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第34話  過去


「……安心しろ。ミハルお前のことは襲うなって他の奴らにもちゃんと言ってある。まあ、お前の相手できる奴はあの中にはいねえけどな。」

「ふん、天下の魔幻隊が聞いてあきれるわね。人質なんてとって恥ずかしくないの?」

「それだけお前のことを買ってるんだよ俺は……その気にさえなれば王国三大魔道士にもなれたであろうお前の力をな……」

「それはどうも……」

「なのに、それなのに……てめえはあろうことか前線から逃げ出してこんなところに雲隠れしてたなんてよ……笑えねえ冗談だよなほんと。」


 ……逃げた。私はミハルお姉さんは戦場で行方不明になったと聞いていた。この戦争の時代において行方不明は死を表す。だから私はミハル姉さんはてっきり死んだものだと思っていたのに……


「本題に入ろうか……ミハル、この村を出て王国に戻れ。」

「大人しく捕まれってこと……?」

「違うな。今、王国魔道軍は戦争のせいでひどい人手不足だ。優秀な魔道士が必要なんだ。たとえ、お前みたいな反逆者でもな……俺がヘレン様を上手く取り入ってやる。うまくいけばお前がここでやってたことは全部帳消し。王国魔道士に戻れる。悪い話じゃないだろ。」

「……村の人達を裏切れってこと?」

「ははは……なに言ってんだよ。もう裏切ってるだろ。お前は戦いから逃げたんじゃないか。」

「逃げたんじゃない!!あんたが、リアを……」

「まあ、あいつらも人のこと言えないけどな、外は戦争中で何百、何千の同士が死んでるのにのに自分達はそんなの全く関係ありませんって面して同士の命を奪った敵と仲良く平穏に暮らしてるんだぜ……ホント反吐が出る。」

「……」


 ……ミハル姉さんは完全に押されてしまっている。私が人質にとられているのもあるだろうが、やはり、負い目があったのかもしれない。

 それにしてもレンジさん。全くと言って良いほどに隙が無い。人質がいて自分が完全に優位に立っているのに常に周囲を警戒している。さすが魔幻隊の総大将と言ったところだろう。変に動きを見せればすぐに気づかれる。


「リア……お前からもなんか言ってやったらどうだ。」

「……私がですか。」

「ああ、そうだ。5年ぶりの再会なんだ。何か言いたいことがあるだろ……なあ?」


 レンジさんは私に短刀をちらつかせながら私に言う。


「言いたいことですか……」


 言いたいこと……そんなのいっぱいある。だって、5年間ずっと死んだものだと思い込んでいたんだ。私の呪いのせいで死んだものだと……


「おい、黙ってないで言えよ……戦争から逃げたこいつへの……五年分の不平不満をよお!!」

「不平不満ですか……」


 私の中でミハル姉さんとの思い出、ミハル姉さんからいなくなった五年間がフラッシュバックする。


「私は……この五年間ミハル姉さんがずっと死んだものだと思っていました。当然、聞きたいことや言いたいことがたくさんあります。」

「そうだろ、そうだろ!!」

「……でも、不満を言うことは……今は出来ません。」

「……え?」

「……は!?」

「私の知っているミハル姉さんは……何も理由なく戦争から逃げ出すような人ではありませんでした。でも現実問題、ミハル姉さんはここにいる。私はそれがどうしても……引っかかるんです。」

「……リア。」

「だから私は、私は……今はミハル姉さんのことを悪く言うことなんて出来ません!!」

「……ちっ!!リア……てめえ!!」


 今の私の言葉が引き金となったのかレンジさんは持っていた短刀を私の頬にその刃をかすめる。


「うっ……」

「リア!!レンジ……あんた!!」

「大丈夫……大丈夫だから……ミハルお姉ちゃん。」


 口ではそう言ったが、今のはかなりびびった。本当に殺されると思ったぐらいだ。


「ったく、素直に言うことを聞いてればいいのによ……人質だって言う自覚があるのか?あ!?」


 レンジは明らかにきれている。初見ではしっかりした人だと思っていたが、まさかこんなきれやすい人だったとは……だが恐れてはいけない。私はミハルお姉さんのために私は戦わなくちゃいけないのだから。


「……いいか、リア。知りたいって言うなら教えてやるよ。こいつはなあ、ただ罪滅ぼしがしたいだけなんだよ……」


 罪滅ぼし……?


「なんであなたにそんなことが分かるんです?」

「……これを見てみろ。」


 そう手渡されたのは一枚の……これは、写真というやつだろうか?《《実物を見るのは初めてだ》》。写っているのは……小さいときの私とミハル姉さん。そして……この男の子は……。


「ここに写ってる男の子ってもしかして……」

「ああ、俺だ……だが、そんなことは大した問題じゃない。問題は……誰がこの写真を撮ったかだ。」

「誰が……撮ったか?」


 確かに少し気にはなっていた。なんせカメラは容易に入手できる代物じゃない。この国で持っている人を見たことが……いや店で売っているのすら見たことがない。カメラはボタン一つで物体の像を記録出来る機械。そして、その記録した像を一枚の紙に写したのがこの写真。この二つの技術を私は竜人関連の文献でしか読んだことがない。なぜなら……カメラは竜人が開発した機械でありその技術はアルバトラが独占いているからだ。


「じゃあ、この写真を撮ったのって……」

「どうやら、察しがついたみたいだな……そうだ。この写真を撮ったのは竜人だ。」

「その竜人は若い写真家、写真を撮って生計を立てていたんだ。王国の風景の写真をな……」


 竜人が王国の写真を……今では考えられないな。そして姉さん……いや、私達はその竜人にこの写真を……


「……」


 ミハル姉さんは……動揺している。レンジさんの言うとおりミハル姉さんがここにいる理由はこの写真を取ったという竜人と関係があるんだ。


「……話を聞かせてください」

「……いいだろう。」







……あれは10年前のことだ。


「遠いところからようこそお越しくださいました。レンブ殿。」

「いやいや、ゲンカク様の頼みとあらば例え火の中水の中どこへでも駆けつけますよ。」

「ははは、それは心強い限りですな!!して……こちらのお子さんは……確かレンジ君でしたかな?どうしてここに?」

「いやあ……せっかくレンジの学校が長期休みだって言うのに私の仕事の都合でどこにもつれてけないのもかわいそうと思いまして……迷惑でしたでしょうか?」

「いえいえそんな……私にも孫娘がいますからな。わかりますよ。その気持ち。」

「……こんにちは。レンジ・ネクロです。よろしくお願いします。」

「おお、しっかりとしたお子さんだ。これも、レンブ殿の教育のたわものですかな?」

「いやいや、そんな大げさな……」

「……それに比べて、おい、出てきなさい!!」


 おじいさんがそう言うと物陰から二人の少女が出てきた。一人は自分と同い年ぐらい……12、3歳ぐらいの女の子、もう一人は年下の6、7歳ぐらいの少女だった。


「……あっちゃあ、ばれちゃったか……もうあんたのせいだからね。リア!!」

「み、ミハルおねえちゃんだって……!!ミハルおねえちゃんだって!!」

「何よリア、私に逆らおうってのいい度胸してんじゃない……」

「はあ、やれやれ……まあでもちょうどよかった。お前達。そこにいるレンジ君にこの村を案内してくれないか?」

「ええ、何で私達が……」

「まあ、そう言うな。後でお菓子あげるから頼みを聞いてくれ……な?」

「お、お菓子……そうか、お菓子か……ええと、レンジだっけ」

「……うん。」

「私達がこの街のこと案内してあげるからついてきなさい。」

「……ついてきなしゃい。」

「……わかった。」


 これが……俺達三人の最初の出会いだったなミハル、リア。

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