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女子高生は悪魔or催眠術師?  作者: 名無 無垢
戦闘準備の回ー天使編ー
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天使編01-01

 天使の協力も得てたものの、結局今直ぐに悪友を消すのは得策でないことがわかった。


 僕らは学園から外へと帰ろうと裏口から出て直ぐのことだった。後ろからまだ夏だというのに黒いロングコートを来た警察官が来た。

その姿は凛々しく、少し長い黒髪をしていた。


「ちょっと君たち、いいかな?」


「(やば、学園から出るのがバレたか?)」


 僕は内心不安を覚えながらも、表情変えずに振り向き、警察官の顔を見た。


「なんですか?バイトなんですけど」


「いや、最近学園内がぶっそうだろ?何か知らないかと思ってな」


「そんなの、先生方に聞けばいいじゃないですか?」


「自分の職場の不安を、警察に言う大人がいるか?」


「……」


 僕は直感だが、この警察官は他の大人と違う匂いを感じた。何故だろう、それは少し懐かしい匂いだった。


「まあいいや。俺の名前は天空寺湯乃(てんくうじゆの)という。受けとれ名刺だ」


 湯乃、女らしい名前だった。


 僕は反射的に警察の胸元を見た。


「これでも女性だボウヤ。気にしてないさ、よくあることだ」


「……」


「何かあれば連絡が欲しい。もちろん報酬は弾む。高校生なら、小遣い欲しいだろ?それじゃあな」


 湯乃は直ぐにその場を去り、僕は呆然とその後ろ姿を眺めていた。


「う、うぅ……」


「あ、星井が起きた」 


 さっきまで気絶していた星井が亜熊の背中の上で目を覚ました。下手な記憶がなければいいと願うばかりだった。


「ここは?」


「学園の外よ。歩ける?」


「……なんで寝てたのかな?」


「屋上で熱中症になったんだよ。飲み物奢るから早く降りてやれよ」 


「う、うん……」


 星井は半信半疑に亜熊から降り、僕の奢りで近くの自動販売機から飲み物を買うことにした。


 便乗した悪魔と亜熊の分も何故か僕が買うことになった。


「……」


「どうした星井。私のトマトジュースを眺めて」


 悪魔が飲んでいたジュースだが、星井は苦笑いで首を降った。


「別に見てないわよ。ただ何か……タカタカといい、あんたらといい……最近様子が可笑しいなって」


「……」


「集団催眠の時からそうだけど。何か私だけに隠しごととかしてないよね?」


 僕は内心困った。


 将来的な期待をするなら、本当はここで星井にも僕らの現状を話すのが適切だった。


 だけどそれは、星井が死に追いやることにもなる。


 正直、星井操など僕からすれば、向こうが勝手に付きまとっているだけの同じクラスの女の子。


 そんな星井がどうなろうと、僕には関係ないのさ。


 そう、関係ないのにはずなのに……傷付くのが怖いと思うのは何故だろうか。


 気が付けばそこに星井がいる……いつもそうだ。だから僕はーー


「何もないさ。バイトの事の相談とか、お前のいないところで話してるだけだよ」


「な、なんで?」


「なんでって……バイトの悩みはバイトしてる人間にしか分からないものだからだ。結構辛いんだ、社会ってやつは」


 僕は適当に促した。


 これでいい、これがベストだと思った。


 だから星井にはしばらく黙ることを選択した。


 その回答に悪魔も小さく頷いた。


「(高橋……お前がそのつもりなら私も星井を天使だった頃の記憶を戻すことはしない。最悪催眠術で無理に引き抜くことも考えてはいたが……それは無しでいこう。人間界を守りたいと思う気持ちが徐々に強くなっているお前に、私は少し嬉しいぞ高橋)」 


 星井は飲んでいたスポーツドリンクを飲み干し、野球の全力投球のようにゴミ箱へと投げた。


「ごめん、先帰る!」


 突然全力で走り、その場を後にする星井。


「……バレたかな」


「それはどうだろう。あの顔は、高橋に何かしてやろうとする時の顔よ」


「亜熊、お前何やかんや星井と仲良しだよな」


「あの子、意外といい子だから応援したいのよ。不良のレッテルとやらは何処にあるのか知りたいくらいよ」


 知らぬ間に亜熊は星井と仲がいいようだ。


 僕が見たあの天秤の前の幻想の未来も、もはや嘘みたいなものだ。


 その後、僕らは直ぐにその場で解散となった。


 全生徒が早退になった今日、まだバイトまでには時間が、店が気になり一度家に帰ろうと向かう。


 流石にまだバイトの子は来ていないだろうから、軽くご飯でも食べて本を読もうと計画する。


 関係ないが、バイトの子の名前聞いてなかった。



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