表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/49

天界編03-01

 昔の事だが、僕高橋炊樫にも友達はいた。


 いや、悪友と呼ぶに相応しいだろう。

 

 僕は悪友を悪友とそのまま呼び、そして周りもそう呼ぶようになった。


 そのお返しなのか、彼女もまた僕の事をタカタカと、今で言うところの星井のように勝手にそう呼ばれていた。


 そんな彼女の事を僕は嫌いじゃなかったんだ。


 その時までーー確かに僕は彼女が好きだったのに。


 僕は彼女にヒドイ事をした。


 そして彼女も僕にひどい呪いをかけた。


 そんな事を僕は店の留守番しながら思い出すのだった。




 地元にいた頃、中学3年生の秋頃のことだった。


 僕は誰よりも先に進学先が決まっていた。


 推薦が綺麗に収まり、周りがまだ勉強をする中、僕は本を読む時間が増えた。


 それが僕にとってどれほど嬉しいことか、優越感に浸りながら本をここ数日間読み続けた。


 そんなある日のことだ。


 僕の悲劇は既に始まろうとしていた。


 昼休み、僕は生徒会室に悪友に呼ばれた。


 悪友の見た目は金髪でミニスカートなのだが、こう見えて生徒会長。


 いわゆるアイドル的人気で勝ち取ったもので、風紀は乱れている。


 それでも許されるのが悪友、もちろん他の生徒には厳しく、周りは清楚でなくてはならない。


 そんな彼女に僕は過去告白を受け、それを断ったのが数日前だった。


 だから正直会いたくなかった。


 それでも卒業くらいは綺麗にお別れしたいとやってきた。


「ねぇ、私のお願い、聞いてもらえるかな?」


 僕は彼女が嫌いじゃないんだ。


「付き合う、以外なら」


「……これなら、文化系の部活を廃部にするの」


「は、廃部にする!?」


 ただこの、女王様みたいな喋りと態度が嫌いなだけなのだ。


「なんでそんなことを。もう卒業前なのにわざわざ」


「邪魔だから。どうせ大した記録もないんだし、いいじゃん?」


 悪鬼、僕は悪友をそう思った。


 気の向くまま我がままに、彼女は可愛い姿とは反対のまさに「悪魔」だった。


 悪友は部屋を出て僕を連れて来させたのは、将棋部だった。


「頼も~う」


「か、会長!?」


「生徒会長!?なんでここに!?」


 完全に厄介者の扱い、一緒にいる僕も辛かった。


 だがもっと辛い役目を任されてしまう。


「タカタカ、あんた将棋打てる?」


「まあな」


「じゃあタカタカが勝ったら、ここ廃部ね」


「「「えぇ!!?」」」


 部がざわつく。


 僕も心がざわつくばかりだった。


「マジでやるのか?」


「勝ってね?負けたら殺すから」


 冗談に聞こえないその言葉に、僕は部長と思われる人と戦うことにした。


 僕の父親は元棋士師、僕にとって部長を倒すことは直ぐだった。


 5回目、僕には勝利が見えてしまった。


「王手、飛車、金取り」


「んっぐ!」


 思いの外部長が弱かった。


 いや、僕が強すぎたのだろうか。


 部室には賞状のようなものがズラリとあるのが見えた。


 僕はこれで良かったのだろうか。


「やったぁぁあああ!!!」


 悪友に抱き付かれた僕はとても喜べず、静かに席を立った。


「はい廃部!は・い・ぶ!」


「そ、そんな……」


 部の権利書を奪い部屋から立ち去った僕ら。


 そのまま次の部室へと向かい、部を潰しに進むのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ