子奪り地
山は現と隔たる異の地
幼子迷えば鬼が手招き
人の理外して攫う
異の地に奪られた幼子を
求め彷徨う憐れな母は
半鬼と化した我が子に喰われ
痛い痛いと呻いて果てる
山は現を隔てた異の地
麗し幼子神が手招き
人の理外して攫う
異の地に奪られた愛し子を
求め彷徨う哀れな母は
神子と化した我が子を殺め
神への供物と泣く泣く埋める
母に気付かず喰らった幼子
母に気づいて慟哭をあげ
母に気づけど埋められた幼子
母の暴挙に慟哭やまぬ
母を求める幼子と
我が子求める母の声
虚しく山に木霊して
異の地と現の狭間に消える