まだ見ぬ貴女に恋をする話
僕は恋をした。
姿を見たことも、声を聞いたこともない彼女に。
PCのディスプレイ越しの、一方的な140文字の短い文章の彼女に。
切っ掛けは何処にあったのだろう。
窓から見える公園の景色、小さな頃に友達と遊んだ思い出、お気に入りのショップが閉店した事への愚痴、たわいのない些細な日常の報告。
いつしか彼女を身近に感じ、彼女の投稿を何よりも心待ちにしていた。
僕は彼女の投稿を何度も読み返した。
彼女の文章が僕の記憶だと想えるほどに読み返した。
あぁ、どうにかして彼女と関わりたい。
もっと彼女の事を知りたい。
僕は気持ちを押さえきれず、勇気を振り絞りメッセージを送る。
『△△だよ!覚えてる?人違いだったらごめんね』
『○○中学校の△△ちゃん?覚えてるよ!久しぶり~』
あっ……
『よく行ってた○△閉店しちゃったって聞いたよ?』
『わ!知ってたんだ。コンビニになっちゃったよ(泣)』
へぇ……
『家の前○×公園だっけ?あの店近くて便利だったのにね』
『違うよー、ウチの前は××公園だよ。ホントお店無くなっちゃったのショックだよー』
……
『ありがとう』
『?どうしたの?今度帰ってきたら連絡してね!』
『うん、会いに行くね!』
特定した!
ネットって怖いですね