天界編01-01
事件が終わり翌日のこと、星井は八百屋で買い物をしていた。
高橋のためにお見舞いのフルーツの盛り合わせを買いに来たのだった。
高橋は高熱と背骨を軽く負傷したため、現在自宅で安静中だった。
「喜ぶかなぁ♪好感度も上がるかな?」
若干の下心を持ちつつ、星井は初めて高橋の家へと向かうのだった。
昨日の騒ぎで唯一の健全者の星井、しかし彼女はまだ知らないのだ。
これから向かう家に悪魔がいることを。
彼女は歩きながらに期待する展開とは大きく違う結末が待っていることを。
☆
その頃、高橋部屋で高橋と悪魔が川の時で寝ていた。
苦しい高熱と寝づらい背中の痛みで眠りに着くことが出来ず、寝返りを何度もしてしまう。
「痛い、眠い、死ぬ」
「うるさいわよ。こっちも何か知らないけど身体がダルいのよ……」
悪魔の戦いの反動からなのか、起きるのも難しいようで、大の字で横たわっていた。
「血、飲みたい」
「ダメだぞ。そんなことしたら僕が死ぬ」
「……」
「治ったら少し飲んでいいから」
優しさからなのか、それともその場凌ぎなのか、高橋はそう答えた。
「じゃあ、我慢するわぁ……」
悪魔はそのまま瞳を閉じ、眠りに着こうと黙りとした。
高橋も寝ようと必死に目を閉じ、なにも考えずに無心となった。
だが間も持たず、悪魔は飛び起きる。
「あぁ!寝れない!」
「じゃあ医者呼べよ!俺も辛いわ!」
「タカタカうるさいわよ…………えっ?」
そんなことを互いに文句言うてる内に星井が入ってきた。
そして目の前の光景に驚愕と絶望を味わった。
自分の好きな人が自分の嫌いな人と布団を並んでいることに、言葉が出なかっな。
「たまたま、だよね……はは、ははは」
呆然と空を見るように視線が天井を向いてしまう。
「星井、医者読んでくれ」
「私が医者ですー」
「星井、血をくれ!」
「どうぞー」
正気じゃないと思い、高橋は痛みに耐えながら星井の目を見つめ、認知を変えるよう能力を使った。
そして悪魔は星井の首から血を吸っていた。
「……星井?」
「美味しかった」
「若干顔色悪くなったな。じゃなくて、こいつ、認知が変わらないぞ!?」
「お前の認知能力も三流と言うわけか!わはは!」
「その三流に掛かったのはどこのペッタンコだよ」
「……星井がデカイだけよ!」
そんなことはどうでもいいとばかりに、高橋は星井の目の瞳孔を見るが、洗脳している様子はなかった。
高橋は少し疑問だった。
何故星井だけ無事に生きていたのか、彼女は能力を消す力を持っているのだろうか。




