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天界編04-01

 僕は思い出した。そうだ、2年前のあの日に僕の身体には悪友が住んでいることを。


 季節は秋、つまり夏休みの内に対策をしないといけない。


 でもまだ夏までには時間もある。


 今は星井や亜熊のことを気にかけてやらないとならないな。


 明日にでも、僕が仲裁に入ろうかと思っていると、一人お客さんがやっつきた。


 僕と同じくらいの見たことのない女の子、もしかして、別クラスに来た例の転校生なのだろうか。


「いらっしゃい」


「あ、あの……高橋さんのお家はここでしょうか?」


 用事は別にあるようだ。


 恐らく叔父に用事でもあるのだろうか。


「そうだけど、叔父さんに何かよう?」


「あ、いえいえ。そうですか、貴方が高橋炊樫さんでしたか!」


 用事は僕にあるようだ。


 赤いロングヘアーに黒いの鍔の有る帽子、そして学校の制服、僕は見たことがなかった。


「それで転校生、用件は?」  


「あの、ここで働かせて下さい!」


 また可笑しな展開へと、転がりそうな予感だった。



 その日の夜のこと、悪魔が家に戻ってきた。


 近々悪魔はこの部屋から去り、僕もまた一人となるが、今日はまたいつものように居座るのだった。


 何だかいつもより悲しい表情にも見える彼女の顔に僕は少しだけ戸惑う。


「私、ここにいちゃ、ダメなんだよね?」


 突然の質問に僕も戸惑う。


 確かに悪魔がここにいるのは僕も困るけど、彼女には仮もある。


 だからといって、それを漬け込んで居座り続けられても、お互いの利点にはならない。


 僕自身、いつ悪友が現れるか分からないから、これ以上こいつに頼る訳にもいかなかった。


 これは僕の問題、僕が解決しないといけないんだ。


 それを誰かの手を借りたりするのはもう御免だった。


 少なくとも来年にはこの町からいなくなるんだ。


 だから、この事を話す気はなかった。


「お前はお前で、自分の部屋がないと着替えも面倒だろ?」


 彼女が着替える時はいつも僕が部屋を出ていた。


 それが面倒だと思うのは、どちらかと言えば僕だった。


「ま、まあ……でもいいのよ、たまになら……」


「……」


 彼女はここを出るのが寂しいんだろう。


 それでも僕は冷たくアシラウのだった。


 そうでもしないと、僕まで彼女を引き留めてしまいそうになるからだ。


「今日は、寝よう。疲れただろ?」


「うん……」


 僕は自分に正直になることはできない。


 だから僕は転校のことを話さない。


 話すことで僕が、いや皆の顔が何となくどんな表情なのか分かってしまうから。


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