第7話
ショートカットの明るい色の髪に、パンツスーツの姿をした女性が、フェンシングで使うような細い剣を腰にさしてあたりを見回す。黒い縁の眼鏡をかけると、彼女には電波の鎖が見えるようになる。
「あそこから飛んでいるぞ。おそらくはミシェルの鎖だ追いかけろ!」
AI警察を従えて、大型バイクに飛び乗ると、勇ましく3人が宿泊しているホテルへ向かって走り出した。
ホテルの室内では。
「まずいぞ、ジャンヌがいる。もうここも見つかったはずだ!」
「ジャンヌか…」
ミシェルとリベルタが眉間にしわを寄せて、それから荷物を見て、それから。
「荷物をまとめている時間がない、急げ!」
僕は叫んだ。
「待って、パソコンが」
「時間がない! ミシェルの鎖を追いかけられているんだ」
何かがカチッと鳴った気がした。
電波が飛んでいるなら、それをシャットダウンすればいいのではないか?
「ミシェル! ミシェル、鎖をつながない方法はないのか?切るスイッチとかなんでもいいから」
ミシェルはスマホと身分証だけポケットに入れながら、叫び返した。
「それがあったら、楽なんだけど、目をつむっていようが、何をしていようが、完全に意識でも失わない限り…」
「名案だ!」
リベルタの鋭い一撃が、ミシェルの首をとらえて、ミシェルはばたりとその場に崩れ落ちた。
「これで、探知されないで済む。名案だよ、トーマス」