表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

鉄板



気だるいな。どうして午後の授業はこんなにも眠くなるのだろう。教室をぼんやりした頭で見渡してみると、3分の1ぐらいの生徒の頭が垂れ下がっている。

加えて、外で何かの工事をしている音と、黒板をチョークで書く音。現国の小田原だっけ?先生の声が合わさって、眠りに就くいいBGMになっている。

私も眠気は我慢出来るけど、気だるいのはほんとだし、合わせて寝ちゃおかな。

なんか悪夢見そうな感じなんだけど。




「わっ!」



何気なく、横を見たらクラスメイトの女生徒のナントカと目が合った。

誰だっけ......。確か狩畑愛美だっけ?


なんだか慌てて気まずそうに前を向いて授業を受けようとする。わっ!って。恥ずかしい?顔赤いよ?

この娘も、まあまあ可愛いよね。

天然のカールした茶髪で首筋までで切ってて、綺麗よりは可愛らしい。小動物で例えるなら、ハムスターみたいな感じ。

接点は、ほとんど無いなー。挨拶ぐらいしか交わした事ない。

あの感じ......。男の気配も感じた事無いし、

私に気があるのかな?

だとしたら楽しい、ワクワクするな。

そう考えたら、午後の授業の気だるさも消えた。


授業が終わって、相方の和久井恵美が声をかけてくる。



「優子。さっきの授業ちゃんと聴いてなかったでしょ。ノート貸したげるから、帰って写しなよ」



「あ、恵美。いつもサンキュー。愛してるよ。放課後ちょっと用事が出来たから先に帰ってて」



「用事?部活もアルバイトもしてない貴女が?怪しいわね。また何か悪い事考えてんじゃないでしょうね?だって貴女楽しそうなんだもの」



「なんでもないよ。家の用事。いいから早く帰んな」



「浮気にしても程々にしてよね」




おっとバレてる。さすが私のバディで相方の彼女だ。そんな彼女を手のひらをヒラヒラさせて追いやる。まあ、いつもの事だ。彼女には苦労かけるねえ。

思ってもみない事を思いつつ、私は帰り支度を初めている、小動物の狩畑愛美ちゃんに鼻歌混じりに、接近する。



「狩畑さ~ん」



ビクッ!と狩畑さんは震えた。声をかけただけなのに可愛いリアクションするなーもーたまらんですな。



「ど、どうしたのかな?青島さん。青島優子さん......」



「あら、下の名前も覚えてくれてたんだ?マメな性格してるねー」



「そ、そんな事。青島さんだから、覚えていただけで......」



「嬉しい事言ってくれるわねー、可愛いすぎるよ狩畑ちゃん。ほぼ鉄板だよ?」



「て、鉄板て何?それで、青島さん。わ、私に何かよう?」



顔が赤い愛美ちゃん。目も私と合わせられないようでうつむき加減に聞いてくる。期待を込めて。

裏切られるよー愛美ちゃん、そんなに期待しちゃ駄目だよ?うぶだなー。




「ちょっと話ししよっか?帰りがてらにさ。なんなら聞くよ?人気の無い校舎裏に行こっか」




「え!?」



目を丸くして、パニック状態をいい事に、私は愛美ちゃんの手を引いて人気の無い校舎裏へ歩き出した──





続く



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ