるで」
「余裕がにゃーんだわ」
「なにを焦っとるんかね西側は」
「やっぱ今のうち行っとこ」
「亀さ、またロシアンパブきゃ」
「ほうだて。みんなで行こみゃあ」
「おう。行こ行こ」
◎臨機応変
「久しぶりの風俗、今回はおれもロシアンパブで。たしか、この辺だったな」
『Club Ukraine』
「うん? ウクライナ? Moscowだったんじゃ」
「イラシャーイ」
「あれ。おめえセルゲイだろ。店名変えたのか」
「コッチノガ千客万来、チップガッポ。ナンデカ寄付モ」
「ふーん。ちゃっかりしてんな。ま、ロシア人もウクライナ人も見分けつかねえしな。で、ナターシャは?」
「イマスヨー」
「うっほっほ。ご指名ね」
「マイド!」