8話 ザラタン・サラマンダー鎮火作戦
ザラタン・サラマンダー鎮火作戦
私、アミは地上に降りて、ザラタンの上で鎮座するサラマンダーを見て、炎の正体、木の龍を焼いたものが、サラマンダーだという事を知った今、木の龍を焼いたことで、火力をかなり上げてしまったことを後悔している。
「ど、どうしよう」
私涙目、もう終わり。助求。
「倒すしかないですよ」
乃理の意見も尤もだけど、
「でもさ、ザラタンより大きくなったようだよ。質量的には、元のままなんだろうけど、火力が凄過ぎて、本体が見えてないもん」
「そうでござる。アレをどうやって鎮火させるでござるか?」
本当に千代の言う通りだよ。どうすんのこれ? ってあ、思いついた。
「とりあえず、ザラタンと契約かな」
「うん、そうだね。それで、何処か違うところに移動させるのは手だね。そうすると、下の氷、いや水に落とせる」
「成程」
乃理が納得する。私の作戦を皐文が分かっていたのにはびっくりだけど、でも、その筋書きだね。ん? 通信? とりあえず回線を開けると、やっぱり、神奈だった。
『では、私がそのザラタンを召喚する場所を決めておく。アミはテイムしてくれ』
「了解」
とりあえず、足に触れに行こう。多分足に触れたら、契約できると思うんだ。けど、上から火が落ちてきている。その中を通るのは、少し、いやかなり勇気がいるね。
「技術召喚、水の操作、今ある水の操作!」
巻物を広げそう詠唱してみると、
「動いた!」
詠唱数字を使わなくてもいいんだ。ってそんなことに感動している場合じゃない! この氷の溶けた水を持ち上げて、大きな火の粉から身を守る。どんどん進める。けどいきなり、土でできたお爺さん、ノームが現れた。いや生成された。
「なんで! ん? いや、多分だけど、野生のノームが生まれたのかな?」
『ああ、その通りだ。恐らくだが、サラマンダーに呼応したのだろう。だから、説得さえできれば、なんとかなりそうだが、ほら、後ろに、ウィンディーネもいるだろう?』
いきなり、神奈からの通話。たしかに神奈の言う通り、出て来た水の精にも戦意は無さそうかも。
「うわ囲まれた!」
何となくそんな言葉が出てしまった。にしても、二体とも上を向いたまま動かない。
「そこの君、サラマンダーが苦しんでいるが、どうしてかわかるかのう?」
ノームの一言、え、もしかしてだけど私責められている?
「わ、解らないよ? あ、もしかして、木の龍を焼いたから?」
「少々心当たりがあるようじゃな。では教えてくれんかのう」
「え、っと多分なんだけど、私がサラマンダーの炎で、木の龍を焼いてそれで体がデカくなったから、それで苦しんでいるのかと……」
「いや違うのう、シルフ、お主何か分かったか」
え、さらにもう一人出て来た。それは緑の女性、見た感じ風って感じの女性だった。
「ええ、福留っていう子に、コピーとして生み出されたことが苦しいって言っているわ」
シルフが、そう答えると、3人はこちらを向いて、
「あなた、福留というものを知っておるか?」
ウィンディーネが訊ねる。まあここは正直に捕縛していることを伝えて、
「おーい、アミ様。福留の身柄保護しましたよ」
「あ」
後ろから来た、木下が余計な言い回しをしちゃった。
「ほう、ならこちらに寄越すがええ。そのまま八つ裂きにしてくれよう」
「む、誰だ貴様ら。だが、貴様らに渡す気はない」
「ちょ」
なんか話が勝手に進んでいく!
「アミ様、ザラタンをどうにかするんでしょう? なら行ってください。俺が、俺たちが此処を抑えます」
「う、うん。頼むよ」
まあいいや、なんとか誤解を解いてもいいけど、時間が惜しい。それに、福留を殺させるわけにはいかない気もするし。私は急いで駆け出す。その周りを幼女3人が囲んで追走する。
「貴方たちは?」
「竹中 静よ」
「な、木下 凪です」
「あーしは黒田 撫子」
三人は自己紹介する。いや、
「いや名前を聞いているんじゃなくて、なんで付いて来るのかな?」
「猛お兄ちゃんに頼まれたのよ」
あこの子は、静は木下の妹なんだ。
「あ、アミ様の護衛をしてって」
「そんな事より、まだ静は猛様の事をお兄ちゃんって呼んでるの? 妹じゃないのに?」
え、そうなの。と言いかけて、それより前に、
「いいじゃない。ソウル的にはお兄ちゃんなんだから」
「あたしのお兄ちゃんなのに」
「あ、じゃあ凪が木下の妹なんだね」
「「ううん」」
「妹だよ!?」
「血がつながっているからって、いい気にならないでよね。あーしが、真の妹の座に就くんだから」
「なんで、そんなに妹の座を奪い合っているの?」
「「……秘密」」
「か、勝手にあたしの座を奪おうとしないで。でもあたしたちは、3人でお兄ちゃんを支えていくことを誓ったんだよ?」
「そっか。仲がいいんだね」
「「「うん」」」
「私たちは、姉妹の契りを交わしたのよ」
「そこまで仲がいいなんていいね」
「で、でも二人ともお兄ちゃん狙いだけどね」
「あーしはそんなことないけど」
かなりきょどりながら、撫子が言っているから多分この子も、猛狙いだね。っと敵だ。アレはウィンディーネだ!
「私たちに任せて!」
「うんよろしくね」
竹中の言葉に反射的に返す。でもあの三人どうやって戦うんだろう? 竹中は刀を構え、木下妹はハンマーを、黒田の周りには、自立式銃のようなものが浮いている。恐らく前衛を竹中、木下妹が。黒田が後衛をするんだろうね。まあ武器からの予想だから分かんないけど。
その後、私は一人でザラタンの足元へと進む。何度かノームや、シルフと戦いつつ進む。何とか足元の近くに着いたけど、ついに囲まれた。
「どいてよ! ザラタンを逃がすんだ」
「そうすると、サラマンダーが消えてしまうじゃろ」
ノーム達に、バレているね。だけどここから先に行かないと、サラマンダーの炎を消すことができない、というか体内魔力が少なくなってきている。めちゃくちゃしんどい。そういえば持ち上げて水をそのままぶつければいいかとも思ったけど、これは無理だったね。持ち上げる高さが高いほど、魔力消費も大きくなっている。だからこの量で、あの高さまで持ち上げるとか無理。
「あのサラマンダーはコピーだよ。本物じゃない」
「じゃが、助けを求めておる。だから助けるんじゃ」
「うん、正論だ。正しすぎて、困っちゃう。偽物でも生きているんだもんね。でも、私は間違いを取る。信じた仲間のために。猛が助けたいと言ったから!」
私の決意にノームは、呆れた顔をして、
「そうか、なら、此処で倒れておけ。儂らはお主らと話し合いわせぬ」
「うん、それでいいよ。私は決めたんだ」
決意でもない。ただ単に、信じた仲間のために。命を懸ける。まあ命は666個あるんだけど!
「流石、アミ様です」
水を貫いて何かが下りて来た。あの火の雨を抜けて来たの!? それに熱湯の池も? その人は見慣れたメイド服で、
「あ、乃理かぁ! 成程、オブジェクトで防御しながら来たのか!」
「そうですね。ではアミ様」
私と、乃理の周りにオブジェクトが生成され、箱の中に閉じ込めらる。
「水の解除を」
「……成程! で、この箱は浮力があるのかな? 後全体に撤退指令は?」
「あります! 指令もだしました。」
「OK」
バケツをひっくり返す。まさにそんな音が聞こえ、ノームも、シルフも消え去った。そして最後に残ったウィンディーネも熱湯で何処かに逃げていった。
数分後、ザラタンの近くに箱ごと近づいて、足に触れ、
「じゃあ契約するよ」
『契約認証。識別コードを決めてください』
「そうだね。あなたは……ムサシ、よろしくね」
『ムサシ認証。アミ様の配下に入ります』
こうして、ザラタンを仲間にして、ザラタンの足に乗って、神奈が設定した場所に転移させる。そして、サラマンダーは鎮火した。




