俺から全てを奪ったやつら
拙い文章ではありますが、最後まで読んでいただけたら幸いです。
本日 8月13日。
日本ではこの日から16日くらいまでは、お盆という期間にあたる。
お盆の時期には先祖があの世からこの世にひと時を過ごすために帰ってくる。
その期間、私は毎回一年に一度しか帰ってこれない先祖にまた来年も遊びに来てねと墓参りをする際に祈る。
お墓参りをした後、私の家は親戚の集まりなど正月以外しないためお盆中に行うことはこれにて終了だ。
なんとも面白げがないお盆休みなんだろう、と思った方も少なくはないだろう。
しかし、これは悪魔で私の家で行うことだ。私自身のお盆期間のメインはお墓参りで祈りをするだけじゃ終わらない。
「…今年は晴れた!」
毎年8月13日のPM5:00。そして、晴れている日に
この街の小さな公園に人々は集まる
幾重にも訪れる者、初めて訪れる者様々であるが
最後はみな、口を揃えて言うことがあった
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「行ってきます!」
現在PM4:50
少女は玄関から母に向かって耳が張り裂けんばかりの声量でそう言い、靴紐を慌てながら結ぶ。
しかし、急ぎすぎて全くうまく結ぶことができず、少女は泣きそうになっていた。
「あらあらそんなに慌てないの。公園に行く途中で転んで怪我しちゃうわよ。今日も幸祥おじいちゃんの読み聞かせに行くの?本当にあの話が大好きね」
夕飯作りを中断してキッチンからパタパタと小走りで来た母は、いつものようにすこし深呼吸をしなさい、そしたら結べるわよと言い、言われた通りにやると不思議と結べた。
「18時には帰ってくるのよ」
「18時過ぎちゃうかも....。私一昨年は、18時に帰るためにお話し途中までしか聞けてなくて、去年は雨で話の続きが聞けなかったの。ごめんなさい」
母は、少し手が濡れていたようで、エプロンで水をふき取り始め、視線はそちらにあった。数秒間沈黙があったが、しょうがないわねと視線を少女に向けて笑った。
「18時になったらお母さんも行くわ。私も久しぶりに聞きたくなっちゃった。さあ、気を付けて行ってらっしゃい」
「ありがとうお母さん!行ってきます!」
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少女は一つ大きく深呼吸をして、家から公園まで駆けだした。
公園につくと案の定もう人は集まっており、少女の座れるスペースはあまり残っていなかった。
「もうちょっと早く準備しとけばよかった…」
おじいちゃんの声がよく聞こえるスペースはまだ余ってないかと探していると
最前列の一人のお姉さんと目が合い、手招きをされたのでそちらに向かった
「私のここの席を譲ってあげるっていえば大人なのかもしれないけど、いやじゃなければ私の膝の上に座りなさい。大人げなくてごめんなさいね、私この話大好きなの」
そう申し訳なさそうに私に言って、この人優しい人なんだろうなと思った。
「座りたいです、いいですか?」
「いいわよ。私あまり足がしびれない人だからリラックスして座りなさい」
「ありがとうございます」
そういって、お姉さんの膝の上に座った。そしてすぐに、おじいちゃんも来て、いつものように読み聞かせをするスタイルに移ると、さっきまでのざわめきが徐々に無くなった
「さて、此処はみんなも知っている通り小さな小さな街…‘‘りんご街‘‘という。みんなはこの街の名前の由来、知っているかな?」
「俺!俺知ってるよ!鬼が…」
「お、鬼…?」
「しっ!!!それ以上言っちゃダメだよ!裕君はもうこの話知っているんでしょ?ルール違反だよ!」
「ほっほっ、そうじゃのう。まだこの話を聞いたことが無い子もいるからのお。ネタバラシをするのはルール違反じゃ。じゃあ、今日初めて来たそこのお嬢ちゃんに聞いてみるかのお」
「わ、わたし…?えーと、昔この街ではリンゴを食べる人が沢山いたから?」
「おお、感が鋭いのお。りんごを食べるところは正解じゃ。じゃが、他は残念、不正解。さあ、答えを知るためにも真剣にこの物語を聞きなさい。これは、約80年前、この街で本当にあった話…。愛し合っていた夫婦の話じゃ。」
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時は30❁❁年
人類はおよそ500年前に地球を捨て、約100光分離れた地球に類似している惑星に移住することに成功した。
その惑星の名前を元地球人は、ホープ(希望)と名付けた。
当然、地球と類似しているとはいっても、異なるところも多く存在する。
そのせいか、ホープに適用しない人間は非常に多くいた。特に女性がその対象に当たった。
原因は500年経った今でも解明されていないが、当時は女性の人口が減少したため、出生率も下がり、必然的にもホープの世界人口は減少したことに対して、政府は非常に焦っていた。
せっかく移住をしたのにも関わらず、人口が減ってはもともこうもないと、世界のお偉いさんたちが、ホープの環境で生き残っている研究者たちを集めた。
その研究者たち諸々の協力のおかげもあって、なんとか人類が生き延びる方法を掴むことができた。
その方法とは、寿命を延ばす薬を飲み続けるという、いたって単純なことだった。
これをここ300年人類は服用し続け、なんと男女ともに平均寿命を200歳まで延ばすことができた。
しかし、当たり前ではあるが、とんとん拍子ですべて上手くいく事はない
妊婦だけは例外であったのだ。女性は妊娠をし、出産をすることで100歳までしかどうしても生きられないという結果になってしまった。今後も女性が出産をし、200歳まで生きられるよう政府は今後も研究を続けていく姿勢だ。
「お腹、だいぶ大きくなりましたね」
「ええ…、早く会いたいです」
憎たらしい
俺の近くに座っていた妊婦に、看護師が話しかける
世間一般的に見て、この場面は和やかなのかもしれないが、今の俺にはそんな気持ちは微塵も生まれなかった。
なにがそんなに嬉しくて笑っているのだろうか、その腹の中に入っているやつを生むことでお前たちはきっと後悔をすると思ったがどいつもこいつも今の俺と同じ状況にはならないか、と更に世界が憎くなった。
俺は今後悔をしている
最愛の妻に子を産ませたことを、そして奴ら…政府の犬どもに妻が命がけで生んだ子を殺されたことを
今はもう亡き妻、千秋は出会った頃から体が弱かった。かすり傷一つで熱が出たときは本当に肝が冷えたのを今でも鮮明に覚えている。
そのまま、千秋を病院に連れて行き、医者には
「この星に生まれた女性なら、珍しくないことです。対策としては、怪我をしないように注意することのみです。現段階では、まだ熱がでないようにするための特効薬などはございません。安静にしておいてください。」と、塗り薬と風邪薬を渡され帰らされた。
丈夫なまま生きられるのはいつだって男だけだ。地球のころとは違い、この星は女を心底嫌っているようにも感じた。
千秋と出会う前の120年間。腐るほどの女と出会い、付き合いはしたが、どの女にも本気になることはなかった。
もしその女が俺との子を身ごもり出産した場合、その女の寿命を半分削ることとなる。つまり、そいつの命を雑に扱っていると思ってしまうため、俺には子を孕ませる勇気はなかった。
だが、千秋と出会ってからその考えは一変した。
初めて千秋を見た瞬間運命だと、魂が自分に訴えかけてきた。
あの子が今、20歳であったら。
あの子との子が欲しい
あの子と何らかの繋がりが欲しい
当時の馬鹿な俺は、そう思ってしまったのだ。
その時から、俺は毎日千秋の仕事場である酒場に足を運んでいた。
次第に、常連の客だと認識され、そのノリで連絡先も聞いた
それからは、夢中になってアタックをして
関係は理想通りのものとなった
3年後には、早くプロポーズしろよと、臆病な俺に背中を押し
結婚した
千秋の直向きな性格を好きになった、決して弱さを見せない凛とした表情も好きになった。
すべてが好きだった
しばらくして千秋はこういうようになったのだ
「あなたとの子が欲しい」
嬉しかった。本来千秋と付き合う前から、子が欲しいということは、望んでいたことだった。
付き合ってから知ったことだが、千秋の年齢は20歳だった。
付き合った当時、俺は120歳、千秋は20歳。千秋が妊娠をして子を産んでも、一緒に老いて死ぬことが可能な年齢。
すべてが理想通りだった
今は、親が先だった子供たち用の施設は充実している。100年間しか親といることができないという者はざらにいる。
だからこそ、今子を産むことは絶好なタイミングなのだった。
「俺も千秋との子が欲しい。」
次回から展開変えていきます!




