天界編03-03
その後、僕はずっと上がり続けた。
何もさせることもなく、僕は「イカサマ」を使い、ついに部員全員の点棒が無くなった。
「さっ、どうする?」
「い、いやよ廃部なんて……無茶苦茶よ」
悔しながらに部長が歯を食い縛る。
僕もそれを見て考え直した。
このまま、文化系の部活が無くなるのは良くない。
僕はこのまま勝負を終わらせまいと、続行する手立てを考えた。
「なら何を賭ける?金は、ないのだろ?」
「くっ!」
「だったら、服ね」
「服だと?」
悪友が話の間に入って来た。
「そ、服を一枚脱ぐ。それで点棒をリセットのまま続行してもらうの。最高のショーじゃない?」
ならばこの話、上手いことを利用しようとする考えが纏まり、僕は悪友に参加を求めた。
「そのショーに、お前は参加しないのか?」
「そう、ね。この流れなから勝ちだろうから、私も入ろうかな?」
思った通りの展開、僕の隣に悪友が座る。
これで2対2の対決となる。
そして部長が上の服を脱ぎ、下着一枚の姿となる。
部長のブラジャーは白のスポブラだった。
「文化系がスポブラとか、ウケる」
「……くっ!」
勝負再開、僕の親からスタートした。
東3曲の5本場、ここから2潘縛り(上がる役が2潘以上必要)となる。
しかし僕には作戦がある。
このまま部長を全裸にしても意味はない。
意味を成すのは、悪友を倒すことだけだ。
「手配は……ふふ」
悪友が僕を見つめる。
それもそうだ。何故なら彼女の手は大三元という役満の手だからだ。
つまり、悪友が上がれば一回で勝負が着くのだ。
悪友は不要牌を捨てるーーそしてーーそれを僕は見逃さなかった。
「ロン、国士無双」
「はっ!?何してるのあんた!?」
「えっ……?」
部長も驚くその一手に、僕は動揺する気も起きなかった。
僕はこれ以上、悪友の悪事を見逃すことが出来なくなっていたのだから。
「さっ、金を出すか、脱ぐか。それとも勝負を止めるか」
「ふざけるんじゃないよ!なんのつもりよホント!」
「僕は……もうこれ以上、他人を傷つく姿を見たくないだけだ」
「ならいいわよ、止めるわよこんな勝負!止めたやめた!」
この時、僕は無意識だったのか、その後「認知を変える能力」の伏線だったかのように、悪友の動きを止めていた。
「(なによこれ、席から立てないじゃない!)」
「続行なら、脱げよ」
「くっ!」
苦渋の選択に上の服を脱ぎ、黒の下着が目に見える。
僕は軽く興奮をした。
好きな人が、好きだった人の下着が見れたのだから。
僕は親を続行、再び悪友に好牌が入るが、当然罠と思い、必要な牌を捨てる。
僕はそれを知った上で仕組んだ。だからーー
「ロン、人和、四暗刻、字一色、トリプルだな」
3つの役満、悪友のマイナスは負け3回分となる。
この場のルールに置いてそれは、察しの通り全裸になるしかない。
「……なんで、裏切ったのよ……なんで……」
「脱げよ、悪友」
「負けは見えたのよ、もういいじゃない!なんで急に助けたかは分からないけど、会長さんあなたの友達、なんでしょ?なら、私達もこの事は忘れるから、無しにしてあげーー」
「うるさいっ!僕はなぁ!僕はなぁ!」
今までの怒りが爆発したかのように悪友を突き飛ばし、無理矢理に下着を剥いだ。
初めて見る女性の裸体に興奮はしたが、それよりも怒りが迸る。
僕は悪友の腹を蹴り、顔を殴り、髪を掴み立ち上がらせる。
暴力をしたことに後悔はない。
僕は間違えてない。
ただ、この場においてのそれは、最低だった。
気が付けば、僕は彼女の服をひんむき犯していた。
それを見ていた麻雀部もメンバーも引いていた。
やり終えた僕も、どう燃焼していいのか分からなかった。
悪友は静かに下着を着替え、何か訴えるように睨んでいた。
……頭が重い。
何か、記憶をかき回されるような感覚、目眩のような吐き気が来る。
僕の視界は映り変わり、彼女だけが目の前にいる。
『こんなことして、許さないから!!!』
「!?」
僕の身体にぐちゃぐちゃの液体のようになった彼女が入り込み、骨を抉られるような痛みが走る。
『2年後に、またね』
「悪友……」
彼女は最後にそう言った。
そして気が付けば僕は生徒会室にいた。
そこに生徒会の人が書類整理をしていた。
僕は何が起きたのか理解出来ぬまま、その人に悪友の居場所を聞いた。
それが、恐ろしい返事が帰ってきた。
「会長は、私ですけど」
「な、なにを……」
「てかあなた、生徒会の人じゃないなら、出ていって貰える?」
僕は部屋を出た。
そしてそのまま廊下を歩くと、部の看板はそのままだった。
悪友は消えた。
たぶん、僕の身体の中に今も生きているのだろうか。




