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11話 いざ森へ

 いざ山へ


「大丈夫か? ホーネット。種は刺さってないか」


服に着いた土を払いつつ、立ち上がった。

体を見渡す。


 「うん、大丈夫だよ。怪我一つもないよ」


「よかった。もし、種が掠りでもしていたら、赤い発疹が出来るし、目に入ったら失明しかねないからな。で、そっちの馬鹿はどうだ?」


「馬鹿と言うな! こっちは大丈夫だよ。それにしてもワイバーンが森から出て来るなんて珍しいな」


馬鹿と呼ばれた、返り血で真っ赤になっている木下が、少し怒りながら、でも冷静に分析しているふりをしている。だって、


「ええっと木下? 実はこの雛がついて来て、それで、あの親が取り返しに来たそうなんだよ」


私の周りを回っている雛を見つけ、木下は、


「もしかしてまたやっちゃったのか? もっと視野を広く持たんとな」


と落ち込んでしまった。なんか声かけたほうが良いのかな?


「まあいいや、いや、ワイバーンを殺してしまったのは、申し訳ない。アミ殿の意にそぐわない形だと思う」


「ほへ? なんで?」


その言葉に、二人は少し変な顔をする。


「なんか私変なこと言ったかな?」


「いや、変ではないが、その雛の親を殺すことに、ホーネットは割り切れない人間だと思っていたからな」


「あー、そうなんだ。私は自分の安全が第一だから気にしないかな。さっきはちょっと昨日のこともあって、森に突っ込んじゃったけどね」


「けど、この雛はどうするんだ? 親がいないと、誰が育てるんだ?」


あ、そうか。どうしよう。でも、この子、私を親だと思ってやってきてくれたんだ。だから、


「私が育てるよ。落ち着いて見たら、とてもかわいいし!」


「肝が据わっているというかなんというか……まあいいが」


「そういえばアミ殿、プリマさんが探していたぞ。なんか昨日の件で話があるとか」


昨日の件? なんだろう。というか、


「プリマさんって誰?」


「あれ? 会ってないのか? まあいいか。もう少しで来るからって言ってたぞ」


「プリマさんってどんな人なのかな?」


「見た目は二十歳ぐらいで、足が木の根っこみたいになっている。手とかもよく見たら荏田みたいな感じだな。髪はピンク、右で束ねていて、身長は170cmあるだろうな。服は白衣を着ているそんな人だ」


「……ドリアード?」


思わず、率直な感想を言ってしまったけど髪がピンクってことは、髪は花になっているのかな?


「ドリアードじゃないわよー。私は幽霊、木に憑りついた幽霊よー」


後ろから声が聞こえてきた。て後ろは森だよね? 振り返り見てみると、そこには一本の木が生えていた。見た感じは桜の木。そこに人の顔が付いている、つまりは人面樹だ。


「これがプリマさん? かなり怖いんだけど! てか幽霊って本当にいるの?」


「そうだな。けど今から人の形になるはずだ」


そういわれた通り、確かに人の形になっていく。そして最終的には、かなり美人さんになった。まるで人形みたいな顔、スラッとした腕、そして何故か、太い足。形を作れるなら、細くすればいいんじゃ、と思っていたが、よく見ると、足(根)は地面に刺さっている。恐らくそこから栄養を手に入れているんだろう。


「で、私に用事って何ですか?」


「ちょっとごめんね」


プリマさんは私の肩に左手で触れる。数秒触れたのちにその手を離すと、


「うん、やっぱり、魂の1/8がどこかに飛ばされているわねー。しかも、その魂とは細い線で繋がっている。そんな感じねー。例えば、昨日の鬼と繋がっているとかー」


「ど、どういう事? もしかして私、またあの鬼になるのかな?」


「そうねー。なりえるわよ。だから、今のうちに鬼を探すことをお勧めするわー」


「じゃあ、やっぱり山にはいかないといけないわけだね」


「じゃあ、あたしも行こう、一人で行かせると、乃理にどやされかねんからな」


「俺も行こう。鬼に興味がある。それに、昨日の罪滅ぼしだ」


「どういう事?」


「いや、俺の話ってみんな聞いてくれないんだ。だから、発言力を高めるために、乃理さんと千代ちゃんに頼んで、コカトリスを一人で8匹倒して、ヒーローになろうとしていたんだ。だけど、寝てしまってな」


「って主犯はあんただったんかい! じゃあ、私が鬼になってる時に来ていたコカトリスは貴方が仕組んでたものだったんだね。じゃあ本当はあの森から出てくる可能性は?」


「ああそうだ、俺が仕組んだ。それによほどのことがない限り魔物は森から出てこない」


あ、シューにまたどつかれている。


「悪かった悪かったって!」


私より先にシューが怒ってくれたため、少しすっとした。というかいつの間にか、プリマさん居ないし。


「じゃあ、橋に向かって行こうか」


シューの言葉に続き、私達は歩き出した。

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