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エピローグ―悪魔との出会い―

 高校2年生の1学期、高橋炊樫(たかはし たかし)という男子高校生が父親の都合により片田舎の高校へ転校して来た。


 その高橋こそ僕だった。特徴は黒髪の天然パーマぐらいだ。それ以外に外見的な特徴はない。


 僕が転校して数日は周りのクラスメイトがワイワイと「前の高校はどんなだった?」「彼女いるの?」などベタに質問をしてきたが、今となってはカヤの外、誰一人話しかけて来なくなった。


 自分自身、言うほどコミュニケーション能力が優れている訳ではないのだ。 


 なぜなら、その人が何を思って自分に話しかけているのかを考えるだけで吐き気ものだったからだ。


 父の転勤は1年間ほど、黙って学生らしく勉強だけすればいいというのが僕の考えだ。


 でもバイトはしたい。


 この期間を有効に貯金をしようと計画があった。


 僕がこれから住むところが父のいるホテルとは別に叔父の家に住むこととなっている。


 何のための転校なのか、僕には分からなかったが、深く事情を聞くのも億劫だから聞くことは一度もなかった。


 そんな僕の平凡を計画立てていた学園生活が非日常となったのは、転校して2週間後のことだった。


 僕は昼休みになるとあんぱん片手に真っ先に屋上へ向かう。


 屋上は本来立ち入り禁止でドアにも鍵がかかっているが、僕にはある『特殊な能力』があるのだ。


 その能力について話す前に、これからのことを話すことにしよう。


 階段をいつもの段数を上っていると、屋上のドアが半開きになっているが見えた。その違和感に不審を感じた僕は、静かにドアに近づき、覗き込むように外の様子を伺った。


「(誰かいるのか?)」


 誰かと誰かが話している、という会話でなく、聞こえてきたのは擬音だった。


 ちゅうぅぅうううう……とストローで飲み物を飲むような音だった。僕はも少しだけ深く覗いた。


「!?」


 僕の視界にいたのは、白目を空に向けながら口から唾液を垂れ流している男子と、ショートヘアで明るい茶髪で背の低い女子が男子の首元を吸血鬼のように吸っている姿だった。


 ドアの視界からでは核心的な様子は伺えなかったが、見間違いではないと思った。


 とりあえず僕はポケットからスマホを取り出し、無音カメラのアプリで腕を少しだけ伸ばし、目線を合わせてシャッターを押した。


「……」


 恐らくこちらの様子はバレてはいない、はずだった。


 僕は直ぐにその場から離れ、トイレでその写真を確認しようと小走りで急いだ。


 僕が見たのは、本物、なのだろうか?


「……他の人間の臭い。バ……バカな……なぜ気づけなかった!?この私が気配を感じ取れなかったというのか?だが、臭いは覚えたぞ」


 静かに、悪魔が近づこうとしていた……

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