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精霊の加護を持つもの

Side エイダの街の魔女


ダナの森の魔女。それは私と非常に近しい存在。イライジャ帝国の片隅、堅牢な山々の麓にあるのがダナの森。そして、彼女はその森に住まう魔女。彼女も私も人であって、人でない。そんな彼女から来た奇怪な手紙を見て、五年ぶりに彼女の元へと足を運んだ。


出迎えてくれたのは赤ん坊を抱えたダナの森の魔女だった。


彼女はあまり知識がある方ではない。だが、そんな彼女の周りには知識豊富な精霊たちが多くいるのだ。つまりは、彼女のやりたいことがあれば、精霊たちが進んで手伝ってくれる。そんな彼女からの手紙は少し、驚いた。乳が出る牛を用意して欲しいとの手紙が来たとき、何かあったかとも、思った。


まさか、子供を引き取ったなど驚きでしかなかった。


クッキーを食べさせて、眠ったダナの姿を見た。慣れない子供の世話で疲れていたらしく、隈が出来ていた。


「これでよろしいのですかね?」


確認するように空に向かって話しかけた。すると、一人の男が現れる。男、と表現したが、彼らには性別はあって、ないようなものだ。その姿を確認して、そしてカーテシーをした。本来なら誰からも頭を垂れられる存在。


『ダナを寝させる手は不服だが、よしとする。』


「あら、(わたくし)だって忙しいのですが、友の為を思って無味無臭で、尚且つ体には一切害がない薬を調合したのですよ?褒めてくださっても宜しいのではなくて、精霊王?」


ニコリと笑えば、彼は嫌そうな顔に変わる。彼は私の事が嫌いだ。私に加護を与えている精霊が気に食わないらしい。そんなことを言いながら、ダナが寝ても抱きしめ続けている子供を抱き上げようとした、が出来なかった。


ダナは子供を離さないように抱きしめていた。その抱擁に子供は寝苦しいともなく、スヤスヤと寝ている。


「この子は、どう考えてもダナと一緒にすべきではないと思ったのですが、どうお考えですか?」


そう言いながらも先ほど、この坊やを鑑定した瞬間。私は見てはいけないものを見てしまったとも思った。


『……この子は確かに数奇な運命を持っている。しかし、私の祝福を得られる存在でもある。『エイダの街の魔女』よ。これについての心配は不要だ。』


そう断言した精霊王はダナとその赤ん坊を抱き上げて、ダナを寝室で寝かせた。抱いたままの赤ん坊は他の精霊たちがそっと連れて行った。


『もし、お前がダナとツェルのことを話すならば、お前の秘密をあの国に公開するとしようか?』


妖精王が脅しの言葉を使ってくるというのは驚きだった。妖精たちは基本的に自由だ。執着も滅多にしない。ところがその王たる彼が、この『二人』に執着しているのだ。


「分かりましたわ、イライジャの妖精王。『(わたくし)、エイダの街の魔女はこの秘密を一切口外致しません。もし破られたならば、我が秘密を公言なさる権利を与えます。』

……これでよろしいのですかね?」


ニコリと笑って言えば、妖精王は小さくため息を吐いた。わざわざ彼のテリトリーで宣言したのだ、しかも精霊王と直接の宣誓で。つまり、私は何があっても、この二人(・・)に干渉できなくなったのだ。


まあ、交流は出来るだろうが。


ちらりと確認した妖精王は慈しむような視線でダナと、そしてあの坊や、ツェルを見ていた。



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