捜査記録1
※この話はフィクションです。現実と乖離した表現がある可能性がありますが、予めご了承ください。
ある男がスマートフォンにイヤフォンをつけて音楽を聞きながら、誰に言っているのかわからない独り言を言う。独り言を無意味に量産するのは羽根課長。
独り言課長の前に並ぶダンボールの山から一人の男が現れる。現れて早々、羽根に文句を言う。
[……いい加減、聴くのやめて片付けたほうがいいのではないですか」
そう言われて、悲しい気持ちになった羽根は仕方なく音楽を止めた。
止めたあと、険しい表情をする御井の後ろにいる彼女へと目が行く。
資料を見比べながら考え事をしているようだ。
資料を机に置くと付箋をつけファイルに丁寧にしまう。
真面目だと感心しながら「先月の事件か?」と聞いてみる。
そうすると、こちらを向いてまっすぐ見て言う。
「いえ、アニメの設定資料を見て復習をしてました」
いつものことだからと特に言うこともなく羽根は「そうか」と言い自席へ戻る。
御井は「すこしはなんとか言ってくださいよ」というものの、そういう御井も机には拳銃のモデルガンが散乱している。
常に人間は自分の余暇を持て余すことのないよう趣味を探す。その結果マニアになる。マニアの程度にも色々あるものの、通常よりも特定の趣味に特化した知識をつける。