皇太子の誕生祭
Side ルイス
皇太子殿下の誕生日に開かれるパーティー。その賑やかなパーティーの中、私は皇帝陛下に呼ばれた。謁見の間で、皇帝、皇后に相見えた。
「リーツ伯爵令息ルイスよ。ここでは何を言っても不敬としない。我が息子、ブライスについてだ。」
とうとう、聞かれるのかと思った。父から昔から言われていた。道を誤る前に修正させるように、そして、皇太子に皇帝の素質があるか見極めろ、と。
「……無礼を承知で申し上げます。」
小さく呟いた言葉に、皇帝、皇后だけでなく、宰相、騎士団長など、国のトップが勢ぞろいしていた。
「皇太子殿下に『皇帝』たる資格は見られません。ですが、皇帝陛下の血族はもはや殿下のみ……強制的に側近から引き離し、急ぎ再教育をすべきかと……。」
「ルイス、お主も知っておるだろう……。何度も側近から離し、再教育を行った。しかしブライスは義務から逃げ、皇太子たる義務を全うできない。」
頭を抱えた様子の皇帝陛下。皇后陛下もまた、表情が暗い。
「リーツ伯爵。」
皇帝陛下は父の名前を呼んだ。帝国騎士団団長であり、我が父。
「15年前の落とし物を回収してこい。そして競わせて『皇帝』を決める。予言など、信じてはならなかった……。」
「は、必ずや!!」
父はそのまま俺を連れて城を出た。家に帰り、父は15年前の事実を俺に伝える。そして俺は国の辺境、ダナの森に向かうのだった。馬を走らせながら、頭の中で浮かんだのは先日会った少年だ。
どうしても、あの聡明な少年と皇太子殿下の顔が重なるのだ。
そうして着いた先に、あったのは魔女にさらわれたという赤ん坊の話だった。




