表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラプンツェルはむしっても、むしっても生えてくる。だから食べてもらって構わなかったのだが……。  作者: まるちーるだ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/25

最期の朝ほど綺麗な晴れ

Side ダナ


朝はいつものように日の出と共に目が覚めた。今日死ぬのか、苦しいのは嫌だな。ギロチンかな、それとも魔女だから火炙りかな。なんて他人事のように思っていた。外を見上げられる窓から見えるのは雲一つない青空。


コツ、コツと音が聞こえる。その主を確認すれば、傲慢そうに笑う皇子だった。


「皇子殺しの魔女よ。時間だ。」


あー、楽に死ねないかも。そんなことを思いながらも表情を変えないようにした。あんまりこの男の前で取り乱したりしたくないな、と漠然と思った。


「来い。」


その言葉に従い、付き人なのか、騎士なのかわからないが男たちに腰を縄で拘束された。無理矢理と言うほどではないが、多少強く引っ張られながら牢から出る。地下から上がる階段。そこから出れば空は青く、そして綺麗だった。


「綺麗だな……」


呟いた言葉に、周りは驚いたようだった。それもそうか。これから死ぬ人間がそんなことを言うとは思わなかったのだろう。


どうやら歩かされ続けた先は広間だった。周りよりも見やすくするような台が置かれて、そこにあるのは斧を持った男たち。あー、処刑台って斧で切る系か。痛いな。

そんなことを思っていれば、乱暴にその台の上に転がされた。


「ふん、命乞いでもすればいいものを。」


まるで悪役の捨て台詞だな、なんて思って笑った。皇子はそれが気に食わなかったらしく、私の髪を掴んだ。転んでいた私の顔はその男に顔を上げさせられる。


「何を笑っている?」


「嗚呼、すまない。君が三下の捨て台詞を吐くものだからつい面白くてな。」


笑ってそんなことを放った。自分の心臓の音が少しずつ遠くなるような感覚。嗚呼、これは殺されるが先か、死ぬが先かという状況になったらしい。


ならば、ポンコツな身体よ、せめて殺されるまで耐えてくれ。


「皆の衆、聞け!!」


思ったよりも思いっきり髪を引っ張られ、見上げた先には多くの人がいた。見上げた先から向けられるのは悪意。


魔女というのはイライジャ帝国(この国)では悪意を向けられる存在。分かっていただろう?理解だってしていただろう?今更傷つくことなんてない。


「この『魔女』は恐れ多くも我が弟を殺した、『皇子殺しの魔女』だ!」


その言葉に民衆は歓声を上げた。私に対する罵倒、憎悪、色んなものがぶつけられる。


見える範囲に精霊たちが居ないのは良かったな。なんて思っていたけど。


「弟の無念を思うと胸が苦しい。だが、ここで、『魔女』を殺すことで、弟を弔いたいっ!」


民衆は大きな歓声を上げた。アホらしい。殺した人間を殺したところで、殺された人間は喜ぶことなどないのに。髪を掴んでいた皇子が乱暴に、私を、斧を持つ処刑人の前に投げ込んだ。転がって届いたのは、その場にこびり付いたサビの臭い。


「その処刑に異議を申し立てる。」


静かに響いた声。歓声が上がっていた場が静まり返った。ゆっくりと顔を上げれば、真っ黒いローブをまとった男性。その場の視線が彼に集中する。


ダメだ、それをしてはいけない。


叫びたいのに声が出ない。身体から力が抜けていく。嘘だ、こんな時に。嘆きたくなるほどに身体の自由が効かない。


お願いだ、やめてくれ、お前だけは自由でいてくれ。


意識が薄れてゆく中、ツェルに手を伸ばそうとした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ