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女子高生は悪魔or催眠術師?  作者: 名無 無垢
戦闘準備の回
32/49

天界編05-02

「んで?どうする訳なの?」 


 昼休み、星井以外の全員、即ち魔界の二人を屋上へと呼び出し僕らは会議を始めた。


 星井には魔界とか天界とかの知識はないため呼ぶなかった。それ以上に、無理に巻き込む必要もないと考えた。


 星井に眠る天界の記憶とやらについては追々解決するつもりではあるが、その前に僕の身の安全を第一に話が進む。


「正直、魔界人を探すより難しいわ。察知する方法がないもの」


「それに高橋君も分かる通り、私達にとって天界人は弱点もあるしね」


「そいつは、初耳だな」


「何言ってるの、サタン(こいつ)との戦いを忘れたの?この子、天界人の力を使って一度私を殺したじゃない」


「そう、いえば……」


 集団催眠が起きたあの日、僕と悪魔から生まれた黒の本、絆から生まれた魔力により、一度は亜熊を消滅させたことがあった。


 その力こそ、亜熊曰く天界人の力と同じものだと言う。


「天界人は逆に私達を察知出来るらしいけどね。現世にいる魔界人を殺すのが、彼女らの仕事とも言えるし?」


「そんな訳だ高橋。手はない!」


「おいおい、諦めるなよ!」


 ドヤ顔で閉める悪魔に慌てた僕は肩を揺さぶる。


 僕に残された時間はそうない上に、頼れる人材はこの二人だけなのだから。


「ま、まあこれから夏休みもあるし……私たち3人なら何とかなるって!……たぶん」


「目をそらすな悪魔さんよぉ!」


「てか、夏休みの前にさ……期末いつだっけ?」


 亜熊が急に期末テストの日を思い出そうとしていた。


 僕は即答で教えてあげた。


「来週だろ?それ終われば夏休みだし、まあ悪魔はバイトもあるだろうから……僕もか。とにかく、使える時間は捜索に当ててほしいんだ」


「分かったわよ。亜熊、あんたも協力しーー」


 悪魔が振り替えると、白目を向いて空を見上げる亜熊がそこにいた。


「テスト……赤点て、うち何点だっけ?」


「えっ?50点より下は赤点だそ?」


「「うぞぉ!」」


 悪魔と亜熊が同時に迫り寄る。


 僕としては悪魔も一緒に驚いたことのが気になった。


 悪魔、お前は去年もここにいたのでは?という疑問を胸に来てみた。


「お前ら……まさか勉強、大丈夫なんだよな?それに悪魔、お前去年はどうしたんだよ?」


「な、何言ってるの……私が学生として侵入したのは今年よ」


「はっ?その前は誰の血を吸ってたんだよ?」


「病院の献血をそのままゴクン」  


「バカ野郎かよ……」


「あぁ、人間の勉強なんかやったことないわよ!」


「亜熊、お前も大概だな」


 己の食事のためにわざわざ学生として侵入して来たのに、本文の方は完全にダメのようだ。


 夏休みが補習となれば、前半は間違いなく学園に通い詰めとなり、捜索に当てる時間が減ってしまう。


 悪魔に至っては、バイトをクビになりまた僕の家に来てしまう可能もあるため、ここは何としても勉強を教えなければならない。


「話しは聞かせて貰ったわ!」


 そこへドアを思い切り開け、満面の笑みでこちらを見る星井がいた。


「星井か。そか、お前は勉強出来るもんな」


「出来るも何も頭の中に全部入ってるわよ」


 胸を張る星井に悪魔が手を握る。


「まじか、神様じゃん!」


「でぇもぉ、あんたらに教えて私に得があるかしらねぇ~」


「うぐっ!」


 痛いところを突かれる悪魔、亜熊に目線を送るが交渉するのには手持ちぶさただった。


「くそぉ、どうすればっ!」


「簡単よ。これから夏休み、そして夏といえば海やら山やら川やら祭りやらがあるわ」


「だ、だから何よ?」


「つまりタカタカに抜け駆けなんてしたら、アンタら、分かる?」


 星井の目の奥にギラギラとする何かが見えた悪魔だったが、そのくらいの条件ならと胸を撫で下ろす。


「……そゆことなら。そのくらいなら亜熊もーー」


「うぉぉおおおおおっ!世知辛い!」


「抜け駆けする気まんまんだったのかい……」


 こうして星井と僕による勉強が始まろうとしていた。

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