4話 木下と部下たち
木下と部下たち
「いきなり、ダムの水を放流しろとか言われてもな。まあやるけど。で、この道で合っているんだよな?」
『……ああ、大丈夫だ、アミが村に戻る前にやってもらえるとありがたい』
俺こと、木下猛は、神奈に言われ、3名を引き連れてダムに向かっていた。早く戻って、皆を指揮しないと、と思っているから、少し足が速いようで、
「木下さん、悪いが、もう少し速度を落としてもらえないか」
という少し疲れたような声が上がる。
「ああ、悪い。だが、急がないと」
『……大丈夫だ、アミなら今トイレにこもっているからな、転移酔いだ』
「だが……」
皆をまとめれるのは、アミ様と俺しかいないんだ。そう言いかけてやめる。自分が特別だと思ってしまっている。そんな事は無いはずだ。徐に任せたんだ、大丈夫だって言っていた。なら任せていていいんじゃないか。
「分かった、なら1分休憩だ。そしたら、少しスピードを落として出発だ」
「あ、ありがとう助かるよ」
一分休憩、皆会話もせずに時間は過ぎて、
「よし、一分だ、じゃあ出るぞ」
「ああ、息は整った、木下さん頼む」
「おう、皆行くぞ」
数分後
「よし着いた」
皆へとへとだが、ダムに着いた。よし、ダムの操作する場所は……。
「あそこか」
ちょっとした部屋がある。
「あそこの中の機会を操作すればいいのか?」
『……ああそうだ。後、そろそろ急いでもらいたい。もう、アミは地上に戻ったからな。ただそこに敵がいるだろう。電気がそこに通っていないんだ』
「誰かが、電気を止めているのか?」
『……ああそうだ、だからこちらから操作ができない、だから通電さえしてくれれば、私の機械の女王の能力で遠距離から機械を操作できる』
「どういう能力だ? かなりチート臭いが」
『……機械の女王は、すべての機械をいう事を聞かせられるという能力だ。実を言うとネットにつながっている必要もない。ネットにつながっている物は、遠隔で操作可能で、ネットに繋がっていなくても、私の目の届く範囲なら可能だ』
「やはりチートか、だが、此処のダムはどうなんだ? ネットにもつなげないといけないんじゃないのか?」
『……そうだな。起動だけしてもらえばいい。それでネットにつながるはずだ』
「そうか、では、全員聞いてくれ! 今から部隊を二つに分ける。俺と、蜂須賀はこっちで先行、静と前野はこっそり追いかけて来て、だ」
「了解」
「兄ちゃんも頑張って」
前野と静が返事をして、物陰に隠れる。俺と蜂須賀は正面から突撃を開始。やはり突撃は、蜂須賀がともにいるとやりやすい。慎重にドアを開けると、中には女の子が端っこの方に座っており、その女の子が歯車を持っている。
「お、お嬢ちゃん、それを俺に……」
「いやぁあああああ!」
ナイフや包丁が大量に飛んでくる。どうなっているんだこの中は! どうしてこんなに刃物があるんだ! しかもあの女の子めっちゃ俺を嫌がってくる、悲しい。とりあえずドアをもぎ取って防御したがそれ以前に、
「大丈夫ですか! 木下さん」
蜂須賀が敵の攻撃をはじく壁、いわゆるバリアを展開した。
「やっぱり、蜂須賀の能力は強いな」
「木下さんが弱いだけですよ」
「あーうん」
俺怪力しか持ってないからな。それはそうと、あの女の子はどうしたものか。動く気配がないな。
「何とかして、おびき出さなくては」
「うーん、そうだ、神力で浄化とかできないんですか?」
「そんなに神力は便利な物じゃないんだけどな」
俺は、祈りをささげるために、手を合わせようとしたところ、
「お兄ちゃん待って!」
静に止められた。
「どうした?」
「そんな、暴力的? な解決方法じゃ駄目だよ。私が、その子の話を聞くから、こっちに来て! 蜂須賀さんは手伝ってね」
「お、おう」
「? 分かった」
俺と蜂須賀は返答し、俺は茂みへ、蜂須賀は壁を作りながら、静の前に立つ。
「前野、索敵の方はどうだ?」
「はい、接近してきている敵がいますね」
「ほう、どこからだ?」
「はい、俺たちが通ってきた道をそのまま通ってきています」
「成程、で到達時間は?」
「あと2分です」
「分かった」
「分かったよ」
静が話を聞いてくれたようだ。
「で、どうだった? 何とかなりそうか?」
「ええ、あの子は真井 ピコ。福留の助けになりに来た幽霊だよ。で、ポルターガイストを起こしていたらしいんだけど、福留に気づいてもらえなかったらしく、此処でしょげていたらしいんだ。で彼女の条件は彼女を福留の所に連れて行って、姿を見せたいそうなの。お兄ちゃん、どうかしら?」
「それで、歯車を返してくれるならOKだ」
静はそれを聞くと、幽霊に向かって腕で丸を作る。すると、ガゴンと大きい音がして、歯車はハマり、ダムは動き出した。
「で、お兄ちゃん。敵が接近してきているんでしょう? どうするの?」
「ん、ああ、ここで迎え撃つわけにはいかんから、少し前に出る。そこで、戦闘だ。前野は変わらず、索敵。蜂須賀は、前に壁張り。静は、支援に回れ」
「「「了解」」」
敵が来る前に、前進。管理室が雑木林で見えないぐらいまで前進すると、やっぱり蜂合わせた。敵は人間、だけど現代人には見えない。というか人ということしかわからない。靄がある様子だ。
「ほう、また悪魔憑きか、私の前に立ちはだかるなら、倒すしかないな」
「話が通じるのか? すまない、俺たちはあんたと戦う気はない。だから、通してくれないか?」
「すまないが、そうはいかない。私は君たちを倒すように命令されているからな。では戦いの時間だ」
相手は弓に矢を番え、俺は、大太刀と小刀を構える。後ろでは、蜂須賀も銃を取り出し、前野はスナイパーライフルを構える。ちなみに静は観察に努めている。間合いが遠いな。そりゃ、弓を構えているから当たり前。さてどうしたものか。小刀を投げて使うか? とりあえずそうするか!
「そりゃ!」
当たった! でも体に傷一つついてない。蜂須賀のハンドガンもちゃんと当たってもダメージになっていない。前野の方まで見てられないが、多分他の敵と狙撃勝負している。
「ふむ、こんなものか。では、君たちはここで終わりだ」
此方の攻撃に動じず、矢を番え振り絞り終わった敵は、矢を、
「皆避けて!」
放った。
「バリア7枚!」
皆静の言う通り避けようと思ったみたいだが、そんなに体は早く動かない。だから、蜂須賀がバリアを張った。しかし、パリンパリンと嫌な音がしている。それを聞いて俺はすぐ、横に飛んだ。今までいたところを矢が通り、その風圧で、俺は少し飛ばされた。
「これで、威力殺しているんだよな? どんな威力なんだよ」
「あの矢、かすっても駄目! 矢尻に毒が付いているよ!」
大声で静が皆に忠告する。その様子を見て、
「フム、君は、よく見える、いや聞こえるのか? ならば、君から倒すべきだな!」
そう言うと、敵は静かに弓を向ける。そして引き絞っていく。こっから先は聞かれるとまずそうだ、なら念話で、
『何とかして止めるぞ! 静あいつの正体、弱点は聴けたか!?』
『もう……少し! 名前だけなら聴いたよ! ヘラクレス、あの有名な大英雄ヘラクレスだよ!』
『んな馬鹿な! 12の功業や、アルゴナウタイ、ギガントマキアーで大活躍したというあの!? いやいや、そんな神話上の人が此処に居るはずはない。なら、同名人物か?』
『その、えっと、神話に出て来たヘラクレスだよ』
そんな念話での会話をしつつ、俺は、敵を斬りつけるが、一切ダメージが入らない。その間にも、蜂須賀がバリアをヘラクレスと静との間に大量に作っている。
『前野お前の方はどうだ!』
『なんとか倒した。相手はヘラクレス一人。こっちからも狙えるぞ』
もうすぐ、矢が発射される。そんな時に、やっと、静が動き出した。走り出して、違う岩陰に隠れる。
『なら、火の魔術を込めてた弾丸を撃っちゃって!』
『ああ』
しかし、その瞬間に、矢が放たれた。俺はそれの風圧で吹き飛ばされて、バリアもすべて割れていく、弦の音に反応して何処かに飛び退いたように聞こえた。
「静、大丈夫か!」
「う、うん!」
「くそっ、うちの静に攻撃しやがって!」
思いっきり、大太刀で斬り付ける。しかしダメージは無い。あの弓がやばいんだ! だから、だから!
「ウォオオオオオオオ」
弓に一撃を入れた、すると、弦が切れて、
「フム、これでは、撃てんな。なら」
ヘラクレスは何処からともなく剣を取り出した。その剣も、靄がかかっていて、刃先の長さが読めない。
「くそっ止まれ! 止まれ!!」
正面から抑えにかかるが、すぐ上に投げられて、その落ちる先、ヘラクレスの頭上に剣を構えられて、このまま落ちる貫かれて死んでしまう。
「おい、こいつ火が弱点じゃないのか、全然通らない!」
悪魔の力で復活したぞ。前野は銃で撃っているみたいだが、ダメージが入っていない。このままじゃ!
『前野さん、私に合わせて!』
静の念話が飛んだ、それに頷く前野。俺も動かないとな! バリアから降りて、背後から斬撃を入れる。しかしダメージは入らない。次に掴まれてはいけないから、後ろに跳ぶ。ってもう、静の目の前まで来ている。
「逃げろ、静!」
「大丈夫よ!」
静が収納空間を開き、瓶を投げつける。しかし、それは回避されて、そのままヘラクレスは一撃で静の腹を貫いた。
「む? 成程、油か。これは……」
静の収納空間から、油瓶がもう一つ出てきており、腹の前で割れている。さらに今投げた油瓶は蓋が開いており、そのまま道になる。
「ゲホッ」
それを合図に前野が油の道と本体に銃を撃ち込んで、やっとダメージを、
「成程、私が負けるとは、まあいい、あいつのいう事を聞くのも癪だったしな」
一撃与えただけで、ヘラクレスは消え去った。




