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ClearQualia ~白紙の少年~  作者: nekomiti
序章 第一章 『亀が愛した水底の宝石』
2/117

1(挿絵)

「夢はいつだって心地よく、そこは母の胎内(たいない)のように君を優しく包み込んでくれる。

(うらら)らかで暖かな日差しが降り注ぐ夢の中は、摂氏(せっし)三十七度の快適で過ごしやすい揺り(かご)のようだ。


どんな布団よりも気持ちよく、どんな暖房よりも丁度いい”そこ”は、二度寝と言わず三度寝だって出来るほどに心地が良い寝床だろう。


────けれど、どれだけ心地よくとも、夢はいずれは覚めるものだ。


夢の中に永遠に住む事など、出来るはずもない。

幸福な夢見心地(ゆめみごこち)は朝日と共に終わりを告げ、夜の帳が太陽に(めく)られるのと共に、彼方へと去り行くものなのだから。


やがて君を揺り起こす目覚めは、”夢”と言う名の羊水ようすいから君を放り出して、”眠り”と言うへその緒を切ってしまうだろう。


そうして今日という日に新しく生まれた君は、目を覚ますとまた、新しい一日を歩み始めるのだ。


けれども現実は真冬の外気のように冷たく、その北風は肌を刺すように厳しい。


────あの暖かな夢に帰りたい。


そう思う事もあるだろう。

けれどその夢はもう、どこにもないのだ。


もう一度眠りについた所で、次に見る夢は、君が先ほどまで見ていた夢ではない。


ならば、夢の国(ネヴァーランド)から放り出された子供は、一体全体、どこに行けば良いのだろうか?


これは、(なが)い、(なが)い夢から目を覚ました、一人の少年の物語────」



亀が愛した水底の宝石 -Precious sapphire on the seabed-



挿絵(By みてみん)

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