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女子高生は悪魔or催眠術師?  作者: 名無 無垢
戦闘準備の回
31/49

天界編05-01

 悪友の悲劇から約2年が経とうとする時、僕は黒いフードの女性に助けられ、そして悪友の悲劇が再び始まろうとしていることを告げられる。


「悪友は貴方の中で生きています。それも、違う形となり子としても存在し、貴方の中で成長しています」


「どういう、ことだ?」


 僕は彼女の言葉を疑った。


「悪友は貴方の体内で、卵を生んでいるのです」


「なっ!?」


 悪友は僕の中で生きている。それも卵を生んで違う形となり、さっきの堕天使のような存在を作っていた。


「つまりあれか、この堕天使は……」


「はい、悪友の生み出した分身。我々は堕天使と読んでいます」


 堕ちた天使、産み落としたという意味からなのか。


 そんなことはさておき、僕は体内で生きている悪友のことと、起きてはならない未来の絵を見たことについて、彼女に聞いた。


「僕の未来に、平凡はあるか?」


「ない、ですね。でもそのために私がいます」


「助かるのか?」


 僕は不安な声で聞いてみたい。


「悪友を消す、たった1つの方法、その秘策は簡単です」


「助かるんだな?」


「ですから、その方法をーー」


「助かるのかと聞いている!!」


 僕は黒いフードの胸ぐらを掴み、歯を食い縛りながら問い詰めた。


 彼女は微動だにせず、僕が手を放すのを待っていた。


 たぶん、イライラが目に見えていたからこうなることは想定内だったのだろう。


「その方法とは、天使に助けてもらうのです」


「天使、だと?」


「はい、純粋な天界人に悪友を取り除いてもらえれば、貴方は助かります」


 天使、恐らくは魔界人とは反対の存在だということは言葉からに察するが、その存在はどこにいるのか、僕には分からなかった。


「天使は今、現世に2人います。その内の一人に助けてもらうのです」


「つまり、星井に助けてもらえば!」


「いいえ、星井は記憶がございません。記憶を取り戻す方法が分かればそれでいいかもしれません。しかし、その方法が私にも分かりかねます。ですので、も一人の天使を探して下さい」


 星井に助けてもらえると希望を抱いたが無駄だったようだ。


 星井には天界の記憶がない。当然だ。この学園に来てから一度でもそんな素振りを見せたことがないのだから。


 僕はも一人の天使に期待するしかなかった。


 藁にもすがる思いで、僕は黒いフードの女性に頭を下げた。


「頼む。天使の居場所はどこなんだ」


「……この町のどこかにいます」


「この町、か」


 こんな片田舎のどこに天使などいるのだろうか。


 しかし、時間はない。


 あの日が今年の期限となれば、残す日付はそう遠くないのは分かっていた。


 秋頃、つまりもう少しで来る夏休みの内に天使を探し出せれば僕の勝ちとなる。


 逆に夏休みを越見つけなかければ、秋の中旬頃にはお陀仏となるのだ。


 他に方法がないなら、僕はそれに賭けた。


「時間ですね。それでは、また」


「あっ!」


 黒いフードの女性は颯爽と消え、僕も黒い空間から放り出された。


 そして気がつけば、机の椅子へと戻ってきたのだった。


 夢、いや違う。あれば現実だった。


 僕が堕天使を生む存在であることと同時に、体内の彼女を殺すまでに時間がない。


 もう直ぐ夏休みもある。丁度バイトも来るし、その期間を利用しよう。


「ねぇ、どっちが食べたい?」


「うるさい!お前ら!」


 僕はバナナとみかんを奪い、外へと放り投げ、教室のドアを思い切り開け、後にした。


「高橋……くん……」


「そうだよ。やっぱ喧嘩はよくないよ。そりゃタカタカだって怒りたくもなるよ」


「だよね。仲直り、しよっか」


「そだね。ごめんね」


 僕の知らないところで二人は握手を交わし、そして僕は悪魔のいる3年生の教室へとやってきた。


「うぉ、もう直ぐ授業がーー」


「天使が必要なんだ!協力するだろ?」


「その話し、後でにーー」


「するだろ!?」


「わ、わかったから!」



 突然の行動に考えもなしに答えを出した悪魔。


 その答えを聞いた僕はそのまま再び教室へと戻ってきた。


 星井と亜熊もその怒りの表情に声をかけられず、もじもじと顔色を伺っていた。


「(怒ってる?)」


「(たぶん。昼休みまでは待とう)」


 僕には時間がない。その焦りに回りに気を使わせている。


 そんなことは分かっている。


 だが、この焦りを押さえる方法が分からなかった。仲間が、いつ襲われるか分かったもんじゃないし、その前に僕が死ぬかもしれない。


 あのビジョンが起こした悲劇のように、僕が誰かを裏切るかもしれない未来に、正義などあるのだろうか。


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